ヒマラヤ山脈には古くから未確認生物の伝説があります。巨大な足跡を残す怪物はイエティ(ヒマラヤの雪男)です。
目撃証言は数々ありますが、その正体はいまだ謎に包まれたまま。しかし今回、世界的な遺伝子学の権威が謎の解明に挑みました。
雪男伝説の始まり
1951年11月、雪男伝説の始まりとなる1枚の写真が撮影されました。写真を撮ったのはイギリス人登山家のエリック・シプトン。
彼は仲間と共に当時まだ誰も成し遂げていなかったエベレスト登頂のための登山ルートを探していました。そこで巨大な足跡を発見。長さ30cm、幅13cmのしっかりとした足跡からその生物はかなりの体重がありそうでした。
写真は新聞の一面を飾りヒマラヤの雪男を世界中に知らしめることとなりました。
その後、数々の目撃証言が報告されるようになりました。それらをまとめると、ヒマラヤの雪男は…
遺伝子解析
謎の解明に挑むのはオックスフォード大学のブライアン・サイクス教授。彼は5000年前の化石化したヒトの骨からDNAを取り出すことに成功した遺伝子学の第一人者です。
サイクス教授は雪男のものだという毛を世界中から集めDNA分析を行いました。
実はヒマラヤの各地にはそれぞれの雪男伝説が存在します。ネパールではイエティと呼ばれ、ブータンではミゲ、ラダックではテンモーと呼ばれています。
フランス人山岳ガイドのクリストフ・ハゲンムラーがラダックで入手したテンモーの毛、1938年にチベットで殺された謎の生物の毛、2001年にブータンで採取されたミゲの毛を分析しました。
1983年にチベットで殺された謎の生物の毛は、剥製にするための化学物質によってDNAが損傷していたため何も検出できませんでした。
ところが2001年のブータンの毛とラダックで入手した毛からは同じ生き物のDNAが検出されました。ホッキョクグマです。しかも現代のホッキョクグマではなく、4万年以上前に死んだ古代ホッキョクグマのDNAと一致したのです。
ブライアン教授によると、この動物は遥か昔にホッキョクグマとヒグマが交配した種ではないかとのこと。このような交配種はそれぞれの特性が合わさって個体によって様々な特徴が表れます。例えば毛が薄い茶色になったり、雪男の目撃談が茶色や白などまちまちなのはそのためかもしれません。
ヒマラヤには、ホッキョクグマのDNAを受け継いだ普通とは違う性質のクマがいるのです。これがヒマラヤ中に伝わる雪男伝説を作り上げてきたのでしょう。
「世界まる見え!テレビ特捜部」
ヒマラヤ雪男の正体
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