ニール・ヘイウッドは、イギリスの名門大学を卒業後、中国にわたり現地に進出するイギリス企業のコンサルタントとして活動していました。後に中国人女性と結婚。2人の子供にも恵まれイギリスと中国を行き来する生活を送っていました。
その一方で、大物政治家を夫に持つ谷開来(こくかいらい)という女性と出会いました。彼女の夫は重慶市委員会書記の薄熙来(はくきらい)。
その妻、谷開来も未来のファーストレディにふさわしい美貌と知性をかねそなえた女性として知られていました。名門・北京大学を卒業した彼女は、1987年に薄熙来と結婚。弁護士の資格も持っており、大企業の訴訟など数多くの裁判をうけおいました。
薄熙来と谷開来の間には、一人息子がいました。ニール・ヘイウッドは彼の後見人となり、イギリスの名門高校への留学するなど関係は次第に深まっていきました。そして、ニール・ヘイウッドは推定5000億円と言われる薄熙来と谷開来の資産管理まで任されるようになりました。
しかし、2011年11月15日ヘイウッドはリゾートホテルの1室で死亡。警察によると死因はアルコールの過剰摂取による心臓発作ということでしたが、彼は一滴も酒を飲めないはずでした。さらに、遺体の検死は行われず家族もそれを了承。ヘイウッドはそのまま火葬されたのです。
この不可解な事件は闇に葬られるかに思われましたが、遺体発見から9ヶ月ヘイウッドは殺害されたとしてその被告人の裁判が開廷。被告人はセレブ妻の谷開来。大物政治家の妻が殺人を犯したというニュースは、中国全土を驚愕させました。
裁判ではまず、共犯者として起訴された彼女の使用人が犯行の一部始終を語りました。裁判記録によると遺体発見の2日前、使用人は谷開来から指示を受け、ヘイウッドを重慶市郊外のリゾートホテルに呼び寄せたと言います。午後9時をまわった頃、谷開来は誕生日を理由に大量の酒を部屋に持ち込みアルコールが苦手なヘイウッドに飲むように勧めました。そして午後11時、泥酔状態になったヘイウッドにシアン化合物を混ぜた水を飲ませました。
警察は使用人の証言に基づき再調査を行いました。その結果、事件当日ホテルの監視カメラにはヘイウッドの部屋に入っていく2人の映像が記録されていたことが判明。さらに、押収したガラス瓶や湯飲みの蓋などからは谷開来のDNAが検出されました。谷開来は裁判でこう証言しました。
ヘイウッドに土地開発プロジェクトに参加しないかと持ちかけたものの、ヘイウッドが法外な報酬を要求し、応じなければ息子の身の安全が保証できないと言い出した。
ヘイウッドを止めるため殺したのだと言います。
- 谷開来夫婦の資産は5000億円以上もあったと言われている。お金が払えないとは思えない。
- 谷開来の息子は事件の1年前からアメリカに留学し、事件当時はイギリスにはいなかった。
- 裁判では夫・薄熙来は事件と無関係とされてるが、脅されているのに強大な権力を持つ夫に相談しないのは不自然。
今から55年前、谷開来は有名な政治家の娘として誕生。20歳の時、北京大学に入学し在学中に薄熙来に見初められ交際が始まりました。実はこの時、薄熙来には妻がいて幼い子供もいました。
しかし、やがて谷開来は妊娠。薄熙来は妻と別れ2人は結婚したのです。
その後、谷開来は弁護士資格を取得。請け負った裁判は負けなしだったと言いますが、これには裏がありました。実態は夫の権力を利用したものだったのです。
1990年代はじめ、大連市のテレビ局で働く美人キャスターが突如失踪しました。さらに、大連市では副市長の娘をはじめとする複数の若い女性たちが不審な死を遂げるという事件が相次いでいました。
彼女たちは、当時大連市の市長をつとめていた薄熙来の愛人だったという共通点がありました。
嫉妬に狂った薄熙来の妻・谷開来が、テレビ局に圧力をかけ美人キャスターを引きずり落としたというのです。また、美人キャスターは薄熙来の子供を身ごもっていたため、それを知った谷開来によって拉致監禁され、心のバランスを崩してしまったという噂もあるそうです。彼女の消息についてはいまだに不明です。
この事件が明るみに出たのは、あることがきっかけでした。2012年2月6日、成都市のアメリカ領事館に亡命を希望する中国人が駆け込んできたのです。その亡命者は重慶市公安局長の王立軍。彼は薄熙来の直属の部下でしたが、亡命先のアメリカ領事館でヘイウッドを殺したのは谷開来だと告発したのです。
また、推定5000億円と言われる薄家の資産は、収賄や横領などで得たもので、ヘイウッドはそのお金を海外に移す役割を担っていたと言います。
そして、ヘイウッドはイギリスにあるスパイ関連企業に薄家の情報を提供していました。谷開来がヘイウッドを殺害した理由は、中国の最高指導者となる夫を失脚させたくなかったからでした。自分がファーストレディになるためです。
ところが、アメリカメディアの報道によると、ヘイウッドが関係していたスパイ関連企業のスポークスマンは、ヘイウッドはいかなるスパイ情報にも関わっていないと語りました。ヘイウッドはイギリスに留学していた谷開来の息子の後見人だったのですが、実はもう一人後見人がいました。その人物はチャールズ・パウウェル。彼はサッチャー元首相につかえ政府の諜報機関を指揮。政界引退後はスパイ関連企業の顧問となった人物でした。
本当のスパイはパウウェルであった可能性が高いのですが、王立軍はヘイウッドがスパイだと勘違いしたようです。
その後、王立軍の身柄は中国当局に引き渡され、亡命をはかった罪などで懲役15年の刑が言い渡されました。そして、谷開来には2年の執行猶予つきの死刑判決が下されました。中国での執行猶予つきの死刑は、猶予期間中の態度が模範的だった場合などに無期懲役や有期刑に減刑される刑です。
そして、薄熙来も失脚。不正蓄財に関わった者たちの供述によって、合計4億円の収賄と横領、職権乱用の罪に関して刑事告発されました。彼に下った判決は無期懲役、生涯の政治的権利を剥奪、全個人財産の没収です。
大衆から絶大な支持を集めていた薄熙来の失脚は、中国政府にとっては好都合であったと言われています。民衆の支持をバックにのぼりつめようとした薄熙来の存在は、中国政府にとっては大いなる脅威だったからです。
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