解明!ネコの不思議|地球ドラマチック

ネコは人に飼われていても大昔の野生の名残があります。人には理解できない奇妙な行動もその一つです。愛嬌をふりまく一方、時には野性的なハンターになります。

 

困った行動の理由

ネコは例え家の中でも縄張りを疎かにしません。ネコは足の裏の臭腺からニオイを出し、自分が来たことを伝えます。さらに、尿も自分の名刺代わりで、自分のニオイを撒き散らすのがネコ本来の習性です。自然界での流儀を律儀に守り続けるネコ。猫のDNAに組み込まれた野生の本能によるものです。野生の本能が飼い猫をやっかいな行動にかりたてます。

 

しぐさのメッセージ

トラは尾をふって相手に警告を発します。我慢の限界だぞという意味です。ネコが「シャー」と威嚇しヒゲが広がっていたら要注意です。かたまったように緊張しているネコを撫でるのは逆効果です。いったん恐怖のスイッチが入ると、落ち着くまでは時間がかかります。鳴き声、ヒゲや尾の動きは全て猫にとって言葉に代わるコミュニケーションの道具なのです。

 

旺盛な好奇心

猫は好奇心の強い動物です。いろんな物に首をつっこみたくてたまりません。自分では抜け出せなくなることもあります。

 

ねこ科の動物にしては珍しく、水で遊ぶことがあります。特に蛇口から流れるキラキラ光る水などが気になるようです。猫は本能的にきれいな水場を探しています。野性のネコ科動物は、獲物の死体の側で水を飲みません。衛生的ではないからです。飼い猫も、実は食べ物から離れた場所で水を飲むのが好きなのです。

 

また、猫は身の回りにあるものの調査をおこたりません。獲物を探し仲間と敵を識別するためです。しかし、十分に餌をもらっている飼い猫は、本来獲物であるものに食欲を感じなくなっている場合もあります。

 

母親から学ぶこと

ねこの行動は本能によるものばかりではありません。何を敵と思うかは母親から教わることなのです。生後間もなく子猫を母親から引き離すと怖いもの知らずになることもあります。母親がいなければ、生まれたばかりの子猫は生きていけません。

 

生後3週間は目が見えず母親に頼りきりです。5週間経つと子猫はもうじっとしていません。遊びは狩りの腕を磨く良い機会です。獲物に気づかれず後を追ったり、飛びかかって噛みついたり、いろんな技を仲間との遊びの中で何度も繰り返し練習しているのです。

 

優れたハンター

ライオンやトラのように猫も肉食動物です。獲物をとる必要がなくなっても、狩りに必要な武器は猫の身体にそなわっています。猫の鋭い聴力は、ネズミなどの高周波の鳴き声を聞き分けます。自在に動く耳は音の方角を突き止めることができます。ヒゲは空気の流れを察知し獲物の位置を探る働きをします。

 

ねこの眼球内には反射板のような組織があり、網膜に当たる光の量を増幅させることができます。そのため、真っ暗闇でも猫にとっては薄暗い程度です。そして、優れたジャンプ力で体長の6倍の距離を飛ぶことができます。猫が誤って落下することはほとんどありません。塀の上では尾で巧みにバランスをとって歩きます。

 

しかし、たまには足を踏み外します。そのような場合も瞬時に身体を回転させて常に足から着地します。柔らかな肉球としなやかな関節がクッションのように衝撃を吸収します。ビルの20階から落ちて無傷だった猫もいる程です。

 

これら全ての能力が強い捕食動物を生んだのです。科学者によると、アメリカではネコが1年間に仕留める鳥や小型哺乳動物の数は10億を超えるそうです。

 

夜の散歩で何を?

最近では家の中だけで飼われているネコも多くいます。しかし、自由に外に出られるネコは家の中とは別の顔を見せます。ネコは夜行性のハンターです。お腹がすいていなくても、あたりにいる動物を常に探ります。獲物を狩る習性をもつネコがなぜ人間に飼われるようになったのでしょうか。

 

イエネコの起源

私たちの身近にいる猫はイエネコと呼ばれます。イエネコのDNAを調べれば進化の道筋を辿ることができます。研究によって、全てのイエネコの祖先はリビアネコと呼ばれる山猫の一種であることが分かりました。

 

約1万年前、山猫の一部が人間のそばで暮らし始めイエネコの祖先となりました。ネコが他の家畜と違うのは、自ら人間に近づき共に暮らし始めた点です。自然界の捕食動物で、これほど人間と親しくなったものはほとんどいません。猫には優れた適応力が備わっているのです。ネコは人間に適応したばかりでなく人間のそばにいるのを好んでいるようです。

 

人とネコは相思相愛!?

人がネコに惹かれる理由は様々です。人間の好みによって改良を重ねられてきた現代のイエネコは、姿ばかりでなく性格も様々です。ネコの方も驚くべき方法で私たちを喜ばせようとすることがあります。

 

飼い主にお土産を持ち帰るネコは少なくありません。ネコのこうした行動は野性時代の名残です。獲った獲物は人に見せるためではなく、自分の巣に持ち帰っているのです。自然界のネコ科動物が食べ物を仲間に持ち帰るのと同じです。

 

イエネコの誕生から約1万年、その間ネコは人との付き合い方を学び続けてきました。人との絆をきずく学習は、生まれた瞬間から始めなくてはなりません。生後数週間の時期に人と触れ合ったかどうかがネコのその後を左右します。あまり人に接しなかったネコの中には問題行動を起こすものもいます。小さいうちに人に慣れていなかったことが原因です。

 

甘え行動の理由

いっけん人間に懐いているような行動も、その理由は少し違うようです。ネコが人の膝の上に座るのは子猫時代に戻る一種の退行です。母猫に身体を温めてもらっていた時のように、人の膝で暖をとっているのです。

 

また、ネコが人の体を揉むのは、母猫のように思っているからです。お乳を飲むさい前足で揉んで母乳を出そうとした時の名残なのです。撫でられるのが好きなのも幼い頃に関係があります。ネコは人間に撫でられると母猫の舌で舐められているように感じるのです。子猫の頃に感じた母猫の感触が蘇るのでしょう。

 

のどをゴロゴロ鳴らすのは本来、母猫と子猫の間だけのことです。それ以外で行うのはやはり一種の退行です。

 

サインで意思を伝える

飼い猫はよく鳴きます。飼い主に対して20種類以上の鳴き声を使い分けていることもあります。ネコにとって人の家は騒がしい場所です。人の家で暮らすネコは何かを主張するには叫ばなくてはいけないと知り「ニャー」という鳴き声の音域を上げます。鳴いても効き目がない場合、さらなる行動に出るネコもいます。

 

縄張りで分かる心理

自然界では縄張りを歩いて自分のニオイを残すことが欠かせません。食糧を確保し子孫を残すための重要な行動です。十分な食料と安全な住処を与えられた飼い猫も縄張りに対する意識を持っています。

 

ネコ科の野生動物のオスは、できるだけ多くのメスと交尾しようとします。飼い猫も同じで時には争いになります。

 

たくましい野良ネコ

イエネコでも人に飼われていない野良ネコもいます。ローマでは30万匹の野良ネコがいると言われています。限られた面積に密集していると、常に居場所をめぐる小競り合いが起こります。完全な野生でもなく人に慣らされてもいない野良ネコは、二重性を持つ動物です。人が住む社会の片隅に、独自のやり方で縄張りを築いています。

 

約1万年前、野生のネコの一部は人間と共に生きる道を選びました。しかし、野良ネコは少し違う生き方をしています。野良ネコの祖先は何らかの事情で人間のそばを離れた元飼い猫でしょう。野良ネコの行動は数千年前、人間社会の周辺にいたネコを彷彿とさせます。

 

野良ネコは飼い猫のように餌をもらう時に鳴きません。人間との絆を持たないため鳴き声で訴えかけることをしないのです。お腹をすかせた他の捕食動物に勘付かれないためにも、静かに食べるのが野良ネコのしきたりです。

 

においに敏感

集団で暮らすネコは、群れのライオンのように集団への帰属意識を持っています。互いに舐めあい毛づくろいするのは同じニオイを共有することで仲間意識を保つためです。飼い猫も同じ行動をします。嗅覚に優れたネコは、同じニオイのものを嗅ぎ分けて仲間意識や信頼の情を確かめ合います。

 

しかし、トイレの糞尿のニオイは極力隠そうとします。トイレで砂をかける行動は本能的なもので、糞尿のニオイが敵などに気づかれないようにしているのです。

 

現代病の悩み

現代の飼い猫は安全と寝床と食事を得る代わりに、自然とは程遠い暮らしに適応することを求められています。完全に室内で飼われているネコは、ネコらしい行動を学ぶ機会が限られています。ネコの暮らしぶりの変化は、健康状態にも表れています。

 

現代のネコは、栄養や手入れが行き届き以前より長生きになりました。そのかわり年齢に応じた病気が増えています。かつてネコの医療は子猫の診察、避妊、予防接種が中心でした。しかし、今は糖尿病や心臓疾患、腎不全など高齢による疾患が多く、特に肥満は大きな問題です。

 

ネコはそもそも人間のように頻繁に食事をする必要はありません。しかし、飼い主はついつい自分が食べるからネコにも与えようとしてしまうのです。

 

遺伝子操作で新品種

人間は理想のネコを求めるあまり、遺伝子を操作してネコの身体的特徴を変化させるようになりました。新しい品種が次々と誕生しています。しかし、愛くるしい特徴が問題の原因となることもあります。

 

顔が平べったい品種のネコは、目や呼吸器に問題をかかえがちです。鼻が極端に低くされているからです。ボタンのような鼻は自然界には存在しません。

 

ネコは本来狩りをして生きる動物です。しかし、人間が与えたエサを食べるという柔軟な適応力を発揮することで繁栄してきました。本物の狩りはしなくなっても、ネコ本来の性質は内側に秘められています。例え家で寝そべっていてもネコは野性の本能を失ってはいないのです。

 

WILD SIDE OF CATS
(イギリス 2012年)

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