惑星状星雲 太陽の未来!?宇宙の宝石|サイエンスZERO

惑星状星雲 不思議な名前のヒミツ

惑星状星雲と名づけたのは、18世紀に活躍した天文学者ウィリアム・ハーシェルです。

 

ハーシェルは土星の外側を回る天王星を発見した他、数々の天文学上の重要な発見をしました。自宅には長さ6mもの巨大な望遠鏡がありました。これを使ってハーシェルは毎晩天体観測をしていたのです。

 

ある日、ハーシェルが望遠鏡をみずがめ座の方向に向けたところ、そこにぼんやりした星雲があることに気づきました。ハーシェルはその星雲についてこう記しています。

 

どう呼んだらいいかわからないような興味深い星雲。円形でまるで惑星のようだ。

 

ハーシェルが惑星のようと思ったのには理由があります。普通の星雲を望遠鏡で見ると低倍率ではぼんやりとしか見えなくても倍率を上げると柄が見えてきます。光の強さや色が均一ではないのです。

 

しかし、そのみずがめ座の星雲は倍率を上げてもぼんやりとしたままで柄が見えませんでした。ハーシェルが発見した天王星も当時の望遠鏡で見ると光り方が均一で青緑色にぼんやり光るように見えました。そのため、こうした星雲を惑星状星雲と名づけたのです。

 

その後もハーシェルは観測を続け、生涯で16個もの惑星状星雲を見つけました。しかし、ハーシェルの時代にはその正体は分からずじまいでした。

 

惑星状星雲の正体は?

その謎が解明されたのは19世紀、ウィリアム・ハギンズの功績です。ハギンズが使ったのは分光器という観測装置。分光器とはプリズムを使って光を波長ごとに分ける装置です。

 

太陽などの光は虹のように連続しています。光に様々な波長が含まれているからです。しかし、惑星状星雲を観測した結果は全く違いました。論文には「この星雲はモノクロだ」と書かれています。

 

惑星状星雲の正体は、水素や酸素のガスが光ったものです。

 

惑星状星雲には星が真ん中にあり、その星から周囲に紫外線が出て周囲のガスを光らせています。惑星状星雲には水素や酸素のガスが存在しています。水素や酸素の原子核の周りには電子が回っています。そこに紫外線が当たるとエネルギーを吸収して、電子は外側の軌道に移動します。この電子が内側の軌道に戻る時にエネルギーを光として放出します。

 

光の波長は水素なら赤や青酸素なら水色と決まっています。そのため分光器によって出てきた光の線を見ると、それが水素や酸素だと分かるのです。

 

この水素や酸素は星が一生を終える時に出したものです。惑星状星雲は、太陽ぐらいの星の最後の姿なのです。太陽も最後は惑星状星雲のようになると考えられています。

 

太陽はどのように惑星状星雲になる?

太陽は50~60億年後にはどんどん大きくなり、最終的には現在の200倍くらいまで膨らみます。これを赤色巨星と言います。

 

この状態が10億年くらい続き、その後1万年くらいかけて一気に縮みます。大きさは現在の太陽の100分の1ほど。

 

このように大きく膨らんだり縮んだりしてガスを出し、最後に残った白色わい星がそれを照らして惑星状星雲になるのです。

 

太陽の中心では核融合反応が起きています。水素が4つ核融合してヘリウムになり、大量のエネルギーを出します。ヘリウムが溜まると中心に固まり、温度と圧力が上昇します。このエネルギーで星が膨らんでいきます。これが進むとヘリウムが核融合を始めて炭素ができます。

 

最終的には中心には炭素、その周りをヘリウム、さらにその周りを水素が取り囲むという三重の構造に。

 

この水素とヘリウムがそれぞれ核融合反応を進めていき非常に大きなエネルギーがでます。この時、星の表面からは水素や酸素などを放出。

 

一方、星の中心では水素が核融合反応をして減っていきます。ついには水素がほとんどなくなり星は一気に縮みます。温度が高くなり星は青くなり紫外線を出して周りのガスを光らせて惑星状星雲になるのです。

 

超新星爆発への道

太陽より10倍以上重い星は、惑星状星雲にはならず超新星爆発への道を辿ります。

 

炭素が溜まった中心核では、炭素がさらにヘリウムと核融合し酸素が作られ始めます。さらに、中心核の温度が6億度を超えると炭素同士が核融合を始めネオンやマグネシウムが作られます。30億度を超えると今度は酸素同士が核融合を始めケイ素や硫黄などが作られます。そして、40億度以上になるとケイ素がヘリウムと核融合し始めます。これに続いて様々な元素がヘリウムと核融合し、最終的に質量の大きいが生み出されるのです。

 

鉄の原子核は全ての元素の中で最も結合が強く安定しています。そのため核融合は進みません。しかし、鉄が溜まってさらに高温・高圧になるとエネルギーの高い光子が発生。この光子が鉄を一気にヘリウムにまで分解してしまうのです。

 

重い鉄が軽いヘリウムに変化したことで天体の中心の支えがなくなり、周りの物質が中心に向かって一気に落ち込みます。その反動で大爆発「超新星爆発」が起きるのです。

 

太陽の最後 そのとき地球は?

太陽が赤色巨星になる時、地球の軌道が今よりも外側に移動し地球は生き延びると考える研究者たちがいます。太陽はガスを大量に放出し、太陽自身が軽くなり地球を引っ張る重力が弱まるのです。そのため地球はぎりぎりのところで太陽に飲み込まれずにすむと言うのです。

 

一方で、星からガスが出ているので、ガスとの摩擦でエネルギーを失い太陽の中に飲み込まれるという説もあります。

 

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