ダラス・ウィーンズさんは、教会の壁の修復をしている時につまずき高圧電線に顔面から突っ込んでしまいました。顔は焼けただれ頭蓋骨がむき出しの状態に。奇跡的に命は助かりましたが、目も鼻も唇も失ってしまいました。ほとんどの筋肉・神経も焼け落ち頭蓋骨が露出。鼻は軟骨ごと失い両目も損傷してしまいました。
感染症を防ぐため太ももと背中の皮膚を顔面に移植。筋肉・神経はわずかしか残っていないため、顔の感覚はほとんどなくニオイも分かりません。聴覚だけは問題なく話すことはできますが、食事は流動食をストローで流し込む生活になりました。
ダラス・ウィーンズさんは絶望しましたが、一人娘のために諦めることはできませんでした。
事故から1年、ダラス・ウィーンズさんは回復とは無縁の不自由な日々を送っていました。移植した皮膚の検診や唇の再生手術などを少しずつ受ける日々。心の支えは一人娘のスカーレット。ダラス・ウィーンズさんは祖父母と同居し障害者給付金を受け取っていました。
ダラスさんは自分の顔のせいで娘が嫌な思いをするのを恐れて一緒に出かけないようにしていました。そんなパパを気遣うかのようにスカーレットは日々の出来事を父に話しました。
顔面移植手術
そんなある日、事故直後からダラスの担当をしているジェニス医師から新しい顔を移植できる可能性があると聞かされました。
顔面のドナー登録は行われていないので、ドナー登録をしている人の中で遺族の許可が得られた場合のみ移植可能となります。
成功例は世界で10例ほどで、アメリカでは2例。そのアメリカの成功例のうち1つを成功させたのがボーダン・ポマハク医師です。ダラスさんの手術内容をアメリカ兵士の治療の参考にできるなら料金は全額アメリカの国防省に補償してもらえることになりました。
そして2011年3月、ドナーが見つかりました。死亡時刻から24時間以内に手術を終わらせなければドナーの顔は壊死してしまうため、ダラスさんは急いでボストンへ向かいました。
最初に顔面を覆う皮膚が取り除かれ、機能回復が望めそうな血管と神経を探します。両頬の神経が予想以上に残っていることが判明しました。そしてドナーの顔が手術室に到着。神経や血管を髪の毛より細い糸で縫い合わせていきます。鼻はドナーの骨と血管などを広げるときに使う金属のステントで再建されました。手術は無事成功しました。
手術後、ダラスさんは唇を動かして話せるようになり、しっかりと呼吸もできるようになりました。また血管や神経がつながり髪の毛やヒゲも伸びるようになり顔の感覚も一部回復。さらに、嗅覚も復活しました。
「ザ!世界仰天ニュース」
顔を失った男性の顔面再生手術
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