洞窟村は中国貴州省の貴陽市にあります。洞窟村のある貴州省は石灰岩など水に溶解しやすい岩石の大地が雨水などによって浸食されてできた地形です。「中洞(チュウドウ)」は世界でただ一つの洞窟の中につくられた村です。
洞窟村の家には天井がありません。洞窟のおかげで必要ないからです。中洞には20世帯75人の村人が住んでいます。洞窟村に暮らすのは中国の少数民族の一つ苗族(ミャオゾク)です。
苗族は貴州省をはじめ南部の山地に広く居住し農業を営んでいます。農業を営む洞窟村の人々の暮しの基本は自給自足。農作物は、家畜のエサとなるトウモロコシを中心にジャガイモ、サツマイモ、ネギ、ホウレン草、白菜などを育てています。しかし、収穫できる量は少なく自分たちが食べる分で精一杯だと言います。
貴重な現金収入は家畜を育てて売ることで得ています。しかし、これで得られるのは多くても1年間に4万円くらいです。
洞窟村で手に入らないものは市場まで買いに出かけます。しかし、市場までは徒歩で片道3時間もかかるため1日がかりになります。
8年ほど前に麓の町から電線が引かれたため電気は使うことができます。水は岩の奥から湧き出ているので、生活水に困ることはありません。
洞窟村には2009年まで小学校がありました。先生を確保することが出来ず廃校になってしまったので、子供たちは全寮制の学校に行き週末だけ洞窟村に帰ってくる生活をしています。
洞窟村の村人は川に近い場所に住んでいましたが、60年前に他の集団との争いが起き、身を守るために下洞という場所に住んでいました。しかし、下洞には水がなく、4世帯数十人が今の洞窟村に移り住んだのです。
中国政府は中洞の人たちが洞窟の外で暮らせるようにと家を用意しましたが、移り住んだのは3世帯だけ。中洞の人たちは住み慣れた場所を離れたくないそうです。
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