ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」|ららら♪クラシック

「愛」と「死」をみつめて

作曲だけでなく自ら台本も書いたリヒャルト・ワーグナー。「トリスタンとイゾルデ」は中世ヨーロッパの伝説をもとにした音楽劇です。

 

物語は船の旅から始まります。伯父であるマルケ王のもとに異国の姫イゾルデを嫁がせようとする騎士トリスタン。実はトリスタンはイゾルデのかつての婚約者を殺した敵。イゾルデはその恨みを晴らそうとトリスタンに毒薬を盛り、自分も死のうとしました。しかし、それが愛の媚薬とすり変えられたために2人の間に激しい愛の炎が燃え上がるのです。やがて、トリスタンへの想いを隠したままイゾルデは王の妃に。2人は人目をしのんで密かに愛し合いました。しかし、王の知るところとなり2人は死へと追い詰められていくのです。

 

4時間にもおよぶこの物語は、愛し合うことが許されず死に憧れるしかない2人の想いがひたすら表現されます。そして音楽的にも、この作品は死を予感させる響きに満ちています。「トリスタン和音」と呼ばれる和音は、ワーグナーがこの作品で使った特別な和音です。

 

許されざる愛の記念碑って本当?

「トリスタンとイゾルデ」を作曲した当時、ワーグナーは激動の時代に生きていました。ドレスデンで市民たちが起こした革命に参加しますが政府軍の鎮圧にあってあえなく失敗。指名手配を受けることとなり、各地を転々としながら作曲を続けました。苦しい逃亡生活を救ったのはスイスの大富豪オットー・ウェーゼンドンク。ワーグナーの才能に魅了された彼は自宅の敷地内に隠れ家まで提供し援助しました。

 

そんな中、ワーグナーはマティルデ・ウェーゼンドンクに想いを寄せました。何とワーグナーを助けてくれた恩人の妻です。ともに結婚している身でありながら人目を忍んで逢瀬を重ねる2人。マティルデが書いた詩に、ワーグナーが伴奏をつけ彼女にプレゼントしたこともありました。道ならぬ恋に走る2人は、まるで「トリスタンとイゾルデ」の物語そのものでした。

 

私はこれまで愛の本当の幸福というものを味わったことがありませんでした。ですから、あらゆる夢のうちえ最も美しいこの夢にこれから記念碑を建てようと思っています。

(友人リストへの手紙より)

 

ワーグナーは彼女との許されざる愛をエネルギーに台本を一気に書き上げました。

 

ワーグナーとマティルデの夢のような恋はいつまでも続くかと思いきや、ワーグナーの妻ミンナにバレてしまい大騒ぎに。ついには隠れ家まで去らなければならなくなったのです。そうなるとワーグナーの恋心もすっかり冷めてしまい、曲が完成してしばらくすると別の人妻に手を出しました。

 

「ららら♪クラシック」
ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」



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