交響曲の革命家現る!
ダスタフ・マーラーは、生涯に10曲もの革新的な交響曲を作りました。その原点となったのが交響曲第1番です。新たな音楽を目指し情熱の全てを傾けた作品です。
しかし、交響曲第1番は初めは交響曲ではなく交響詩として作られました。交響詩とは、物語をもった管弦楽曲のことです。
19世紀後半にはじまったこの新ジャンルの音楽は、たちまちヨーロッパ中を席巻。とりわけブームを牽引していたのはリヒャルト・シュトラウスです。ニーチェが題材の交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」をはじめ、シェイクスピアなどの文学をもとに次々と交響詩を発表しました。
同年代で指揮者仲間でもあったシュトラウスの活躍に刺激され、マーラーも交響詩を作曲。「巨人」という表題と物語風の文章をそえた曲を発表しましたが、全く理解してもらえませんでした。物語の内容ばかりをたずね、純粋に音楽を聴こうとしない聴衆たちにマーラーは悩みました。
マーラーは交響詩「巨人」から表題と物語性の全てを取り払い、純粋な音楽・交響曲に作り直しました。8年に及ぶ改訂の後、改めて発表したのが「交響曲第1番」です。7人のホルン奏者が立ち上がって演奏するなど、実験精神あふれる交響曲です。後にマーラーはこう語っています。
リヒャルト・シュトラウスの時代が終わり、やがて私の時代が来る。
(ダスタフ・マーラー)
指揮者が語るマーラーのスゴイ楽譜!
オペラを中心に指揮した回数は生涯で2300回以上、当代随一の人気指揮者だったマーラーは常に完璧を求め納得するまで延々と練習。オペラの舞台セットや小道具にも、違うと思えば大激怒したと言います。熱血漢ぶりは作曲においても発揮されました。
マーラーの書いた楽譜を見てみると、「嵐のように荒々しく」「意気揚々と勝ち誇って(急がずに)」など五線譜におさまりきらない沢山の指示が書かれています。実際に演奏する指揮者たちはどう思っているのでしょうか?
「ららら♪クラシック」
マーラー 交響曲第1番
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