絵里(仮名)は、かつて13歳年上の男性と結婚し長女を出産していましたが、性格の不一致で離婚。離婚後は地元を離れ娘と二人ひっそりと暮らしていました。
勤め先の市役所に高校を卒業して就職したばかりの雅和(仮名)が入社してきました。当初は縁のない存在と思っていた絵里ですが、不思議と14歳も年上の絵里に雅和はなついてきました。その後、密かに交際をスタート。雅和の両親にも交際を反対されましたが出会いから4年後、雅和は絵里にプロポーズしました。このとき絵里は37歳、雅和は23歳でした。
その後、周囲の反対を押し切って1997年に結婚した2人でしたが、意外にも雅和の両親は連れ子の娘を本当の孫のように可愛がってくれました。やがて長男が誕生すると、その関係はさらに改善され予想外なほど平穏な生活を送るようになりました。
しかし、そんな矢先に雅和が失踪。失踪から3日後、ため池の中から胸を数ヶ所刺された雅和の遺体が発見されました。逮捕されたのは妻の絵里でした。
結婚から6年が経った頃、雅和の帰宅時間が遅くなり夫婦の会話もだんだんと減っていきました。夫はまだ20代なのに絵里は40代に突入。先に老いていく自分を夫は今も愛してくれているのか不安になっていました。夫の鞄や財布、手帳をチェックし不審なものがあると夫に問い詰めるように。
そして、東京で開催される絵画展のチケットを2枚発見。雅和は生粋の体育会系だったため芸術には全く興味がないはずでした。夫のあとをつけた絵里は、夫が結婚指輪を外す姿を目撃しました。
そんなある日、息子がしゃぼん玉を「お父さんといちごのお姉さんに貰った」と言いました。夫に問い詰めると夫は浮気を認め、息子も「浮気相手の方が好き」と言い出しました。捨てないでと必死にすがりつく絵里に「俺は今まで地獄だったんだからもう開放してくれよ」と言う雅和。離婚はもはや時間の問題でした。絵里はもう43歳、まだ20代の雅和とは何もかもが違いました。
出産を機にいったん仕事を辞めた絵里でしたが、数年前から病院が経営する訪問介護施設で働いていました。そのため誰にも怪しまれることなく病院に出入りできました。そして、昼食の配膳で看護師が忙しい昼時を狙い薬棚のある事務室に忍び込むと、睡眠導入剤と不整脈の治療などに使われる劇薬を盗みだしました。
家に帰った絵里は、盗んだ睡眠導入剤をすり潰しお茶に混ぜて雅和に飲ませました。眠りに落ちた雅和をテープで縛り通常の数倍の濃度にした劇薬を注射しようとしました。外傷がなければ突然の心臓発作として処理され保険金も入ると考えたのです。
しかし、計画は完全に失敗。雅和は注射の痛みで目を覚ましてしまったのです。絵里は咄嗟に近くにあった物で雅和を殴り殺してしまいました。
自然死に偽装するのをあきらめた絵里は、夜のうちに雅和の遺体と血のついたカーペットなどを車に積み込み、ため池に遺体を沈め、証拠隠滅をはかるため自ら車に火をつけました。
しかし、全てを終え明け方帰宅すると警察官が家の前で待ち構えていました。警察は燃えている車があると通報を受け、ナンバーから雅和の車であることを割り出していたのです。そして2日後、自宅から雅和の血痕が見つかったことで絵里は犯行を自供。
その後、殺人罪で懲役14年の実刑判決が下りました。
「奇跡体験!アンビリバボー」
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