神秘の物質ホルモン ~体の性別が変わる?性ホルモンの謎~|サイエンスZERO

NHK・Eテレの「サイエンスZERO(さいえんすぜろ)」で心と体を支配する!神秘の物質ホルモンについて放送されました。私たちの体内にあるホルモンは数百種類。新たなホルモンの種類や機能も次々と発見されています。ホルモンには細胞の形や働きを変えるすごいパワーがあり、私たちの感情や人間関係までも操っていることが分かってきています。

 

ドミニカ共和国サリーナス村で男女の性別が変わるという不思議な現象が起こっています。23歳のフェリシタさんは10歳のころまでは体のつくりが女性でしたが、その後急速に男性器が発達。男性に変身したというのです。また23歳のルイスさんは子供の頃は男だったのに思春期に入ってから女性の体に変化したと言います。サリーナス村で体の性別が変わる経験をした人は数百人にのぼるそう。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?そもそも生物学的には性別は遺伝子で決まります。X染色体だけなら卵巣が作られて女性に、Y染色体があれば精巣が作られて男性になります。しかし遺伝子の働きはここまで。ここから先、男女それぞれの体を作るのは性ホルモンの働きです。お母さんのお腹の中にいる胎児のうちに性ホルモンが出て女の子には女性器、男の子には男性器を作ります。ところがサリーナス村の人々の場合この段階で問題が。1970年代にアメリカと現地の共同研究チームが調査を行いました。すると5α還元酵素を作り出す遺伝子が異常をきたしていることが分かったのです。5アルファ還元酵素はテストステロンに対し働く物質です。5α還元酵素がテストステロンにくっつくとジヒドロテストステロンに変化。ジヒドロテストステロンはテストステロンよりも5~10倍効果が強いと言われています。胎児の時は女性の体を基本形として生まれ、その後男性化していきます。男性器の先端に5α還元酵素が存在し、テストステロンをより強いジヒドロテストステロンに変えることで男性らしい体が作られていきます。つまり5α還元酵素が欠けている男児は胎児期に男性器ができないのです。しかし体が成長するとテストステロンが増加。すると5α還元酵素がなくても思春期に大量のテストステロンで男性化。それが性別が変わったように見えていた理由です。逆に生まれた時は男の子だと思われていたのに思春期に女性に変わったのは、母胎の中にいる時に何らかの形で男性ホルモンを多く受けてしまったと考えられています。

 

下着メーカーの研究所では毎年同じ女性の体の変化を写真に記録し続けています。数多くの女性の成長を40年も追跡した世界にも例がない貴重なデータです。毎年の写真を並べると10歳までは体は単純に大きくなっていくだけですが、10歳を過ぎると突然胸やお尻が膨らみ、わずか数年で体つきがガラリと変わることが分かります。これが思春期の大変身です。こんな変化をもたらすのが性ホルモンの巧みな働きです。脳の視床下部には思春期のスイッチを入れる細胞があります。10歳を過ぎたころGnRH細胞は突然「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」を大量に放出し始めます。これが思春期の始まりです。性腺刺激ホルモン放出ホルモンはすぐ下にある脳下垂体へ向かいます。ここの細胞がホルモンを受け取ると今度は性腺刺激ホルモンという別のホルモンを放出。性腺刺激ホルモンは脳から体へと出て行き卵巣へ。その中心にあるのは卵子のもととなる約20万個の卵母細胞。卵母細胞が反応すると外側にある卵胞細胞が激しく分裂し1000倍にまで大きくなります。そして人生で最初の排卵が起こります。そして卵胞細胞からは新たな女性ホルモンが放出されます。女性ホルモンは血流にのって全身へと広がっていきます。そしてこれを受け取った体のあちこちの細胞が大変身を始めるのです。女性の場合、真っ先に変化を始めるのが胸。母乳を作る乳腺細胞が女性ホルモンを受け取ると激しく分裂を始め乳腺を形作ります。そして乳腺細胞が別のホルモンを放出し脂肪細胞が増殖。さらにお尻では骨盤の骨芽細胞が女性ホルモンを受け取って活性化。骨盤を大きく横に発達させて胎児を支えるための準備をします。




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