優秀だけど貧しい学生を支援したいという目的で始まった奨学金制度。しかし、現在は7割以上が申請すれば誰でも借りられて利子がつくタイプの奨学金です。
親世代の年収が頭打ちの中、ここ30年で私立大学の学費は約4倍に、国立大学の学費は9倍にまで上昇。奨学金の利用者は全大学生の50%を突破しました。
奨学金で貧乏な若者たち
長野から上京して明治学院大学に通う山岸亜未さん(19歳)と青山学院大学に通う山岸加奈さん(23歳)姉妹。節約のため2人で一つの部屋に住む姉妹の生活も、奨学金なしでは成り立たないと言います。
山岸さんの家は4人姉妹。山岸加奈さんの学費は年に100万円。4年間で400万円を超えました。実家を離れて暮らす山岸加奈さんには毎月の家賃に生活費も必要です。
そこで、加奈さんが借りた奨学金の総額は516万7586円。年3%の利息がつくため、毎月2万円を20年間返し続けることになっています。さらに、4月から私立の大学院への進学も決まっています。その結果、奨学金の総額は700万円以上になると言います。
一方、亜未さんは年130万円以上の学費が必要でした。親はとにかく学費だけはと2回に分けて支払ってくれましたが、生活費まではまかなえず月々6万4000円の奨学金を借りることに決めました。4年間の総額は300万円を超えます。
亜未さんは塾講師とコンビニのアルバイトをかけもちして月5万円を稼いでいます。山岸さん姉妹の両親は共働きで、毎月7万円を娘たちに仕送りしています。
かつて全て無利子で貸し出されていた奨学金ですが、現在は7割以上が有利子となり事実上、学生ローンと大きく変わらなくなってきました。3ヶ月延滞が続けば一般のローンと同様に信用機関のリストにのってしまいます。
卒業後に待っているのは、高学歴でも満足な就職さえおぼつかない社会。その結果、卒業しても返せない人が急増。じわじわ社会問題化しつつあります。
就活に失敗し奨学金を返せない若者
田中佑磨さん(26歳)は在学中500万円の奨学金を借りましたが、今は月々2万円の返済金が返せないと言います。大学院まで出ていますが、つまずきの始まりは就活の失敗でした。現在は日雇い派遣で日々をしのいでいます。
そんな中、今年1月に田中佑磨さんはインフルエンザにかかってしまいました。日雇いの仕事が出来ない上、医療費にもお金がかかり、やっと貯めた数万円はなくなってしまいました。
結局、田中さんは奨学金返済の猶予を申請し承認されました。
就活中の大学4年生
和光大学現代人間学部4年の平野正明さん(24歳)は就活中です。平野さんは東京で1年以上就活してきましたが、手にしたのは不採用通知だけでした。
平野さんは大学2年から月8万円ずつの奨学金を借りてきました。総額264万円。利息がつくと返済総額は400万円近くになります。
平野さんは東京での就職をあきらめ、故郷の愛知県へUターン就職を狙うことにしました。その後、平野さんは無事、愛知で就職が決まったと言います。
「Mr.サンデー」
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