1999年4月20日、アメリカのコロンバイン高校に通う2人の男子高校生が、校内で銃を乱射しました。
警察の事態収拾に予想以上の時間がかかり、犯行の模様が全米にテレビ中継されるという前代未聞の事態に。校内の安全が確保されたのは事件発生から3時間後でした。
死者13人、重軽傷者24人とアメリカ犯罪史上、学校内銃乱射事件の中で多に類を見ない被害者数となりました。
少年2人は犯行後に銃で自殺。当初、犯行の動機は日ごろ周囲から受けていたイジメへの復讐と考えられ、衝動的な犯行と報道されました。しかし、その説は根底から覆されました。犯行計画を綿密に記したメモが見つかったのです。
さらに、憎しみの言葉を刻みつけた2人の映像など、事件当初は非公開だった新たな物証が次々に発覚。そこには、イジメへの報復とはまったく違う事件の真相が隠されていました。
犯人は18歳のエリック・ハリスと17歳のディラン・クレボルト。どちらも両親と兄がいる4人家族の次男。ごく平凡な家庭に育ったと言います。
メディアは全米を震えあがらせた大事件の真相を徹底的に調査。当時、最も有力な動機として報じられたのがイジメでした。一部の生徒への復讐心がつのり、衝動的に犯行を起こしたというものでした。
事実、彼らが通うコロンバイン高校はスポーツを奨励する高校で、様々な運動部が幅を利かし、スポーツに全く興味のないエリックとディランは度重なるイジメを受けていたと言います。
しかし、イジメが原因だとすると狙いは運動部の生徒になるはずです。それにも関わらず2人はカフェテリアや図書館で無差別に乱射したのです。実際に運動部以外の生徒も殺害されていました。
事件から11年後の2010年、FBI主任捜査官ドゥエイン・フゼリアーが事件の謎に光を当てました。彼はエリックとディランが残した1年分の日記を読み込み、犯罪の統計データと心理学を駆使するプロファイリングを実施。2人の性格や行動パターンなど人物像を徹底的に分析すると2人の特異な性格が判明しました。
犯人はサイコパス?
事件の1年前、エリックとディランは他人の車に侵入しパソコンを盗み逮捕されていました。フゼリアー捜査官が注目したのは、その犯罪歴ではなくエリックが被害者にしたためた謝罪文でした。そこには異常なまでに礼儀正しい文章がつづられていました。
しかし、エリックは自らの日記にこう書かれています。
俺が我慢ならないのは人が俺に何をしろとか考えろとか言えとか全て指図しやがることだ。
フゼリアー捜査官は、同じ事実に関する矛盾した2つの文章を徹底的に分析。エリックは精神病質者(サイコパス)ではないかと考えています。サイコパスの人が犯罪者になった場合、他人を躊躇なく殺せる冷酷さを持つといわれています。
一方で、ディランはサイコパスではないと言います。フゼリアー捜査官によると、ディランは自殺願望があり、サイコパスのエリックと結びつき、致命的な友情に発展したと言います。
計画的な犯行
事件発生の1ヶ月前、2人は銃の練習をする様子を撮影しています。さらに、事件の1年前にエリックが作成した犯行計画も見つかっています。
メモにはカフェテリアに爆弾を設置すること、11時14分から15分の間にカフェテリアの生徒数が500人に増えることも書かれていました。彼らの当初の目的は銃の乱射ではなく、爆弾で500人近くの命を奪うというものだったのです。
実際、カフェテリアにはガスボンベを改造した爆弾も設置されていました。また、爆弾は彼らの車にも設置されていました。それは駆けつけてくる警察や報道陣を事件に巻き込むためのものでした。
彼らのターゲットは最初から学校関係者だけに限られていませんでした。エリックは爆弾の製造法をインターネットや書籍から手に入れたとされています。
想定外の事態
綿密に立てられた計画でしたが、当日想定外の出来事が起こりました。
予定時刻を過ぎても爆弾が起動しなかったのです。2人は計画を変更し、銃による大量無差別殺人を決行したのです。
「世紀の瞬間&日本の未解決事件スペシャル」
コロンバイン高校銃乱射事件
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