2016年8月26日、非常に価値の高い資源が南鳥島周辺にあるという驚くべきニュースが発表されました。調査を行ったのは日本が誇る有人潜水船「しんかい6500」です。そして、研究者の想像を超える大発見があったのです。見えてきたのは見渡す限り何かに覆いつくされた海底。それは全て貴重な鉱物資源だと言うのです。
海底資源発見ドキュメント
2016年4月8日、JAMSTEC(海洋研究開発機構)の調査船「よこすか」が3週間にわたる調査の旅に出ました。参加したのは海底資源や地質学の専門家11名です。
町田嗣樹(まちだしき)特任技術研究院は、6年前ある偶然から南鳥島沖でマンガンノジュールの存在を発見しました。町田さんは海底火山を見つけるため、南鳥島周辺の海底を音波を使って調査していました。海底が柔らかい時、反射してくる音波は弱くなります。逆に硬い岩盤などの時は強くはね返ってくるのです。反射の強い場所を調査したところ、見つかったのがマンガンノジュールだったのです。
そして、潜水船を使った初めての本格的な調査で、その分布範囲を直接確かめることになりました。調査した距離は約4キロ、行けども行けども終わることのない広大なマンガン畑の姿が明らかになりました。
マンガンノジュール形成の秘密に迫る!
マンガンノジュールは、石などの硬い物質を核として成長していきます。海水には元々マンガンや鉄の粒子が微量に存在していて、硬い物質に沈着する性質があります。
核を中心にまるで年輪のようにゆっくりと丸く大きくなり、マンガンノジュールとなるのです。直径10センチのマンガンノジュールになるには数千万年以上もかかると言います。そんなマンガンノジュールがなぜこれほど大量に存在するのでしょうか?それは南鳥島周辺の地形に秘密にあると言われています。
通常の海底では、マンガンなどの粒子が沈着し成長する前に、細かい砂などが降り積もってしまうためノジュールは成長できません。しかし、南鳥島周辺の海底には多くの海山が存在しています。そのため山と山の間に速い流れが生まれやすいのです。これが砂などの浮遊物を飛ばすため、ノジュールの形成に適した条件が生まれていると町田さんたちは考えています。
ノジュールだけじゃない さらなる宝物を発見!
千葉工業大学の藤永公一郎(ふじながこういちろう)上席研究員は、今回の調査でレアアース泥に注目していました。レアアースは17種類の元素の総称で、スマートフォンなどハイテク機器に欠かせない資源です。実は、以前の調査で南鳥島周辺の海底の一部から見つかっていました。
今回の調査で取った泥を調べてみると、レアアースの中でも価値の高いジスプロシウムなどが高い濃度で含まれていることが明らかになりました。
「サイエンスZERO(ゼロ)」
独占密着!深海に眠る巨大鉱床!
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