フランスのプレヴサンに住むジャン=クロード・ロマンは、妻と2人の子供と幸せな生活をしていました。妻は超エリート医師の夫を誇りに思っていました。
夫の勤め先はWHO(世界保健機関)。本部はスイスのジュネーブにあり、193カ国が加盟する国連の専門機関です。家計・財産は夫が管理し、豪邸に高級車、お金に困ったことなどありませんでした。
エリート医師の正体は無職
しかし、ジャン=クロード・ロマンの正体は無職でした。WHO勤務、医師というのも嘘だったのです。
ジャン=クロード・ロマンは、朝家を出るとフランスから国境を越えスイスへ。向かった先はWHOの本部。職員でもないのに実際に通っていました。それは、ウソをつくため最新の医学知識の情報収集のためでした。
さらに、実際に開かれる国際会議の日に海外出張にも出かけていました。しかし、本当は空港近くのホテルに宿泊するだけ。そして、妻に嘘をつくため出張先の情報を本を読んで仕入れていました。
生活費は?
生活費は両親、妻の両親、親戚から騙し取っていました。WHOに勤めている自分の名義にすればスイスの銀行にお金を預けられ、金利は18%もつくと嘘をついていたのです。
この手口で8000万円もの金を手に入れていました。それがなくなると、友人も同じ手口で騙しました。
嘘つきになったのは…
ジャン=クロード・ロマンがこんな嘘付きになったのは、両親の教育のせいでした。実家は裕福でしたが、父の教育はとても厳格でした。肩書きばかり気にする両親に、ジャン=クロード・ロマン少年は失敗することはできない、失敗したら自分の居場所がなくなると考えるようになりました。
ジャン=クロード・ロマンは両親を喜ばせるために猛勉強し、フランスのリヨン大学医学部に合格。大学で妻となるフロランスと出会いました。
フロランスは医学部では極めつけの美人。彼女は優秀で裕福なジャン=クロード・ロマンに好意を持ちアプローチしました。2人は付き合い始め、学内NO.1のカップルでした。
嘘の始まり
しかし、フロランスへの恋にうつつを抜かしジャン=クロード・ロマンは2年生への進級試験に落第。人生初の失敗に直面したのです。
フロランスに捨てられるのが怖くて、本当の事が言えませんでした。これが18年の嘘の始まりでした。
落第しているにも関わらず、何食わぬ顔で2年生の講義に参加。もともとの頭の良さもあり、全員を完璧に騙すことに成功。就職の話題になると、WHOに就職したと言いました。
WHOに普通の医学生が就職できることはほとんどないので、知り合いに会うこともない完璧な嘘でした。2人は結婚し、18年も嘘の生活を続けました。
嘘がバレる
彼の嘘がバレるきっかけはクレジット会社から来た「残高不足で引き落としできない」という通知でした。
実は嘘のセレブ生活がエスカレートし、1ヶ月の生活費は180万円にも達していました。ジャン=クロード・ロマンが嘘で集めた金も底をつき、残高は4万円になっていたのです。
さらに、隣にWHOに勤めている人が引っ越してきました。その人から本部で毎年クリスマスパーティーが開かれていることを教えられました。妻は不審に思いはじめました。フロランスはWHOの代表番号に電話し、夫がWHOにいないことを知ってしまったのです。
家族を殺害
1993年1月9日、ジャン=クロード・ロマンは妻と2人の子供を殺害しました。さらに、実家に行き両親を殺害。
自宅に戻ったジャン=クロード・ロマンは家を燃やし、自身も睡眠薬を飲んで死のうとしました。しかし、近所からの通報でジャン=クロード・ロマンは助けられてしまいました。
ジャン=クロード・ロマンに下された判決は、死刑のないフランスで最も重い無期懲役でした。
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医者を演じ続けた夫
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