南極ペンギン物語 ~スノウ 誕生から旅立ちまで~|地球ドラマチック

NHK・Eテレの「地球ドラマチック」で南極ペンギン物語 ~スノウ 誕生から旅立ちまで~が放送されました。雪と氷に閉ざされた真冬の南極大陸で2カ月間、卵を大事に温めているのはオスのコウテイペンギンです。やがて小さな命が一つずつ誕生します。ヒナは世界一過酷な環境の中、半年ほどで生き抜く術を学ばなくてはなりません。

 

子育てが始まった!

オスに卵をたくしたメスのペンギンは2カ月間、海で食料をとり胃に蓄えます。お腹には雛に与える食べ物がたっぷり詰まっています。海から家族が待つコロニーまでは100kmもの道のりがあります。時速3km程度のよちよち歩きでは何日もかかります。コロニーではオスによる子育てが始まっています。オスが与えているのがペンギンミルクと呼ばれる食道から出す栄養価の高い分泌物です。しかし、分泌物を出せるのは数日間だけ。あとはメスが戻るのを待つしかありません。

 

氷の海には天敵が

メスは本能に従ってコロニーに戻る道のりを歩んでいます。場所によっては氷が薄くなっているところもあります。氷の下で様子をうかがっているのはヒョウアザラシです。ペンギンが恐れる天敵です。割れた氷は命取りです。

 

歩くのに悪戦苦闘!

スノウは父親とともに母親の帰りを待っていました。気温は氷点下30℃。しかし父親のお腹の下は37℃以上の快適な温度に保たれています。子育て中のオスはヒナを足元に抱えたまま歩きます。新米の父親はバランスを取るのが大変です。一方、メスも氷の上を行くのに悪戦苦闘しています。鋭いかぎ爪で氷をつかみながら歩きますが特に滑りやすいのが表面の雪がとけている場所です。

 

家族は再会できるのか?

スノウが生まれて1週間が経ちました。厳しい寒さの中でヒナが生き延びるには十分な栄養が必要ですが、父親にはもう与えるものがありません。スノウは空腹のため元気がなくなってきました。長旅から戻ったメスには我が子に会う前にしなければならない大仕事があります。集団の中から自分のパートナーを探さなければならないのです。ヒナを抱いたオスは全部で3000羽以上います。しかし、混乱を避ける良い方法があります。ヒナを抱いたオスが前に進み出て行列をつくるのです。母親がすべきことは、その列を見ながら歩く事だけ。とはいえ、沢山のペンギンが並ぶ中でパートナーを探し出すのは簡単ではありません。そのためメスは時折立ち止まって鳴き声をあげます。ペンギンの鳴き声は1羽ごとに独特でパートナーは互いの声を聞き分けることができます。

 

家族が初めてひとつに

スノウの母親は2ヶ月間を海で過ごし100km近くも氷の上を歩いて戻ってきました。そして、生まれたばかりの息子と初めて対面しました。すぐに胃にたくわえていた食べ物を与えます。自然の絶妙なタイミングで幼いヒナは命を繋ぎます。次はメスが子どもの面倒を見る番です。ヒナの移動は素早く行わなくてはなりません。幼いうちは氷の上にいる時間が少しでも長引くと、ヒナは体温が下がって命の危険にさらされます。ようやく家族が一つになりました。コウテイペンギンは一回の繁殖で一つだけ卵を産み、オスとメスが交代でヒナの世話をします。親子で過ごす期間は5ヶ月程。その間、親は交代で海に向かい成長するヒナのために食べ物を運びます。今度は父親が海に向かいます。父親は卵からヒナがかえるまでの4ヶ月間、何も食べていません。空腹のまま100kmもの道のりを移動するのです。

 

初めての自己主張

群れで助け合って生きるコウテイペンギンにとって仲間との付き合い方を学ぶのはとても大事なことです。ひなはまず自己主張することを学びます。

 

仲間との付き合い

父親が出発してから2週間が経ちました。多くのヒナが母親から離れて過ごせるようになるなかで出遅れているヒナがスノウです。スノウはこの冬生まれのヒナの中で一番遅くに誕生しました。周りのヒナの元気さに比べるとまだ弱弱しく、母親のお腹の下にいたがります。しかし、いずれは親と離れ仲間と共に生きていかなければなりません。母親に促されてスノウは少しずつ前に出ました。

 

スノウ 迷子に!

さらに1週間が経ち、スノウは母親の後をついて歩けるようになりました。だんだんと冒険したくなったのか自分から前へ進んで行くように。しかし、母親はスノウの姿を見失ってしまいました。母親とはぐれたスノウは混乱し、仲間がいる方に慌てて歩きだしました。これほどの規模のコロニーでは二度と母親を探しあてられないかもしれません。この極寒の世界で迷子になったヒナは長くは生きられないのです。

 

極寒の嵐の中で…

コロニーを嵐が襲いました。気温は氷点下40℃、ヒナの綿毛だけでは十分ではありません。他の小さな子供たちはみな親のお腹にもぐりこんでいます。スノウの母親も息子を探して鳴き声をあげました。しかし、その鳴き声は風の音にかき消されてしまいました。しかし、ついに母親がスノウを見つけました。母親は冷え切ったスノウを体をお腹で温めました。スノウを守りながら母親は仲間のペンギンと体温を分かち合える場所を見つける必要がありました。分速30mと強風の中でペンギンは互いに身を寄せ合いハドルと呼ばれる密集した塊を作ります。ハドルの中心の温度は37℃もあります。内側で温まったペンギンは外側の仲間に場所を譲ります。体温を分かち合うことで彼らは極限の寒さにも耐えることができるのです。

 

危険な母性本能

南極の長い冬が終わろうとしています。母親が留守の間、父親がわが子を守らなくてはいけません。子供を産んでいないメスのペンギンが氷の塊で子育ての練習をしています。メスの母性本能は非常に強く、時にはよその子どもを我が物にしようとさえします。2匹の若いメスがスノウに近寄ってきました。警戒した父親が追い払おうとしても諦めません。さらに多くのメスが押し寄せ、父親は押しのけられてしまいました。若いメスは自分のヒナを育てたいという衝動にかられています。強すぎる衝動は幼い子供を危険にさらすことさえあります。一瞬のすきをついて父親はスノウを取り戻すことができました。子供の安全ほど大切なものはありません。

 

独り立ちへの一歩

夏になると氷がとけ海が近くなります。食料調達が容易になり親から食べ物を沢山もらえるためヒナの成長のスピードも速くなります。ハドルの作り方も覚えました。スノウはまだ親のそばにいたがります。しかし、お腹の下にいるには大きくなりすぎました。父親はスノウを前に押し出します。しかしハドルの中に入るにはちょっとしたコツがいります。どこからもぐりこめばいいかなかなか分かりません。その時、誰かが後ろから押してくれました。独り立ちへの大事な一歩です。これで父親はスノウを残して食料を取りに行くことができます。しかしスノウは父親の後を追いかけました。コロニーには目に見えない決まりがあります。幼いスノウも本能的にそのことを知っています。

 

集団生活を学ぶ

スノウはコロニーで両親の帰りを待ちます。周りの大人は両親のようには世話をしてくれません。この時期、コロニーにいる若いメスは将来の練習として残された子供たちの面倒をみます。スノウもその中にい加わりました。ただし、集団行動のため甘えは禁物です。規律を乱すものはすぐにたしなめられます。集団の規律は身を守るためにも必要です。気候が暖かくなるとともに招かれざる客が空からやってくるようになるからです。オオフルマカモメです。オオフルマカモメは他の鳥の卵や弱いヒナを襲います。スノウも襲われましたが、お尻のわたげがちぎれましたが逃げることができました。

 

ライバルがやってきた

夏になりアデリーペンギンが大挙してやってきました。アデリーペンギンは真冬に繁殖するコウテイペンギンと同じ場所を半年交代で使います。大人の体長が1メートルあまりのコウテイペイギンと50~60cmのアデリーペンギン。体格ではコウテイペンギンが勝りますが、アデリーペンギンはペンギンの中では最もケンカっぱやい性格です。しかし、大きなヒナたちが攻撃のかまえを見せるとアデリーペンギンは退散していきました。2種類のペンギンはしばらくの間、たまに小競り合いを繰り返しながら繁殖場所を共有します。アデリーペンギンは自分たちの間でも盛んに口論を始めます。

 

親子 永遠の別れ

5ヶ月にわたったコウテイペンギンの子育てが終わります。多くの親は子どもを残して次々とコロニーを去ります。どの子どももここからは自力で生きていかなければなりません。一番小さなスノウは両親が現れるのを待っています。幸いまだ両親はコロニーを去っていませんでした。スノウは両親から食べ物をもらいましたが、両親から食べ物をもらえるのはこれが最後でした。子育てが終わった親は夏の南極海へと旅立ちます。親子はもう二度と会うことはありません。小さなスノウにも自立の時がやってきました。

 

海を目指して

1週間後、ヒナたちは空腹と本能に導かれて集団で歩き始めました。ついにコロニーの目に見えない境界を越え、初めて海を目指すのです。仲間とはぐれれば命の危険につながります。生き延びるためには仲間と共に行動しなくてはなりません。

 

初めての海

ひなの体に海にそなえるための変化がおとずれました。ヒナ特有のわたげが抜け落ち、その下に生えている大人の羽毛があらわになったのです。スノウはここでも仲間に遅れをとっていました。初めて見る南極の海。これからは海で生きていくのです。尻込みするスノウでしたが、近くの氷が崩れて海に投げ出されました。仲間のところに戻ろうと必死でしたが、だんだんと落ち着き、昔から知っていたかのように自由に泳ぎ始めました。スノウは先頭に立って広大な南極海へと泳ぎ出しました。他の仲間も後に続きました。ここなら食べ物の心配もありません。これから4年間、スノウをはじめとする若いコウテイペンギンは南極の海で群れを作って生活します。そして十分に成長した後、自分自身のパートナーを探すために再び真冬のコロニーに戻ってくることでしょう。そしてまた、この驚くべき大自然の物語が繰り返されるのです。

 

SNOW CHICK-A PENGUIN’S TALE
(イギリス 2015年)


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