オートファジー|サイエンスZERO

NHK・Eテレの「サイエンスZERO(サイエンスゼロ)」で長寿のカギ!?細胞内のリサイクル“オートファジー”が放送されました。Auto Phagy(オートファジー)はギリシャ語からきていてAutoは「自分」、Phagyは「食べる」という意味です。細胞の中にはたんぱく質がいっぱいあり、それがいろんな所で働いて生命活動を支えています。このたんぱく質の原料となるアミノ酸はどこからくるのでしょうか?食事からとるだけでは足りないので、細胞の中のたんぱく質をリサイクルしています。細胞の中に膜が出てきます。これが袋状になって、そこに分解酵素が供給され中にとりこんだたんぱく質を分解してアミノ酸にして再利用。これがオートファジーです。これまでは、たんぱく質の合成のところばかりが注目されてきましたが、オートファジーによってたんぱく質を分解するところが生命活動の維持に欠かせないということが最近分かってきたのです。

 

オートファジーの解明!その舞台裏

オートファジーの仕組みを解明した東京工業大学の大隅良典(おおすみよしのり)名誉教授は70歳になった今も研究を続ける一方、研究員たちにアドバイスも与えています。大隅さんたちが研究に使っているのは出芽酵母。イーストとも呼ばれパンやお酒づくりには欠かせないもので、人と同じ真核生物です。そのため、実験のモデル生物としてよく利用されています。酵母の中には核や小胞体、ミトコンドリアなどヒトと同じ構造があります。そして酵母で大部分を占めるのが液胞です。大隅さんが注目したのは液胞でした。たんぱく質を分解するオートファジーに関わっていると考えられていたからです。液胞はたんぱく質をどのように分解しているのか、それを調べるために大隅さんはまず分解が起きる条件を考えました。それはたんぱく質の材料になる窒素源(栄養)全部除くというもの。しかし、問題がありました。もしたんぱく質が液胞に運ばれても、すぐに分解されてしまうため見えない可能性があります。そこで大隅さんは、あえてたんぱく質を分解する能力がない遺伝子変異酵母を用意しました。この細胞を飢餓状態にして観察したところ、見たこともない現象があらわれました。液胞の中に小さな粒が動いていたのです。電子顕微鏡で調べると液胞の中で動いて粒の中身は、周りの細胞質と同じ成分でした。液胞の外にあった細胞質の一部が中に入っていたのです。分解能力がない酵母だからこそ、細胞質の一部が液胞に入っていることを見ることができたのです。これにより、たんぱく質が分解される画期的なシステムが明らかになりました。

酵母が飢餓状態になると細胞の中に膜状の袋が出現。細胞質にあるたんぱく質を包み込みます。これが液胞まで移動し中身のたんぱく質が液胞の中に運ばれます。すると液胞の中にある分解酵素の働きでたんぱく質が分解されるという仕組みだったのです。大隅さんはその後、オートファジーに必要な14の遺伝子を特定しました。

ヒトの場合、1日に200gのたんぱく質を作ると言われています。ところが、食べて摂取するたんぱく質は1日に70g程度です。残りはオートファジーで補っているのです。

 

小器官を狙い撃ち!オートファジー最新研究

東京工業大学の中戸川仁(なかとがわひとし)さんの研究グループは、オートファジーが特定の細胞内小器官を狙って起きる仕組みを解明しました。研究に使ったのは分解能力がない酵母。中戸川さんたちは、あるたんぱく質が作れない遺伝子変異した酵母を作りました。すると、たんぱく質が作れない酵母では小胞体は液胞に送り込まれませんでした。このことからオートファゴソーム(膜構造)はあるたんぱく質を目印にして小胞体を取り込んでいることを発見。それがAtg40です。細胞が小胞体を分解する時、その部分に目印となるたんぱく質Atg40が出現します。それを感知するとオートファゴソームの膜ができ、その部分だけを液胞に運び分解していたのです。

 

何でも分解できるわけじゃない!オートファジーの秘密

情報通信研究機構の原口徳子さんは細胞の中に人工的に核をつくる研究をしていましたが、その研究の過程で偶然オートファジーの不思議な性質を発見しました。原口さんは細胞の中に核を作るため小さなビーズを用意し、ビーズの周りにDNAをつけました。DNAビーズの周りにオートファゴソームが現れましたが、すぐに消えてしまいました。一方、DNAをつけないビーズの場合オートファゴソームがやってきてすぐに取り囲みました。異物と認識し分解しようとしたのです。なぜDNAをつけたビーズは取り囲まなかったのでしょうか?DNAビーズの周りには核を形作るための膜のようなものがあり、オートファゴソームはその外側にありました。このことから膜のようなものにブロックされたと考えられるのです。

 

解明!オートファジーとパーキンソン病

東京都医学総合研究所の松田憲之(まつだのりゆき)さんはオートファジーとパーキンソン病の関係について詳しく調べました。松田さんはオートファジーに関係していると考えられるパーキンというたんぱく質に注目しました。このパーキンが神経細胞の不良ミトコンドリアに対して、どう働いているのか見てみました。するとパーキンは働きの悪くなった不良ミトコンドリアに集まる性質があることが分かりました。さらに調べたところ、パーキンが不良ミトコンドリアに集まるためには別のたんぱく質も必要であることがわかりました。それがPINK1というたんぱく質。PINK1とパーキンが協力して不良ミトコンドリアに集まり、ここにオートファジーを呼んでくるという仕組みが明らかになりました。

ミトコンドリアが不良になると、まずやってくるのがPINK1です。PINK1はこのままでは何もできないので、パーキンを応援に呼びます。そしてパワーアップアイテムのリン酸を渡します。パワーアップしたパーキンはミトコンドリアが不良になっていることを知らせる道具がないかと探します。そして見つけたのがユビキチンというたんぱく質。PINK1はユビキチンが目立つようにリン酸をくっつけていきます。それをパーキンが不良ミトコンドリアの上に高く積んでいきます。すると、辺りを見廻っていたオートファジーが発見。急いで膜を作って不良ミトコンドリアを分解します。こうして、神経細胞が悪くなるのを防いでいるのです。


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