バッハの「ゴールトベルク変奏曲」|ららら♪クラシック

「ゴールトベルク変奏曲」は多くの演奏家が愛してやまない鍵盤音楽の傑作。音楽の父バッハの代表作の一つです。静かで美しいメロディーが印象的です。

 

しかし、ただキレイなだけではありません。時には激しく、時には切なく、一音一音計算しつくされた曲なのです。

 

眠れない伯爵の依頼で作られたってホント!?

「ゴールトベルク変奏曲」には誕生にまつわる有名なエピソードがあります。

 

不眠症に悩むカイザーリンク伯爵が、ハッバに眠れない夜に聴くための曲を依頼しました。完成した曲は素晴らしい出来栄え。伯爵は夜な夜なお付きのチェンバロ奏者に演奏させたんだとか。そのチェンバロ奏者の名前こそゴールトベルク。だから「ゴールトベルク変奏曲」と呼ばれているのです。

 

この話はバッハの最も古い伝記に記されていますが、このエピソードは本当なのでしょうか?

 

もしも本当にカイザーリンク伯爵の依頼によって作曲し、伯爵にささげたとしたら表紙にそういうことは書かれるものなんですよ。今までバッハは必ずそうしていた。でも、表紙にはカイザーリンクの名前は全然でてこないの。だからその話は後でこじつけたんじゃないかなぁと。

(明治学院大学名誉教授 樋口隆一)

 

真相はともあれ、美しいアリアで始まるゴールトベルク変奏曲。変奏曲とはある一つのテーマを装飾したり変形させたりして沢山の曲を作り組曲のように並べた音楽のこと。

 

この「ゴールトベルク変奏曲」は1つのテーマを30もの変奏にしてしまった曲です。明るさに満ちた曲もあれば、暗く寂しげな曲も。そして、どの曲も弾くのがかなり難しいと言います。スピード感溢れるパッセージ、ド派手な和音。最後に再びあの美しいアリアがもう一度演奏されます。

 

全曲演奏すると1時間以上。バッハが持てる技術の粋を尽くして書いた大作なのです。

 

妻が愛したシンプルで美しい曲

「ゴールトベルク変奏曲」の冒頭をかざる美しいアリア。同じ曲が別の曲集にも入っています。「アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」です。中にはバッハや他の作曲家が書いたシンプルで美しい鍵盤曲や歌が沢山おさめられています。

 

音楽帳の持ち主はアンア・マグダレーナ。バッハの2番目の妻です。元々宮廷の歌手でしたが、バッハの最初の妻が4人の子供を残して亡くなったあと後妻に入りました。その後、13人もの子供を産み、大家族の母として作曲家の妻としてバッハを支えました。

 

バッハは手紙に「今の私の妻はなかなかよい澄んだソプラノを歌う」と少し自慢げに書いています。

 

流行の最先端でなかなか手に入らなかった黄色いカーネーションをプレゼントしたというエピソードも。意外と愛妻家だったようです。

 

そんなバッハが妻に贈った最高のプレゼントがあの音楽帳なのです。前半には曲を書き込み、後半は空白のままプレゼントしました。

 

アンナ・マグダレーナは歌手としては素晴らしかったんだけども、チェンバロの演奏なんかはそれほどでもなかったらしい。

(明治学院大学名誉教授 樋口隆一)

 

バッハはこの音楽帳を使ってアンナにチェンバロを教えました。アンナは気に入った曲があると、空白のページに書き写し繰り返し練習しました。「ゴールトベルク変奏曲」のアリアもアンナが書き写した曲の一つです。

 

「ららら♪クラシック」
バッハの「ゴールトベルク変奏曲」
~天才が練りに練った音のアート~

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