ブラームス「交響曲第4番」|ららら♪クラシック

交響曲第4番の特徴とは?

特徴は短いフレーズが何度も繰り返されること。そのフレーズを様々な変形させながら音楽が展開します。もう一つの特徴は、ブラームスの古典音楽への深い愛情です。

例えば、第2楽章の冒頭部分の元になったのは16世紀ルネサンス時代の教会音楽です。フリギア旋法と呼ばれる古代ギリシャから伝わる音階が取り入れられています。

第4楽章はバッハの「カンタータ」が元になっています。メロディにしたのは低音部分。このバッハのテーマは第4楽章に何度も何度も繰り返し登場し、楽章全体の骨格になっています。

交響曲第4番がどこか古めかしく憂いをもって聞こえるのは、ブラームスが意識的に取り入れた古典音楽の影響だったのです。

ブラームスの人生と交響曲の深い関わり

ヨハネス・ブラームス

ブラームスは、北ドイツの港町ハンブルクで生まれました。貧しい音楽家の家で育ったため、本格的に音楽を学ぶ機会には恵まれませんでした。

ブラームスの家はお金持ちではないので、沢山の楽譜を買い集めるという財力的な余裕がなかった。少年時代から音楽の仕事で働かなければならなかった。

(桐朋学園大学教授 西原稔さん)

家計を支えるため、13歳の頃から酒場でピアノを弾いていました。

転機が訪れるのは20歳の時。作曲家シューマンとの出会いでした。初めて自宅を訪ねた時、ブラームスを驚かせたのはシューマンが所蔵する大量の楽譜でした。

ルネサンス時代の教会音楽やバッハの名曲の数々。当時のブラームスにはとても手に入らない高価なものばかりでした。ブラームスはこれらの楽譜を夢中になって書き写しました。

ハンブルグの街で楽譜もない世界で生きていたのが、自分でも言っていますが「素晴らしい図書館にいる」と。新しいモダニズムの交響曲が出てくる中でブラームスは歴史へと遡っていった。

(桐朋学園大学教授 西原稔さん)

先輩たちが築き上げた音楽を吸収し、その成果として発表したのが自らの管弦楽曲でした。

酷評されまして「なんて時代遅れな曲を書くんだ」と。ピアノ協奏曲第1番もライプチヒでの演奏会は大ブーイングでした。お客さんが3人しか拍手しなかった。

(桐朋学園大学教授 西原稔さん)

それでも、ブラームスはめげずに作曲を続け1885年「交響曲第4番」を完成させました。教会音楽からバッハ、ベートベンまで古典音楽のエッセンスを見事に融合した渾身の大作です。

貧しい家庭に育ち、シューマンの家で出会った数多の楽譜を学び始めてから30年が経っていました。

誰が見ても時代遅れのようなものを彼は書いていくんですけれども、滅びゆくもの消えゆくものへのノスタルジーと名残惜しさを発揮しているところがあって。1550年からの伝統を全て吸収、融合し1900年までを全部自分がまとめ上げるんだっていう強い使命感のようなものを持っていた。だから彼は伝統にこだわっていったんだと思います。

(桐朋学園大学教授 西原稔さん)

「ららら♪クラシック」
ブラームスの交響曲第4番
~交響曲に生涯を捧げる~

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