中央アジアのカザフスタン北部にあるカラチ村ではここ数年、村人たちが不可解な病気に苦しめられています。それは眠り病。
昼夜を問わず突然何の前触れもなく猛烈な睡魔に襲われ、数日間にわたり眠りに落ちてしまうと言います。さらに、倦怠感や精神不安、記憶障害などの症状が起こります。また幻覚に襲われるケースも少なくありません。
カラチ村で眠り病が流行し始めたのは数年前のこと。リュボフさんが最初に発症した人物で、それは2010年4月のことでした。そして100人以上の人々が眠り病にかかりました。専門家や科学者がこの謎の病気を解明すべく調査に乗り出しました。
調査の結果、ウイルスではなく脳にも異常は見られませんでした。調査チームは続いて村にある唯一の水くみ場に目をつけました。井戸水をロシアの検査機関に持ち込み解析。特に異常は見つかりませんでした。さらに、土壌や農産物のサンプルも採取して検査したものの何も問題はありませんでした。
村民に聞き取り調査をしたところ、鉱山が怪しいことが分かりました。実はカラチ村は旧ソ連時代のウラン鉱山に隣接しているのです。1990年に廃鉱となりましたが、村民の多くは鉱山跡こそが眠り病の元凶ではないかと疑っています。
調査チームはウラン鉱山跡で放射線量を測定。すると、瓦礫の下から高いレベルの放射線量が検出されました。しかし、放射性物質が眠り病の原因とは考えにくいです。なぜなら鉱山で長年働いていた労働者は眠り病などにかかっていないからです。様々な調査を行ったものの眠り病の原因は特定できないまま2014年の取材は終わりました。
そして2015年、再び取材班がカラチ村を訪れました。カラチ村では引き続き原因究明の調査が行われていました。そして住民の一人で鉱山で働いていたビクターがある仮説を立てました。それは鉱山の地下にはウランだけでなく銅や鉄、大量の木材があるためそれらが長い年月をかけて発酵し一酸化炭素などの有毒ガスを放出しているのではないかというもの。
そこで村人たちの血液検査が行われました。すると、住民の半数以上の血液中に高濃度の一酸化炭素が検出されました。眠り病を引き起こす原因は一酸化炭素中毒によるものだったのです。
しかし、一体なぜ一酸化炭素が増加したのかは今後の調査にゆだねられています。これを受けて自治体は村民を避難させることにしました。
「世界まる見え!テレビ特捜部」
世界一睡眠時間の長い村
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