大きいことはいいことだ
アフリカオオノガンは、草原を歩き回って暮らすツルの仲間です。最大の特徴は大きさ。身長150cm、体重18キロもあります。大きいのは体だけではありません。態度もとても大きいのです。ガゼルやシマウマを追っ払ってしまいます。
アフリカオオノガンは体が大きく重いので、空の敵には狙われないうえ地上の敵には飛んで逃げられる無敵の鳥なのです。アフリカオオノガンは飛べるギリギリのところまで大きくなることで危険なサバンナを生き抜いてきました。
大きな体で安全な暮らしを手に入れたアフリカオオノガンですが、巨体を支えるために1日のほとんどの時間を食事に費やします。その食事のメニューは驚くほど多彩です。昆虫やネズミ、トカゲ、キノコなど目についたものは何でも食べてしまいます。
最も大事な食べ物が、アカシアの樹脂です。高カロリーなアカシアの樹脂をアフリカオオノガンは頻繁に食べます。動物から植物まで何でも食べて無敵の巨体を維持しているのです。
十分な食べ物を確保するため、4キロ四方にもなる広大な行動圏でたった1羽だけで暮らします。
恋の季節 オスが変身
雨季になるとアフリカオオノガンの恋の季節が始まります。オスたちはユニークな方法で、遥か遠くにいるメスに愛を伝えます。首を膨らませ、尾羽を上げ白い羽を目立たせるのです。平らな草原だと白い羽は数キロ先からでもよく見えるのです。
奇妙な音でメスにアピール
遠くにいるメスに気づいてもらうため、オスにはもう一つとっておきの作戦があります。ドンドンという不思議な音を出すのです。メスを呼ぶためのオスの鳴き声です。
鳴く時、オスは食道の一部を大きく膨らませます。この部分に鳴き声を響かせることで太鼓のような音を出していると考えられています。こうして独特の鳴き声で姿の見えないメスに愛を伝える作戦なのです。
ヒナが誕生!子育てに密着
アフリカオオノガンの卵は8cm程。地面に直接卵を産みます。子供を育てるのはメスの役目で、オスは子育てには全く参加しません。
産卵から孵化までは約3週間です。その間メスは食事の時間を減らし、ほとんど1日中巣に座って卵を守り続けます。このツライ時期に役立つのが飛べるギリギリまで大きくなった巨体です。産卵前にたっぷりと蓄えた皮下脂肪のおかげで、あまり食べなくても平気なのです。
生まれて数日のヒナは、まだ素早く動くことができません。この時期は最も天敵に襲われやすいのです。1週間もすると足取りはしっかりとしてきます。1年もするとお母さんのもとを離れ、たった1羽で生きていきます。
「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」
サバンナの怪鳥アフリカオオノガン
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