太陽系8番目の幻の惑星ケレスの謎|サイエンスZERO

ケレスは200年前に発見され、その後人々の記憶からも消えてしまった幻の惑星です。3月、この幻の惑星ケレスにNASAの探査機が到達。探査から見えてきたのはケレスの謎にみちた姿でした。

 

 

18世紀当時、海王星は発見されておらず天王星までの7個でした。1801年にイタリアの天文学者ジュゼッペ・ピアッツィが火星と木星の間に惑星を発見。ケレスと名づけられました。

 

ケレスが発見された後もベスタ、ジュノー、パラスなど次々と惑星が発見されていきました。これらはそれまでの惑星と比べて小さかったため「小惑星」という名前が付けられ、小惑星が沢山集まっている領域を小惑星帯と呼ぶことにしました。そのため、ケレスは惑星から小惑星に降格され忘れられたのです。

 

2007年にNASAが打ち上げた探査機DAWN(ドーン)は火星と木星の間にある小惑星帯に向かいました。そして2015年3月6日、DAWNはケレスに到達しました。

 

ケレスの直径は950km、質量は小惑星帯の3割をしめています。形はほぼ球形で全面がクレーターで覆われています。自転周期は9時間で4.6年かけて太陽の周りを公転しています。

 

2015年1月、DAWNはケレスの不思議な現象をとらえました。高度38万kmの距離で撮影した画像に謎の光が写っていたのです。ケレスの自転に伴い謎の点も移動しているので表面の地形上にあることが分かります。この光の正体は何なのでしょうか?

 

DAWNは赤外線を使いケレスの表面の温度をはかりました。光の部分と周囲の温度差はなく、火山の可能性は低いと考えられました。さらに4月、DAWNはケレスの裏側を観測。画像に光は写りませんでした。

 

6月、DAWNは高度4400kmまで降下。すると、光は直径90kmのクレーターの中に複数存在していることが分かりました。8月、高度1500kmまで降下すると最も大きな光は直径が9kmもあることが分かりました。

 

ケレスから太陽系の成り立ちに迫る!

大量の氷が存在すると考えられる湿ったケレスと金属が主体の乾いたベスタ。一般的に太陽系の天体は太陽に近いほど岩石や金属が中心で、遠くなるほど氷やガスが多くなります。そのため湿ったケレスは太陽から遠い場所、乾いたベスタは近い場所で誕生したと考えられます。ではなぜ今2つの天体は同じ小惑星帯にあるのでしょうか?

 

サウスウエスト研究所のケビン・ウォルシュ博士は、太陽系の誕生初期に小惑星帯の天体が混ざり合う事件があったと考えています。そのきっかけとなったのが、46億年前に誕生した木星。木星は周囲のガスの摩擦をうけ公転運動にブレーキがかかり、太陽に向かってゆっくり落下。その後、土星も接近してきました。

 

すると、巨大惑星同士は激しい共鳴現象を起こします。互いの重力で振り回された結果、今度は太陽から遠ざかり始めます。この時、通り道にある小惑星やケレスは激しくかき混ぜられます。ケレスは太陽系の成り立ちを今に伝える証言者でもあるのです。

 

「サイエンスZERO(ゼロ)」
太陽系8番目の幻の惑星ケレスの謎

この記事のコメント