アメリカ史上最大の美術品強盗事件「ガードナー美術館盗難事件」|世界まる見え!

1990年、ボストンの美術館から当時の額で5億ドル(現在の約1000億円)相当の絵画が一夜にして盗まれました。

 

事件の現場となったのはボストンのイザベラ・ステュワート・ガードナー美術館。1990年3月18日、深夜1時過ぎ、強盗犯は警察官を装って美術館に侵入。深夜2人しかいなかった警備員はすぐに取り押さえられ、地下に監禁。偽警官たちは展示された絵画を次々に盗んでいきました。

 

盗まれた絵画ヨハネス・フェルメール「合奏」(400億円以上)
レンブラント・ファン・レイン「ガリラヤの海の嵐」「黒装束の夫人と紳士」「自画像」
ホーデルト・フランク「オベリスクのある風景」
エドゥアール・マネ「トルトニ亭にて」 etc.

 

強盗犯らは約1時間半で13作品を盗み出し、被害総額は当時の価値で5億ドル(現在の約1000億円)相当にのぼりました。

 

事件発覚

翌朝、交代の警備員が出勤して事件が発覚。ただちに警察とFBIが捜査にのりだしました。

 

犯人は相当手慣れたヤツらです。警察手帳はニセモノで、奴らは付けヒゲで変装していました。犯行時、手袋をしていたようで指紋は検出されませんでした。館内での犯人の動きは動作感知装置によって把握できたのですが、顔の映った防犯カメラの映像テープは回収されていたんです。

(FBI特別捜査官ジェフリー・ケリー)

 

FBIは襲われた警備員2人の証言から犯人の似顔絵を作成。しかし、警察のデータベースに似顔絵と一致する人物は見つかりませんでした。

 

ガードナー美術館は貴重な絵画の数々を取り戻すため懸賞金を用意。その額1億円以上。多くの情報が寄せられましたが、どれもガセネタでした。

 

容疑者ヤングワース

そんな中、FBIの捜査で一人の容疑者が浮上。ウィリアム・ヤングワース3世です。

 

十数年も前の話になるが強盗事件が起きた72時間後にFBIは俺のところに飛んできたんだ。「何でもいいから知ってることを話せ。お前が一番疑わしい」ってぬかしやがった。

(ウィリアム・ヤングワース3世)

 

骨董商を営むウィリアム・ヤングワース3世は、山のような前科があり、盗んだ美術品を売りさばき大儲けしていました。

 

ヤングワースは今回の事件が起こる前、ガードナー美術館の襲撃を計画していたんです。奴が言うにはあの美術館の警備は手薄でちょろいから狙い目だったと言うんです。

(FBI特別捜査官ジェフリー・ケリー)

 

実際、事件の日も警備員は音大生のアルバイト2人だけ。州制度で決められた最低時給で働かされ、勤務中にマリファナを吸っていたと言います。ヤングワースの言う通り貴重な絵画が多くあるにも関わらず、ガードナー美術館のセキュリティは杜撰なものでした。

 

でも俺は犯人じゃねぇ。何てったって事件当日の俺にはアリバイがあったからな。

(ウィリアム・ヤングワース3世)

 

実は強盗事件が起きた時、ヤングワースは刑務所に収監されていました。それでもFBIは彼を事件の黒幕ではないかと疑ったと言います。

 

仮に、もし俺が犯人だったら貴重な絵を傷つけるようなバカなやり方はしないね。犯人は絵を額縁から刃物で切り取って盗んだらしいが、そんなことしたら価値が下がってしまう。それに犯人は絵の知識も足りない。あそこの美術館で一番値打ちがあるのは3階にあるティツィアーノの絵さ。俺なら真っ先にあの絵を盗むけど、実際は手つかずだろ。俺が黒幕だったらもっと上手く盗ませたさ。

(ウィリアム・ヤングワース3世)

 

容疑者マイルズ・コナー

もう一人の容疑者がヤングワースと親しいとマイルズ・コナーです。彼は警察になりすましての犯行で有名な美術品泥棒です。

 

コナーもまたヤングワースと同様事件当時は刑務所に入っていてアリバイがありました。しかし、彼はあの強盗事件は自分の仲間2人がやったと周囲に言いふらしていたというんです。私はその情報からニセ警官に扮した実行犯かもしれないコナーの仲間2人を調べました。すると、2人はすでに死んでいて、うち1人はおかしな殺され方をしましたがそれ以上は分かりませんでした。

(探偵チャールズ・ムーア)

 

匿名の手紙

1994年、ガードナー美術館に匿名の手紙が届きました。

 

それは取引を持ち掛ける内容でした。「絵を返して欲しければ2億2000万円用意しろ。警察やFBIには知らせず金の準備ができたら翌日の新聞のコラムに数字の1を載せろ」と書かれていたんです。

(ボストン・グローブ紙 スティーブン・カークジャン)

 

しかし、美術館は手紙が届いたことをFBIに相談。そしてFBIの指示のもと手紙の要求通り新聞のコラムに数字の「1」を載せました。

 

すると、美術館に新たな手紙が…

 

約束は破られた。警察が動いているから取引は中止だ。

 

以来、手紙は届かなくなり手掛かりは途切れてしまいました。

 

ヤングワースの新たな証言

1997年、ガードナー美術館は懸賞金を約5億円に引き上げました。すると、ヤングワースが突然口を開きました。

 

俺は盗まれた絵がどこにあるか知っている。懸賞金の5億円を前払いしてくれりゃ絵を取り戻してやるよ。美術館やFBIにそう伝えたんだ。でも取引には1つ条件がある。この事件に関して俺は一切罪に問われないっていう恩赦が欲しいって言ってやったのさ。

(ウィリアム・ヤングワース3世)

 

しかし、罪を全く問わないという条件はFBIも警察ものむことはできませんでした。

 

そこで俺は恩赦を認めさせ懸賞金5億円がもらえるよう新聞記者を倉庫に連れて行き記事を書かせたんだ。

(ウィリアム・ヤングワース3世)

 

記事には美術館から盗まれたレンブラントの「ガリラヤの海の嵐」を目撃したと書かれていました。

 

あの記事を読んだ美術館の役員から連絡があってね、絵を取り戻す前金として100万円を俺にくれたよ。

(ウィリアム・ヤングワース3世)

 

しかし、美術館は「ヤングワースに金を渡した事実はない」と否定。この直後、ヤングワースは別件で逮捕され刑務所行き。この時、彼はガードナー美術館の事件に関して何も語らず、絵画を取り戻す話はなくなってしまいました。

 

新たな容疑者

その後、スコットランドヤードの美術品の知識が豊富な専門チームが捜査に加わりました。

 

我々の捜査で事件の黒幕は美術館のあるボストンの街を牛耳ってたアイルランド系のギャングの大ボス ジェームス・ホワイティ・バルジャーという情報を入手しました。やつは実行犯から受け取った絵を持ってアイルランドに渡ったというんです。

(スコットランドヤード刑事ディック・エリス)

 

2002年、エリス刑事はバルジャーから絵を預かったという男との接触に成功。

 

男は私に1枚の絵を見せました。それはガードナー美術館から盗まれたフェルメールの「合奏」でした。私は間違いなく本物だと思いました。しかし、彼らとの交渉はうまくいかず、フェルメールの絵を取り戻すことはできませんでした。

(スコットランドヤード刑事ディック・エリス)

 

しかし、この件に対し刑務所を出所したヤングワースは…

 

ギャングの大ボスが黒幕だとか絵がアイルランドにあったとか全部ウソっぱちだよ。ちょっと美術をかじっただけの捜査官は何もわかっちゃいなかったのさ。俺は全部知っている。5億を渡して俺を罪に問わないって約束するなら、いつでも絵は戻ってくるよ。

(ウィリアム・ヤングワース3世)

 

ガードナー美術館は盗まれた絵画が戻ってくると信じ、今も空の額縁がそのまま展示されています。

 

「世界まる見え!テレビ特捜部」
アメリカ史上最大の美術品強盗事件



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