奇跡の糖が人類を救う プシコース&アロース|サイエンスZERO

NHK・Eテレの「サイエンスZERO(さいえんすぜろ)」で46億年目の大逆転!奇跡の糖が人類を救うが放送されました。

 

香川県三木町の廃校で希少糖プシコースが作られています。実験ではただのブドウ糖に比べプシコースを加えたブドウ糖では血糖値の上昇を25%も抑制することが分かりました。しかし、プシコースもブドウ糖も化学式は全く同じでC6H12O6です。腸の壁にはブドウ糖を取り込むためのゲートがあります。ブドウ糖がくるとピタッとハマってゲートが開いて吸収されます。プシコースもゲートに入ろうとしますが、ほんの少しだけ形が違うためゲートをなかなか通ることができません。つまりブドウ糖の吸収をプシコースは阻害してくれるのです。なので、食事と一緒にプシコースを摂ると血糖値の上昇を抑えられカロリーの吸収も抑えることが出来るのです。

 

こんなにありがたい糖ですがプシコースは「落ちこぼれの糖」と言われてきました。人間にはありがたい糖ですが、自然界では落ちこぼれていたため、これまであまり研究がされてこず無名の存在だったのです。40億年以上前の太古の地球で糖の仲間は誕生したと考えられています。その場所のひとつとして考えられているのが海の中。海底にある熱水噴出孔の中です。熱水中には一酸化炭素やメタンなど様々な分子が漂っていました。高温の中で様々に反応し、より多様な構造の有機物が次々と作られていきました。やがて出来たのがホルムアルデヒド。これこそが糖の祖先と考えられています。そこに原始的なバクテリアがあらわれ、生命が誕生しました。生き物たちは周りに漂っている様々な糖を食べエネルギーに。もちろんプシコースを栄養とする生き物もいました。しかし、やがてブドウ糖を主食とした生き物が多く生き残り繁栄していきました。それはブドウ糖は生き物にとって極めて都合の良い特殊な性質があったからです。ブドウ糖はお互いにくっついてより大きなエネルギーを持つ物質に変化することができます。そのため、生き物はブドウ糖を大量に取り込んで大きなエネルギー源として体に蓄えることができます。ところが、プシコースなど他の糖たちはお互いにくっつくことが出来ず、体内に大量に蓄えることもできなかったのです。やがて、ブドウ糖を栄養とした生き物の子孫は陸上に進出。光合成によってブドウ糖を多量に作り出していきました。こうして地球はブドウ糖でうめつくされていったのです。

 

絶滅してもおかしくなかったプシコースは他の糖にはない不思議な性質を持っていたため少しですが生き残りました。プシコースは植物の成長ホルモンの働きを抑制する性質を持っています。ズイナは地球上で唯一プシコースを作り出すことが出来る植物です。ズイナは遺伝子の突然変異でプシコースの成長抑制作用が効きません。ズイナの葉が地面に落ちると土がプシコースを多く含むようになり、そこの植物が成長できなくなります。つまりズイナはプシコースを使って自分の領域を守っているのです。

 

自然界に存在する量が少ない糖を希少糖(きしょうとう)と言います。生物界では存在する必要があるものは沢山作り、存在する必要がないものは作らないように出来ています。そのため希少糖は落ちこぼれで意味がないと考えられてきたので今まで研究がされてこなかったのです。プシコースの実用化に当たって大切なのがイズモリング。糖に酵素反応させることで、あらゆる糖を自在に作ることができます。そのための設計図がイズモリングです。

 

アロースという希少糖は様々な病気の進行を遅らせる効果が期待されています。アロースにはがん細胞の増殖を抑制する効果と活性酸素の抑制効果が期待されています。全身の神経が侵され徐々に体の自由が奪われていく病気ALS(筋萎縮性側索硬化症)。このALSにかかったマウスにエサと一緒にアロースを与えるとALSの進行を大きく遅らせることが出来ました。アロースを使った新薬の開発も行われています。




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