白トリュフ 世界一高価なキノコの秘密|地球イチバン

NHK総合テレビの「地球イチバン」で世界一高価なキノコの秘密が放送されました。世界一高価なキノコには人を虜にする魔法の力があると言います。世界で最も効果なキノコとはトリュフ(TARTUFO)のこと。フォアグラ、キャビアと並んで世界3大珍味の一つです。小さく削って料理に添える高級食材の王様です。日本で一般的なのは黒トリュフですが、白トリュフは「白いダイア」と呼ばれ人の手で栽培することが難しい幻のキノコです。イタリアの人たちにとって白トリュフはどんなキノコなのでしょうか?

「白トリュフは一度も食べたことないの。黒は好きだから白も好きかもね。だけど白は高いから手が出ないわ」
「白トリュフはイタリアの誇りよ。でも味が独特で好みが分かれるかもね。高額だし」
「死ぬほど好きよ。香りは豊かで風味も主張があるし他のどんな料理より強烈だわ」

白トリュフが売っているのはごく限られたお店だけです。白トリュフの最大の特徴は香りにあります。ニンニクや森のニオイのような香りがするそうです。

 

白トリュフが世界一高価なキノコとなったのは2007年にギネス世界記録に認定されたからです。その時についた値段は1塊3800万円。その白トリュフを見つけたのはクリスティアーノ・サヴィーニさん。大きさは通常の10倍以上、1.3キロもありました。この白トリュフは2007年にイタリアのオークションに出品され、ロンドンやマカオとの中継が結ばれ世界の大富豪たちが激しい争奪戦を繰り広げました。そして落札したのは中国の大手ホテルチェーンの経営者。3800万円の巨大トリュフは150人の晩餐会でお披露目されました。

「白トリュフにはセレブをひきつける魔力があります。特にその値段に注目がいくのです。金額がさらにトリュフの価値を高めますからね。そのおかげで、この会社も有名になったんですよ」

サヴィーニさんのもとには世界中から取材が殺到。一躍有名となり経営していたトリュフの加工食品会社の売り上げも右肩上がりに。次々と新製品を開発し続けています。白トリュフには一攫千金の夢があり、人を動かす不思議な魔力があるのです。

 

莫大な白トリュフマネーに沸く町があります。それは人口3万のアルバ市。世界一の白トリュフの産地です。街には白トリュフの店がズラリと並び、世界中から観光客がやってきます。天然ものしかとれない白トリュフは傷みやすく鮮度が命です。実は白トリュフの値段は少し変わった方法で決められています。夜明け前、路地裏で人目を避けるようにヒソヒソと話し合う男たちの姿が。白トリュフの品定めをしているのです。白トリュフは市場に出回ることはほとんどなく、その場での駆け引きで値段が決まります。

「この仕事は常により多くのもうけを狙う。だから一人一人別々に見せて一番高い値段をつけたやつに売るんだ」

 

白トリュフハンターのエツィオ・コスタさん(67歳)はトリュフ狩歴50年のベテランハンターです。トリュフハンターは免許制で収穫できる時期や場所が決められています。アルバ市だけでトリュフハンターは4000人もいます。良いトリュフを見つけられるかは時間との勝負です。そのため夜明け前に山へと向かいます。エツィオさんの相棒は愛犬ジョッリ。黒トリュフの場合はブタを使うのが一般的ですが、ブタは見つけたトリュフを食べてしまうことがあります。より貴重な白トリュフは訓練された賢い犬が欠かせません。白トリュフが生えるのはブナやポプラなどの木の根っ子です。しかし、どこにどうやって生えるのかはいまだ謎のまま。地中数十センチからかすかに香るニオイだけが手がかりです。だからこそ人間の100万倍という犬の嗅覚が頼りなのです。エツィオさんは100年続くトリュフハンターの末裔です。収穫できるのは9月下旬から12月までの3ヶ月だけ。ここで白トリュフを見つけられるかどうかに家族の一年の生活がかかっています。

「トリュフがどこで採れるかは息子にも言わないとハンターたちの間では言うんだ。なぜならトリュフがそれほどまでにミステリアスで不思議なものだから。どこで採れたかは胸の中にしまっておくのさ」

トリュフハンターであり続けるには子犬を優秀なトリュフ犬に育てるという大切な仕事があります。犬は生まれながらに白トリュフの香りが好きなわけではありません。ゲーム感覚でニオイを覚えさせていきます。地道な訓練を毎日続け一人前のトリュフハンター犬になるには3年かかると言います。

 

エツィオさんの妻クレリアさんは家計を支えるためレストランを開いています。目玉焼きに白トリュフをかけるのが白トリュフの香りを一番楽しめるのだと言います。エツィオさんが子供の頃、母親によく作ってもらったメニューだそうです。

「トリュフの香りは1年の中で3ヶ月しか感じられないものだ。この香りをかぐといつも幸せだった子供の頃を思い出す。何か不思議とこれからもうまくいくような気がしてくるんだよ」

今でこそ高級品の白トリュフも、かつてはごく一般的な食べ物でした。ではどうして白トリュフは世界一高価なキノコになったのでしょうか?

 

フランチェスコ・モッラさん(95歳)はアルバで生まれ白トリュフと共に育ってきました。かつては1kg2ユーロほどだったと言います。大都市の人にも白トリュフの存在を広めたいとフランチェスコさんの父が言い出しました。当時はフランスの黒トリュフしか知られていなかったからです。フランチェスコさんの父ジャコモ・モッラさんこそ白トリュフを高級食材におしあげた張本人です。今は豊かなアルバも80年前は貧しい農業地帯でした。目立った特産品もなく大都市に出稼ぎに行くため家族が離れ離れになることも多かったと言います。町のリーダーだったジャコモ・モッラさんは白トリュフが放つ独特な香りがこの町を救う武器になると考えました。1929年、ジャコモ・モッラさんは白トリュフ祭りを開催。採れたての白トリュフを露店に並べ、その香りをアピールする場を作りました。さらに毎年白トリュフを有名人や映画スターに次々とプレゼント。影響力のある人たちにこの不思議な香りを表現してもらおうという作戦でした。香りの虜となったマリリン・モンローは周りに「こんな興奮させられるもの食べたことがないわ」と語ったと言います。

 

実はトリュフは媚薬と言われています。トリュフは男と女の仲をとりもつ不思議な力があると信じられてきました。その始まりはギリシャ神話にまでさかのぼります。全能の神ゼウスがある女性と結ばれた時、愛の結晶としてトリュフが生まれたと言うのです。

 

トリノ大学の植物生命科学部では白トリュフの遺伝子を解析しています。実は白トリュフはキノコ類の中で最も複雑な遺伝子構造を持っています。まだ解明途中で謎に包まれているものの一つだけ分かったことがあります。

「現時点では科学的に媚薬の効果があるのかはっきりしていません。ただトリュフには多くのアロマ成分が含まれています。アロマ成分は西洋文化において深い感覚を呼び覚ますと言われてきました。大地や秋の香り、花々や野菜の香りなどを思い起こさせます。ある状況に香りが重なり素晴らしい感覚が生まれてくるのでしょう。それがアルバの白トリュフからの贈り物なのです」


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