ジョン・ケージは20世紀のアメリカが生んだ作曲家で、現在の前衛音楽に多大な影響を与えた「実験音楽の父」と呼ばれる人です。
1952年作曲「4分33秒」
ジョン・ケージは79年の生涯で発表した楽曲は250曲をこえ、ハーバード大学の教授として迎えられるほどスゴイ人です。
彼の楽曲は楽譜を見れば一目瞭然。異彩を放ちまくりです。図形楽譜と呼ばれる楽譜は実際に演奏すると、やっぱり型破り。
そんなジョン・ケージが1952年に作り上げたのが「4分33秒」という名の曲です。3楽章に分かれているこの曲の楽譜には、これまでのような音符や図形は一切なく、中に書かれているのは「休み」を表すタチェットの文字のみ。この曲はジョン・ケージが亡くなった後も数多くのオーケストラで演奏される代表作となりました。
「無音」に関心を持っていたジョン・ケージは「4分33秒」が生まれる6年前、日本の仏教哲学者・鈴木大拙に弟子入り。生きている人間にとって完全な無音は存在しないというケージの考えは、禅の教えを学ぶ中で改めてこの世で自然に聞こえるもの全てが音楽であると再確認したのです。
つまり、オーケストラの楽器が鳴り響かなくても周囲のちょっとした音全てが音楽になりうるとジョン・ケージは伝えたかったのです。
「4分33秒」は盟友のピアニスト、デヴィッド・チュードアのリサイタルために作ったとされています。初めてチュードアが演奏した時の時間が4分33秒だったため、曲のタイトルが「4分33秒」になったという説もあるそうです。
1952年作曲「水の音楽」
水の音楽の楽譜にも音符などはほとんどなく、いたるところに細かいジョン・ケージの指示が12ページに渡りかかれています。
「水の音楽」はまずラジオの音からスタート。さらに水の入った容器に笛を突っ込みブクブクします。さらに、ピアノのフタを閉め弦の上に出来るだけ素早くカードを並べたり、ある容器から後ろに置いた別の容器に水を注いだり。素人目には全く理解不能な演奏ですが、耳の肥えた観客は真剣な表情でこの曲と向き合います。
「水の音楽」でジョン・ケージがやっていたのは3つの音の世界の融合。人工的なピアノの音、自然の水の音、電子的なラジオの音という異なる3つの音。それらを融合させた新しい音の世界をジョン・ケージは楽譜に表現したのです。
1957~1958年作曲「ピアノと管弦楽のためのコンサート」
ジョン・ケージの創作意欲はとどまるところを知らず、40代半ばで取り組んでいたのは演奏結果が不確定になる音楽。どんな演奏になるかをジョン・ケージ自身も予測できないという楽曲です。
その楽譜には楽器ごとに多少の楽譜はあるものの記載されていない部分の演奏は全て自由。加えて楽譜の冒頭に「演奏者は複数の楽器を自由に演奏して良い」と書かれています。同じ音は二度と再現できないという偶然性の音楽をジョン・ケージは作り出したのです。
稀代の作曲家ジョン・ケージがこの世を去ったのは1992年。彼は最後まで偶然性の音楽を追及し数々の楽譜を残しました。それらは現在、世界の名だたるアーティストによってケージの意思をくみ演奏されています。
「マツコ&有吉の怒り新党」
ジョン・ケージの新3大音楽の概念を覆した楽曲
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