眠りを奪われた一族、致死率100%「致死性家族性不眠症」の恐怖|サイエンスミステリー

フジテレビの「サイエンスミステリー2011~人体の秘密SP見えざる禁断の世界~」で眠りを奪われた一族、致死率100%の恐怖の病について放送されました。

 

イタリアのベネチアの沖合いに浮かぶ小さな島サンセルボロ島はかつて島全体が精神病院でした。島に残された古い文書にフェリーチェ・ウルバーニ(55歳)の死が記録されています。そこには慢性的な錯乱状態で死亡と書かれていますが、200年後にその死因が明らかになりました。

 

スペインのバルセロナに住むリベルタ・サンチェスさん(33歳)の母親ピリさんは4年前に奇妙な死をとげました。始まりは眠れないだけでしたが、その後ピリさんは眠れないまま10ヵ月後に亡くなりました。リベルタさんの一族は祖母、祖母の弟、祖母の姉、伯父が眠れないで死んでいます。リベルタさんの祖母の時代には原因がわからず呪いと思われていたと言います。

 

眠れない病の正体が明らかになったのは1984年。シルヴァーノという男性がイタリアのボローニャ大学のエリオ・ルガレシ博士を訪れたことに始まりました。シルヴァーノが死ぬまでの映像が記録されています。映像で、シルヴァーノは日中眠そうに何度も何度も瞼を閉じようとします。しかし、すぐに開いてしまいます。夜、ベッドに横になりますが体が動き続けるのです。10日後には歩けなくなり、死の直前には話すことが出来なくなりました。どんな治療を施してもシルヴァーノは一度も眠ることはありませんでした。入院から2ヶ月後、想像を絶する苦しみの中でシルヴァーノはこの世を去りました。エリオ博士を驚かせたのはシルヴァーノの脳波でした。通常、人は眠りにつくと浅い眠りから深い眠りへと段階的にうつっていきます。しかし、シルヴァーノの脳波は区別がつかない程短い間隔で覚醒と睡眠を繰り返していたのです。その間隔はわずか20秒でした。

 

シルヴァーノの死後行われた脳の解剖の結果はさらに信じられないものでした。正常な人の脳では睡眠に関係している視床には神経細胞が多くみられます。しかしシルヴァーノの脳には一つしか神経細胞がなかったのです。神経細胞を破壊したのはプリオンでした。プリオンが引き起こす病が脳を破壊する病気は、例えばクールー病があります。手や体のふるえが止まらなくなり治療法はありません。シルヴァーノの病気の場合、それだけではありませんでした。原因となる遺伝子を引き継いだ場合、ほぼ確実に発症してしまいます。プリオンを生み出すのは遺伝子のほんのわずかな狂い。この病気は原因が分かった今「致死性家族性不眠症(Fatal Familial Insomnia)」と呼ばれています。致死性家族性不眠症(ちしせいかぞくせいふみんしょう)は世界中で約100例が報告されています。




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