空の王者 翼竜|地球ドラマチック

NHK・Eテレの「地球ドラマチック」で空の王者 翼竜が放送されました。今、鳥は空の支配者ですが鳥は地球上で最初に空を飛んだわけでも空を飛んだ最も大きな生き物でもありません。最初に空を飛んだのは翼のある爬虫類「翼竜(よくりゅう)」です。翼竜は昆虫以外で地上から飛び立った最初の生き物で多様な進化をとげました。驚異的な進化によって翼竜は1億5000万年に渡って空を支配しました。翼竜はなぜ空へと飛び立ち、どのようにして飛んだのでしょうか?そしてなぜ絶滅したのでしょうか?

 

は虫類が飛んだ!

翼竜の誕生は今から2億2000万年前までさかのぼります。当時の地球はとても乾燥していました。やがて熱帯地方に熱帯雨林が形成され多種多様な生物が生息するようになりました。ただし今とは異なり空を飛ぶ大きな生き物はいませんでした。コウモリも鳥もいなかったのです。その頃、空を飛んでいたのは昆虫だけでした。昆虫はは虫類にとって魅力的な獲物でしたが昆虫を捕まえるには爬虫類も空を飛ばなくてはなりません。トビトカゲは木から木へ移動するためにジャンプを編み出しました。ただのジャンプではありません。脇腹にある膜を広げて木から木へと滑空するのです。トビトカゲは爬虫類がどのようにして最初に空を飛んだかヒントを与えてくれます。

 

飛べ!昆虫を食べるため

1828年、メアリー・アニングは翼竜の化石を発見しました。2億年前、地球の大半は熱帯でした。初期の恐竜が勢力を増し、その頭上高く翼竜が飛んでいました。メアリー・アニングが発見した化石は初期の翼竜ディモルフォドンでした。上空にいれば地上にいる肉食の恐竜から身を守ることができます。また食料となる昆虫を捕まえることも出来ました。しかし初期の翼竜はまだ空を飛び始めたばかりで、時には翼をうまく操れないこともあったかもしれません。

 

翼は「皮膜」

翼竜の化石は世界中で発見されていますが、最初に見つかったのはドイツ南部ゾルンホーフェンにある採石場でした。古代ローマ時代から石灰岩をとっていた場所です。もともとは海につらなる浅瀬で岩礁によって潮の流れから守られていました。そのため海底に沈んだ動物の体の多くが流されずに残りました。採石場からあまりに多くの化石が発見されたため街にある城は化石博物館になりました。多くは海生の生物ですが中には空から落ちてきた翼竜の化石もあります。

 

進化!大きな頭

最初の翼竜が登場してから5000万年後、翼竜はさらに大きな進化を遂げました。デービッド・アンウィンはダルウィノプテルスの化石を発見しました。ダルウィノプテルスの大きな頭と尖った歯は、この翼竜が捕食動物だったことを示しています。獲物を探して空中を素早く動きまわっていたと考えられます。ダルウィノプテルスの食料は昆虫だけではありませんでした。

 

歩くのは苦手

空中を自在に飛び回る翼竜は地上ではどのように動いていたのでしょうか?コンピューターで動きを再現すると地上で歩くのはかなり大変だったようです。初期の翼竜は尾が長かったため、ほとんどの時間を木の幹や崖にぶらさがって過ごしていたと考えられています。翼竜が空の王者となるのはさらに進化を遂げる必要がありました。

 

短い尾 歩行が自在に

プテロダクティルスは安定性は欠いたものの、より自在に空を飛べるようになりました。長い尾がなくなり足の間の皮膜が分かれたことで動きやすくなったからです。

 

さまざまな口に進化

尾の短い翼竜はその後どんどん多様化し、様々なタイプの翼竜が登場しました。重い歯をなくして嘴を発達させたものもいます。こうした適応は食料の変化だけでなく、飛ぶために体重を最小限に抑えることにも関係があったと考えられます。

 

体重を軽く 空洞の骨

8000万年前には尾の短い翼竜が空の王者となりました。翼竜の全盛期です。個体数の多かったプテラノドンは翼竜の繁栄を象徴する存在です。プテラノドンは体も大きく広げた翼の先から先までが5m以上ありました。巨大な翼竜が空を飛べた秘密は骨にあります。中が空洞なのです。内側には骨を支えるための網状の構造しかありません。空洞の骨は体重を軽くするだけでなく別の役割も果たしていました。空洞に酸素をため、必要な時にはそこからパワーを得ることができたのです。こうした進化を重ね、翼竜は空の王者になりました。

 

ライバル出現!始祖鳥

始祖鳥やその仲間の化石はあまり残っていませんが、当時は虫類と鳥の中間のような動物が台頭し始めていたことは確かです。翼竜にとって始祖鳥のような生き物はライバルでした。翼竜はライバルに対抗するため途方もない方法で進化していきました。

 

トサカで飛行コントロール

タペヤラには巨大なトサカがありました。トサカは風の動きを感知して耳を通じて脳に伝えていたのです。またトサカを使って方向を素早く変えていたとも考えられます。タペヤラは毛に覆われ体温が高い温血動物でした。そのため、より多くのエネルギーを生み出すことができダイナミックな飛行が可能だったと考えられています。繁殖期になるとタペヤラの巨大なトサカは異性の気を引くために使われました。こうした求愛行動は現代の鳥にもみられます。

 

子どもはすぐ飛べた

翼竜は鳥と同じように卵を産みました。翼竜の翼は鳥よりも早い段階で形作られていました。つまり翼竜の子供は卵からかえるとすぐに飛べたのです。

 

翼の長さ15メートル

翼竜は鳥とは異なる成長過程をたどりました。その結果、驚くほど巨大なものも登場しました。巨大な翼竜は7000万年前の白亜紀に生きていました。ケツァルコアトルスの体の高さは約6mで、動物の死肉を食べていたと考えられています。小さな動物を捕まえることもありました。最大の疑問は巨大なケツァルコアトルスがどのようにして地上から飛び立ったのかという点です。大きさはキリンなみでも、体重は人間2人分もないほど軽かったと言います。ケツァルコアトルスは4本の脚をバネのように使い、自分の体を空に向けて発射していました。発射スピードは時速50kmにもなりました。

 

なぜ絶滅したのか

6600万年前の隕石の衝突が、翼竜や恐竜の絶滅の原因だと言われています。しかし翼竜の運命はその遥か前にすでに決まっていました。初期の鳥が着々と進化していたからです。隕石の焼け跡から立ち上がったのは鳥でした。鳥は翼竜に代わって空の支配者になりました。では、なぜ鳥は生き延びて翼竜は絶滅したのでしょうか?丈夫な羽がある鳥には翼竜にはない利点がありました。体の側面や足で翼を支える必要がなかったのです。そのため歩くことも走ることも跳ねることもでき、あらゆる場所で食料を得ることが出来ました。

 

翼竜は1億5000万年にわたって空を支配しました。人類の歴史とは比べものにならないほど長い年月です。しかし飛ぶ動物の先駆者である翼竜の素晴らしさはまだ解明され始めたばかりなのです。

 

FLYING MONSTERS
(2010年 イギリス)

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