3本足の犬ハチと難病の少年の奇跡|アンビリバボー

2014年2月にイギリスで出版された一冊の本が大きな話題を呼んでいます。

そこに記されているのは虐待を受け足を失った犬と、難病に苦しみ生きることに絶望してしまった少年のエピソード。傷を抱えた両者の出会いは、後にイギリス中を感動の渦に巻き込む奇跡を起こしました。

虐待を受け足を失った犬

2011年、ロンドンのハーズワース動物病院に1頭の犬が緊急搬送されました。生後半年ほどのアナトリアン・シェパードという大型犬が瀕死の重傷を負っていたのです。電車に跳ねられたとの通報でしたが、獣医は疑問を感じました。

成長すると体長80cmにもなるアナトリアン・シェパードは、非常に慎重な性格で知られています。そんな犬が注意不足で列車に跳ねられるとは考えづらかったのです。犬は飼い主に虐待を受け線路に固定されていた可能性がありました。

犬は一命を取り留めましたが、損傷の激しかった左の後ろ足は切断されました。保護団体はこの不幸な犬を救おうと「ハチ」という名前をつけ様々なサイトで飼い主を募集しました。

難病の少年

募集開始から半年後、ドッグトレーナーをしているコリーン・ホーキンスはハチを引き取りたいと考えました。

しかし、コリーン夫婦には難病を抱えるオーウェンという一人息子がいました。オーウェンは、シュヴァルツ・ヤンペル症候群という全身の筋肉が常に硬直してしまう先天性の疾患を抱えています。骨の成長が滞り歩行困難などの症状が現れます。世界でも約100例しか報告されておらず治療法も分かっていません。

小学校に通い始めたオーウェンは、自分が他人の違うことに悩み始めました。そして他人の視線を怖がるようになってしまい学校も休みがちに。ついに、家の外に出ることすら嫌がるようになってしまいました。

ハチとの出会い

夫婦が3本足の犬ハチと出会ったのは、そんなある日のことでした。この家にはすでにピクセルという名の犬がいました。オーウェンにとってもピクセルにとっても大きな障害犬は恐怖ではないかと不安に思いました。

それでも一度ハチを見に行くことにしました。そして、とりあえず2週間だけ預かってみることに。

ハチは家に来てすぐオーウェンとうちとけ、オーウェンの側を片時も離れようとしなかったと言います。そんなハチの存在がオーウェンに変化をもたらすように。

ハチが足の治療のために薬の混ざった食事を食べるのを見て、オーウェンも再び薬を飲み始めました。

どんなに辛い状況でも前向きに生きる大切さをハチから学び取ったオーウェンは、失いかけた笑顔をハチと共に取り戻していきました。それでも、外に出て行くことだけはどうしても出来ませんでした。

ハチがもたらした奇跡

そんなある日、オーウェンは「ハチを散歩に連れていきたい」と言い出しました。ついにオーウェンは自らの意志で外の世界へ飛び出したのです。

ハチに寄ってきた子供たちに、オーウェンはハッキリとした口調でハチの物語を話したと言います。最初は大好きなハチの話を誰かに聞いてもらいたいだけでした。

つい最近まで他人の目を見ることさえ出来なかった少年は、その時初めて人と関わる喜びを知ったのです。

その後、オーウェンはハチと共に出かける先々でいろんな人にハチの話を聞かせることが何よりの楽しみになり、ついには多くの人が集まるドッグショーにまで出場

そして2013年3月、彼らは世界最大のドッグショー「クラフト」で犬と人間の友情に与えられる賞フレンズオブライフ賞にノミネートされ受賞しました。

現在、オーウェンは毎日学校にも通えていると言います。もちろん、ハチとの友情も変わっていません。

「奇跡体験!アンビリバボー」
3本足の犬と難病の少年の奇跡の出会い

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