2012年1月13日、コスタ・コンコルディア号はイタリアのチビタベッキアを出航しマルセイユ、バルセロナなど7泊8日の海の旅の予定でした。船は午後7時に出航。乗員乗客合わせて約4300人が乗っていました。船の最高責任者は船長のフランチェスコ・スケッティーノでした。
ところが、出航して2時間半、イタリア半島とジリオ島との間を通る時に海底の岩に衝突。船は数十mにも渡って亀裂が入り浸水を始めました。しかし、船長や乗組員からちゃんとした説明はなく、乗客は自分たちの判断で逃げ惑いました。
船は一刻を争う状況でしたが、乗組員はこう説明しました。
私たちは問題解決の対策を全てとりました。電気系統の問題です。すべて問題ありません。お部屋かラウンジに戻っておくつろぎ下さい。
しかし、非難解除となったにも関わらず乗組員はライフジャケットを着用していました。
やがて船は斜めに傾き、立っているのも困難に。それでも避難指示は出ませんでした。身の危険を感じ、乗客たちが部屋を出て動き出すと「どうか落ち着いて集合場所へとお進み下さい。デッキ4でございます」と船内アナウンスが流れました。ようやく出た避難指示は、衝突から1時間以上経ってからでした。
4000人以上の人々がデッキへ押し寄せ殺気がみなぎりました。救命ボートは、けが人や子供連れ、高齢者が優先的に乗せられました。乗員乗客が十分乗れるだけの準備はありましたが、次第に我も我もと乗り込む人々。こんな時、指示を出すはずのスケッティーノ船長は乗客たちを残し船から脱出していました。この座礁事故で30人が死亡。2人は今も行方不明のままです。
事故の原因は客船の料理長がジリオ島の出身で、船長が料理長の家族への挨拶として島に接近しすぎたためとされました。乗客の救命活動を放棄したスケッティーノ元船長は逮捕され約2500年の刑が求刑され、裁判は今も続いています。奇しくもタイタニック号の事故から100年目だったコンコルディア号の悲劇。この事故がきっかけで、とんでもない騒動が巻き起こりました。
事故後の報道番組に弁護士のジャチント・カンツォーナが出演し訴えました。その内容は乗客だった妊娠中のクリスティーナが命は助かったものの流産したというもの。そこで運航会社に100万ユーロ(約1億300万円)の訴訟を起こすと語ったのです。そしてクリスティーナ自身も電話で出演。苦しい胸の内を語りました。その後、別のテレビ番組にクリスティーナと夫が出演し、失った子供への思いと事故への怒りを訴えました。
ところが、番組スタッフには違和感があったと言います。それは電話で話していた時とテレビ出演の時とではイントネーションが違ったのです。さらに、本番前の出演承諾書のサインを一度間違えて書いていました。テレビ局は夫婦が出演した番組の放送を取りやめ、この夫婦に関する検証番組を急遽放送しました。
テレビ出演した女性の本当の名はマルゲリータ。クリスティーナとは一切面識がないと言います。また夫も偽者。役者の彼は報酬をもらって悲劇の夫を演じ、マルゲリータに協力を依頼していたのです。その依頼をしたのは弁護士のジャチント・カンツォーナ。本物のクリスティーナ夫婦が顔を出してくれないからと夫婦のフリを依頼したのです。
しかし、この弁護士の嘘は替え玉を使ったというだけではありませんでした。そもそも流産した悲劇の夫婦自体が存在していなかったのです。実はカンツォーナ弁護士のでっちあげはこれが初めてではありませんでした。人々が飛びつきそうなネタを考え、メディアに取り上げられることを喜びとしていたのです。カンツォーナは1年間の停職処分となりました。
そして2012年8月23日、お騒がせ弁護士カンツォーナが脳梗塞で死亡したと報道されました。ところが、これも嘘で彼はバカンス中。なぜこんな報道が流れたのか、誰が流したのかは不明ですが、これも彼が怪しいとされています。
「ザ!世界仰天ニュース」
コスタ・コンコルディア号座礁事故
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