アメリカUFO神話 空飛ぶ円盤の原点に迫る|幻解!超常ファイル

NHK総合テレビの「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」でアメリカUFO神話(1)空飛ぶ円盤の原点に迫るが放送されました。1950年代、アメリカでのUFOの目撃情報は多い時で年間1500件以上にもなり、ついには政府も緊急発表を行うという異常事態に陥っていました。

 

アメリカ現代史のUFO神話は一つの目撃騒動から始まりました。1947年6月24日、アメリカ北西部ワシントン州で実業家ケネス・アーノルドが山間の上空を自家用プロペラ機で移動していました。その時、猛スピードで飛ぶ輝く9つの飛行物体を目撃。目的地についたアーノルドが不思議な飛行物体の話を空港関係者にすると噂を聞きつけて新聞記者たちが集まってきました。当時、人類がまだ実現していない超音速で飛ぶ異様な物体の話題は全米で報じられました。アーノルドが「皿が水面をはねる動き」と語ったことで物体そのものが「受け皿」と名づけられました。実はそれまでも空飛ぶ謎の物体は世界各地で目撃されていました。呼び名は「謎の飛行船」や「フーファイター」など。この段階では目撃事例は一部にとどまっていました。ところが「フライング・ソーサー(空飛ぶ円盤)」という名前が付いた途端、全米各地で目撃事例が大量発生したのです。アーノルド事件の3日後にはカルフォルニア州で銀色の皿のような物体が目撃され、その翌日にはウィスコンシン州の農園上空を円盤が通過。軍や警察への通報は最高で1日に88件、3週間で850件にのぼりました。まさに空飛ぶ円盤ブームに火がついたのです。

 

1947年7月、著名な捜査組織が「あなたは空飛ぶ円盤の正体を何だと思いますか?」というユニークな世論調査を実施。「ただの空想・幻想」「アメリカの秘密兵器 原爆の一部」「気象観測器具」「ロシア(旧ソビエト)の秘密兵器」などの回答はありますが、宇宙から来た物体という回答はありませんでした。実は1947年の時点で空飛ぶ円盤は宇宙人の乗り物という発想はなかったのです。目立つのは「アメリカの秘密兵器」「ロシアの秘密兵器」という回答。当時は第二次世界大戦が終わった直後でアメリカとソビエトは緊張状態にあり、それぞれが極秘に新兵器の開発を進めていました。またアメリカでは2年前に原子爆弾を開発した際にも、その計画を国民に一切知らせていませんでした。政府が国民から隠れて常識を超えた兵器を作るという前例でした。冷戦という時代背景のもと謎の飛行物体を秘密兵器ととらえるのはごく自然なことでした。しかしこの半年後、見間違いや秘密兵器説を根底から覆す事件が発生しました。

 

1948年1月、ケンタッキー州で空軍戦闘機の墜落事故が起こりました。犠牲となったのはトーマス・マンテル大尉。正体不明の飛行物体の通報を受け空中戦に優れたプロペラ戦闘機P-51でこれを追跡。しかし交信が途絶えた後、消息を絶ったマンテル機はやがて墜落した残骸として発見されたのです。空のプロフェッショナルである軍のパイロットが犠牲となったということは空飛ぶ円盤は見間違いや秘密兵器ではないことになります。アメリカ社会で空飛ぶ円盤の謎は一層深まっていきました。

 

そして大胆な仮説を提唱する人物が現れました。作家のドナルド・キーホーです。1949年5月、キーホーはある雑誌編集者から空飛ぶ円盤をめぐる軍の陰謀を探る仕事を持ちかけられました。キーホーは大手航空機メーカーのエンジニアや航空諮問委員会の委員、空気力学の権威といった人々に取材。キーホーはその多くを匿名の専門家の発言として記し1950年6月「空飛ぶ円盤は実在する」という本にまとめあげました。そこには「地球は他の惑星からの訪問者に観測されている」「観測者の地球訪問の頻度は過去2年間で著しく高まっている」と書かれています。キーホーの本は円盤が宇宙から来ているという具体的な物的証拠が示されたわけではありませんが、関係者の証言の数々によって読者を納得させる力を持っていました。宇宙から何者かが地球に来ているというキーホーの説は徐々に広まっていきました。さらに拍車をかける大事件が発生しました。

 

1952年7月19日と26日の夜から明け方にかけて首都ワシントンD.C.の上空に20機以上の光る物体が現れる事件が発生。軍や国際空港の関係者がワシントンを囲むように飛ぶ多数の物体の反応をレーダーで確認し、肉眼で目撃するパイロットも現れました。緊急事態に対応すべく戦闘機が出撃。しかし現場上空では空飛ぶ円盤はおろか該当する飛行物体すら確認できませんでした。前代未聞の大事件に対して空軍は事態の説明を迫られ、ただちに記者会見を行いました。空軍の広報官は「特殊な気象条件で発生した空気の層が町の光やレーダーを反射。別の場所にある光や物体が飛んでいるように見える状況を引き起こした」と説明。そして軍は宇宙から来た空飛ぶ円盤の可能性について全く取り合おうとしませんでした。しかし、この対応はかえって円盤が宇宙から来ていると信じる人々から「軍は重大な事実を隠しているのではないか」と疑われることへと繋がったのです。