19世紀、ギリシャで発見されたアガメムノン王の黄金のマスク。20世紀、エジプトでは伝説とされていたツタンカーメン王の黄金のマスクが発見されました。そして、21世紀最大の発見となったのがトラキア王の黄金のマスクです。
世界最古の黄金文明
発見の舞台は東ヨーロッパのブルガリア共和国。エジプト文明よりはるかに古い5000年以上前に世界最古の黄金文明が存在していたことが判明したのです。
今まさにブルガリアはゴールドラッシュ。財宝発見の可能性がもっとも高い国なのです。
トラキアン・コード
黄金文明を築いたのは幻の民族トラキア人。トラキア人は文字を持たなかったため、その実態は謎に包まれていました。しかし、今回黄金のありかを示す暗号が見つかったのです。それがトラキアン・コード。彼らが残した黄金王の埋葬を描いた壁画の中に答えが隠されていました。
2012年11月8日、暗号が示す通り王の古墳からは金の布に包まれ箱に入れられた黄金の財宝が次々と見つかりました。
黄金王の大古墳
2500年前に造られた黄金王の大古墳は、高さ19メートルもある巨大な墓です。王が眠る大古墳の周りにはいくつかの小さな古墳があり古墳群が形成されています。
大古墳の発掘が始まったのは今から20年前。発掘は複数の方向から行われ南東部分から石に囲まれた王の墓室が発見されました。しかし、不思議なことに墓室からは何も発見されませんでした。
ところが、古墳の西側から黄金細工の数々が発見されました。そして、黄金細工と一緒に黄金の糸、木のかけら、蝶つがいも見つかりました。黄金が見つかった穴をよく見ると、奥には四角い跡が。つまり、黄金細工は金の刺繍のある布に包まれ、宝箱に入れられていたと推測されるのです。
カザンラクにあるトラキア人の墳墓の丸天井には紀元前4世紀に描かれた壁画があります。壁画には王の埋葬の様子が描かれています。王に手を引かれる謎の女性、侍女たちが手にしている謎の箱と布が描かれていますが、それが何であるか今まで誰も分かりませんでした。
しかし、箱と布が実際に古墳から見つかったことで全てが繋がったのです。この誰も解明することが出来なかった壁画こそ黄金の謎を次々と解き明かしていく暗号「トラキアン・コード」なのです。壁画には他にも戦闘場面や死者への儀式など、当時のトラキア人の様子が描かれています。
トラキア王の黄金のマスク
トラキア王の黄金のマスクを作ったのは、今から2500年前に最盛期を迎えヨーロッパに暮らしていたトラキア人。死をも恐れぬ勇猛果敢な騎馬戦士だったと言いますが、文字を持たなかったためその実像は長い間謎とされていました。
ただ一つ分かっているのは彼らがエジプトをしのぐ黄金細工の作り手であり、その莫大な財宝をいたるところに埋めたという事実です。
トラキア人について不思議な言い伝えが残されています。
人が生まれると悲しみの歌を歌い
人が死ぬと喜びの歌を歌った
肉体は魂の牢屋だと考え、星の世界こそ自分たちの本来の場所だと考えていました。
そんなトラキア人の祈祷師は、戦闘の勝敗を占い豊穣祈願の儀式を行っていました。儀式に使われたのはワイン。彼らはワインをこよなく愛していました。
トラキアの王は黄金のマスクでワインを飲んでいたと言います。黄金のマスクは王位継承の聖なる儀式に使われていました。次に王になる者が民衆の前でワインを飲み権力の象徴としての黄金を示したのです。
「財宝伝説は本当だった」
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