タキサイキア現象とは、交通事故など危機に陥った時に全てがスローモーションに感じる現象のこと。ギリシャ語で「頭の中の速度」を意味します。
このタキサイキア現象が起こるとき、体内ではある変化が起きています。人間は90デシベル以上の音を聞くと本能的に恐怖を覚えます。その恐怖のシグナルが神経を通じて脳へと伝わり脳幹に達すると、扁桃体へと伝わります。すると、大量の出血を防ぐように血管が収縮し、血液中の化学物質は出血しても凝固しやすい成分へと変化します。
スローモーション実験
神経科学者のデビッド・イーグルマンは、危険な状況下でスローモーションを感じるかの実験を行いました。23人の学生ボランティアを集め、45メートルの鉄塔から後ろ向きに防護ネットに向かって落下させたのです。学生たちのほとんどがスローモーションに感じたと言います。
さらに、スローモーション現象による時間のゆがみを測定しました。その方法は、落下するときに腕につけたデジタル時計バンドに通常ではよみとれない早さで2桁の数字を点滅させ読み取れるかどうか見極めるというもの。もし、スローモーションにより時間がゆっくり流れるのなら普段は絶対に読みとれない数字の点滅も読みとれるはずです。しかし、結果は誰ひとり読みとれた人はいませんでした。
つまりスローモーションに見えた感覚がしただけで、実際にはスローモーションは起こっていなかったのです。
脳の誤作動
スローモーションに見える原因は、脳の誤作動です。
出血を最小限におさえ命を守ることを最優先に考えた脳は、それ以外の活動を低下させてしまいます。そのため、目から入った情報をうまく処理することができずコマ落としのような映像でしか処理できなくなってしまうのです。そのためスローモーションのように錯覚するのです。
「奇跡体験!アンビリバボー」
生死分けた脳の超常現象
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