コルトン・ハリス=ムーアはアメリカ、カナダ、バハマをまたにかけ、80件近くの盗みを次々と繰り返した世紀の大泥棒です。
更生施設から脱走
2008年4月、当時17歳のコルトン・ハリス=ムーアは窃盗などの罪で実刑判決を受けワシントン州カマーノ島にある更正施設に収監されていました。
ところがある夜、コルトンは施設から脱走。靴を履かず裸足のまま逃げるその姿から「裸足の泥棒」と呼ばれるように。
近隣の家に停めてあった車を物色し逃走。もちろん無免許ですが、これまで幾度となく盗難車を乗り回してきたコルトンにとって車の運転など朝飯前でした。
その道すがら、巡回中のパトカーを見つけると後方から一気に追い抜き警官を挑発。巧みなドライビングテクニックを見せつけ、警察をギリギリまで引き付け車を乗り捨てました。
そして、コルトンは警察をあざ笑うかのように森の中で姿を消しました。森の中に潜伏したコルトンは、機をうかがい盗みを繰り返していきました。その手口はずる賢く大胆なものでした。
大胆な盗みの手口
コルトンは、まず店内を観察し警報機を解除してから物を盗んでいくのです。
さらに、盗んだクレジットカードを使いインターネットで商品を注文すると、受け取り先を勝手の分かるレストランに指定。商品が届いたのを確認して夜そこへ侵入し、注文した物を盗み出していました。
また、コルトンはパトカーからノートパソコンや拳銃を盗み出し、捜査状況をつかみました。
時折、コルトンは犯行現場にチョークでかいた裸足の足跡を残し、さらなる犯行をほのめかしていました。
小型飛行機で高飛び
コルトンは盗んだボートでカマーノ島から60kmほど離れたオーカス島へ移動。この島には多くの小型飛行機が離着陸する空港があるのです。コルトンはこの小型飛行機を盗み高飛びするつもりだったのです。
コルトンは小型飛行機の操縦マニュアルを盗み独学で学びました。そして数週間後、警備室から鍵を盗み出し小型飛行機の格納庫の侵入。コルトンは初めて操縦した飛行機を簡単に飛ばしてしまいました。
ところが、マシントラブルが発生し機体は急降下。地上すれすれのところで機体を立て直したコルトンは木々に激突しながらなんとか着陸。機体はボロボロになったものの一命はとりとめました。
警察はこうした移動の痕跡をたよりにコルトンの足取りを追っていましたが、消息をつかむことは出来ませんでした。
悪のヒーローに
逃走から1年後、コルトンは逃走中の自分の写真をフェイスブックにアップ。これがきっかけとなり、いつしかコルトンは悪のヒーローとしてもてはやされるように。
さらに、コルトンの顔を印刷したTシャツはバカ売れ。これに便乗してコルトングッズを売り出す店も続々と現れました。
一方、警察はこうした世間の悪い風潮を打開すべくSWATに応援を要請。本格的な捜索に乗り出していました。さすがのコルトンもこれでは簡単に動けず、世間はコルトンは死んでしまったのではと噂するように。
警察はついにコルトンの潜伏場所を突き止めました。それは、ワシントン州グラナイト・フォールズの森の中。しかし、警察がしのびよっていることに気づいたコルトンは小型飛行機でバハマ諸島に逃走。バハマの警察もコルトンの身柄確保に乗り出しました。
ついに逮捕される
それまで人前に出ることのなかったコルトンですが、地元の若者にボートレースを挑みました。コルトンは賞金がかけられていたので、若者はコルトンに銃を向けました。コルトンは急旋回してこれを回避し港へと引き返しました。
ところが、この騒ぎを聞きつけた島の警備員に見つかってしまい多くの警官が集結。警官にボートで追われている最中、コルトンの乗ったボートは浅瀬に乗り上げてしまいました。
コルトンは銃をこめかみにつきつけ、自殺するそぶりをみせ左手でボートを動かそうとしました。しかし、気づかれついにコルトンは降伏。こうして2年3ヶ月にわたる逃走劇に終止符が打たれました。
逮捕後
現在、コルトンはワシントン州の刑務所で懲役7年の刑に服し、航空技師になる勉強をしているそうです。
そして彼は自身の逃亡生活を描く権利を20世紀フォックスに1400万ドル(約14億円)で譲渡。そのお金を被害者への賠償金にあてているそうです。
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