ル・コルビュジエ「フィルミニ教会堂」|美の巨人たち

フランス中部ロワール県にあるフィルミニは、別名コルビュジエ・アンサンブルと呼ばれています。彼の建築がいくつも残されているからです。

 

中でもそのシンボルとなっているのがフィルミニ教会堂です。ル・コルビュジエがフェルミニ教会堂を設計したのは74歳の時。しかし、その完成を見ることはありませんでした。

 

フィルミニ教会堂の外観はちょっと不思議な形をしています。インスピレーションを受けたのはブルターニュ地方の海。海岸線を歩いていた時、ル・コルビュジエは岩とはるか遠くに見える水平線が交錯すると実に不思議な調和が生まれると目をみはりました。フィルミニの遠くに見える山並みを水平線に見立てたル・コルビュジエは、そこに岩のような建物を交錯させたのです。

 

ル・コルビュジエがフィルミニに視察に訪れたのは1960年のこと。1年後には設計案を提出しました。ところが、計画は暗礁にのりあげてしまいました。土地の地盤が弱く基礎工事に莫大な費用がかかることが判明したからです。

 

教会側は別の土地に建てることを提案。しかし、ル・コルビュジエはそれを頑なに拒否。絶対に譲れない思いがあったからです。それは単なる教会ではなく、様々な人々が集える場所を作りたいというもの。そのため、人が集まりやすい町の中心にあったあの土地にこだわったのです。しかし1965年、ル・コルビュジエは海の事故で亡くなりました。

 

それから約40年、彼の意志をついだ人々の手により再びプロジェクトが動きだしました。そして2006年11月26日にフィルミニ教会堂は完成しました。

 

「美の巨人たち」
ル・コルビュジエ「フェルミニの教会堂」

この記事のコメント