ブラックホール成長の謎|サイエンスZERO

NHK・Eテレの「サイエンスZERO(サイエンスゼロ)」でついに解明!ブラックホール成長の謎が放送されました。強力な重力を持ち、周りにあるものを飲み込むブラックホール。その姿を直接見ることはできず多くの謎を秘めています。中でも最大の謎はブラックホールがどうやって成長するのかです。実はブラックホールは誕生する時、太陽の質量の十数倍にしかならないことが理論上分かっています。しかし、宇宙にはその何百倍もの質量を持つものが存在しているのです。この超巨大なブラックホールは一体どのようにしてできたのでしょうか?

 

謎の天体 ブラックホールとは?

ブラックホール研究の始まりは約110年前。天才物理学者アルバート・アインシュタインにまでさかのぼります。一般相対性理論の中で予言したのが、質量を持つ物体があるとその重力によって空間が歪むということです。その後、ドイツの物理学者カール・シュヴァルツシルトは、重力で空間がどこまで歪むのかを計算しました。すると、例えばある天体を1点に限りなく収縮させると空間は無限に歪み光さえも脱出できないことが分かったのです。これが理論が導きだした天体「ブラックホール」です。では、一体どんな時に天体は限りなく一点に収縮するのでしょうか?

研究で明らかになったのは太陽の30倍以上の質量を持つ重い恒星が一生を終える時のことです。恒星の中では水素などの軽い元素が次々に反応して重い元素になり、最後には鉄になります。いわゆる核融合反応です。この核融合によって生じる膨張しようとする力と重力によって収縮しようとする力とが釣り合って恒星はその形を保っています。ところが、星が一生の終わりをむかえ核融合の材料がなくなると膨張する力がなくなるため星は急激な収縮を始めます。すると、その反動で星は超新星爆発を起こして表面が吹き飛ばされます。そのあとに残るのが限りなく小さく収縮した天体ブラックホールなのです。

 

ブラックホール成長の謎を解明する世紀の大発見!

2016年2月、アメリカの研究チームが世界を驚かせる観測結果を発表しました。重力波です。質量の大きな天体が動くと、その重力で空間は歪みます。その歪みが波のように伝わる現象が重力波です。存在が予言されて100年間、観測で確かめることができず、「アインシュタイン最後の宿題」と呼ばれていました。2015年9月、重力波を初めて観測したのがアメリカの重力波望遠鏡LIGOです。ルイジアナ州とワシントン州にある2つの装置で重力波の波形がとらえられたのです。この観測結果を喜んでいたのは重力波の研究者たちだけではありません。

ブラックホールは小さなものが衝突、合体を繰り返し大きく成長していくという理論が考えられてきましたが、誰も確認したことがありませんでした。そこで注目されたのが重力波です。実は、重力波を観測できる天文現象は超新星爆発、中性子星の合体、ブラックホールの合体の3つが考えられています。そして、今回観測された波形はブラックホール同士の合体を示すものだったのです。太陽質量の36倍と29倍のブラックホール同士が合体し、62倍のブラックホールが誕生。重力波を放出したことが分かったのです。さらに、2015年12月には2度目の観測に成功。今度は太陽質量の14倍と8倍のブラックホールが衝突。21倍のブラックホールに成長した時の重力波でした。ブラックホール同士が合体することで成長する、そのシナリオが重力波の観測によって証明されたのです。

 

銀河の中心付近で驚きの発見!

天の川銀河の中心にあるブラックホール、いて座A*を調べていた慶応義塾大学理工学部の岡朋治さん。注目したのは宇宙空間を漂うガスです。ガスの塊からは電波が出ています。この電波を調べることでガスがどのように動いているかが分かるのです。岡さんは長野県にある野辺山45m電波望遠鏡を使って天の川銀河の中心付近のガスを調べました。分析の結果、ガスは強く振り回されていることが分かりました。ガスの動きから強い重力源の存在が浮かび上がったのです。岡さんは、そこにブラックホールがあると考えてシミュレーションを行い、その様子が観測結果を一致しました。計算の結果、ガスを振り回していたのは太陽質量の10万倍というブラックホールでした。天の川銀河の中心付近で中質量のブラックホールの存在が明らかになったのです。

 

ガスを吸い込むメカニズムに迫る!

常にガスを吸い込んでいると思われがちなブラックホールですが、実はそうではありません。ブラックホールの周囲を回るガスには遠心力が働いています。そのため、ガスはそう簡単には内側には落ちていきません。ブラックホールがガスを吸い込むためにはガスを内側に向かわせる何らかの仕組みが必要になるのです。東京大学天文学教育研究センターの泉拓磨(いずみたくま)研究院が注目したのは超新星爆発です。銀河中心のブラックホールの周りには星の材料となるガスが大量に集まっているため、沢山の星が一気に誕生し成長していきます。この環境で誕生した星たちは、高い温度で激しく燃えるのですぐに材料を燃やし尽くし超新星爆発を起こして最後をむかえます。この爆発の衝撃がブラックホールにガスを送っているのではないかと考えたのです。そこで泉さんは超新星爆発によってガスがどれだけブラックホールに吸い込まれていくか計算をしました。さらに、チリにあるアルマ望遠鏡を使いブラックホールが実際にどれだけガスを吸い込んでいるのかを調べました。その結果、計算の値と観測結果がピタリと一致することが分かったのです。




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