幸せを運ぶ奇跡の指輪 ~正直者のホームレス、ビリーの物語~|アンビリバボー

ある日、サラ・ダーリンはアメリカ・ミズーリ州カンザスシティのホームレスにお金を恵みました。しかし、翌日大事な婚約指輪をなくしてしまったことに気づきました。

広告代理店に勤めるサラは、ウェブデザイナーのビル・クレイチと大恋愛の末結ばれました。プロポーズの時、ビルは自分でデザインした婚約指輪をくれました。サラは大きなダイヤがついた婚約指輪を結婚指輪の上につけていました。

しかし、指輪をなくす前日、薬指に発疹が出来たため婚約指輪だけ外し財布の小銭入れに入れていたのです。ところが、そのことをうっかり忘れ、ホームレスに財布の中身を全て寄付してしまったのです。

すぐにサラは寄付した場所に行ってみましたがホームレスの姿はありませんでした。次の日にまた行ってみるとあのホームレスがいました。

ホームレスのビリー・レイ・ハリスはサラが寄付をしてくれた日、寝床に帰り婚約指輪に気づき宝石商へ。4000ドルと言われました。ビリーはこれだけの金があれば人生をやり直せると思ったと言います。しかし、その時おじいさんの言葉がよみがえりました。

ビリーは56年前、テキサス州ウィチタ・フォールズで生まれました。5人兄弟の4番目、父はビリーが生まれて3ヶ月で家族を捨て蒸発。残された母は働きながら子供たちを必死に育ててくれました。同じくらい尊敬していたのが牧師をしていた祖父でした。

ある時、兄弟と遊んでいたビリーは花瓶を割ってしまいました。ビリーが自分がやったことを言い出せずにいると祖父はこう言いました。

人は悪魔じゃないが天使でもない。でも努力すれば天使に近づくことができる。いつも正直に生きなさい。

大人になったビリーは、テキサス州の油田に勤めていました。28歳で結婚したものの会社が倒産。彼は妻の故郷カンザスシティーへ転居し皮細工の仕事を始めました。ところが、働いても働いても商売はうまくいきませんでした。妻は献身的に支えてくれたものの家族を養うことが出来なくなりました。

そして妻に婚約指輪を返されました。婚約指輪を外し相手に渡す行為は愛にピリオドをうちたいという意思表示です。人生の一大決心に他なりません。こうしてビリーは妻と別々の道を歩むことになりました。

収入が減り頼る人もいないビリーはやがてホームレスに。時折日雇いの仕事にありついてもアパートを借りることが出来ず、路上生活者として通行人の施しを受けるようになりました。

ビリーは婚約指輪を簡単に外して寄付するとは思えませんでした。ビリーは指輪を持って宝石商を後にしました。ビリーは高価な指輪を安全な場所に隠し、昼間はいつもの場所で物乞いをしながら女性が来るのを待っていました。

ビリーはサラに指輪を渡しました。こうして婚約指輪は持ち主のもとに帰りました。

サラはホームレスから脱却できるにも関わらず指輪を売らずにとっておいてくれたことに感動し、このことを夫に話しました。

夫はビリーの役に立ちたいと寄付金を募集するホームページを立ち上げ、正直者のビリーの心温まるエピソードを紹介。また地元のテレビ局もビリーのエピソードを取り上げ、感動したという声が殺到。さらに全米ネットのニュース番組が正直者のホームレス・ビリーのニュースを取り上げたことで寄付金は一気に急増。その額は日本円にして約1900万円にも達しました。

これによりビリーには住む場所を手に入れました。16年ぶりにホームレスからの脱却を果たしたのです。

全米で報道されたニュースに誰よりも驚いたのがビリーの妹ロビン・ハリス・ウィリアムズさん。妹はビリーをずっと探していたのです。ビリーは家族に迷惑をかけたくなくて、家族に連絡をしていませんでした。

2013年3月24日、テレビ局がビリーとサラ夫妻を招き指輪のエピソードを話している時、ビリーの兄弟が全員来てくれました。自分の損得より正直に生きることを選んだビリーの話に感動したテレビ局が、彼のために仕掛けたサプライズでした。

「奇跡体験!アンビリバボー」
幸せを運ぶ奇跡の指輪

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