アメリカ同時多発テロ事件は、公式発表されているよりも遥かに恐ろしい陰謀だったのではないかと疑いの目を向ける人々がいます。
「9.11」世界はだまされている?
2001年9月11日、アメリカ東部の空港を飛び立った4機の旅客機がほぼ同時にテロリストによってハイジャックされました。そのうちの2機はニューヨークにある世界貿易センタービル1号棟、2号棟に相次いで衝突。2つのビルは長時間立ち続けましたが、やがて崩壊。3機目の旅客機は国防総省「ペンタゴン」に衝突。4機目はペンシルベニア州の草原に墜落。犠牲者は3000人以上でした。
アメリカ政府は実行犯はオサマ・ビンラディン率いるアルカイダのメンバー19人と断定。この事件をきっかけにブッシュ大統領はテロとの戦いを掲げ、アフガニスタンやイラクに侵攻。イラクは大量破壊兵器を保有しているとしてフセイン政権を倒しました。
ところが、CBSが2015年に行ったアンケートで「真相が他にあると考えられる出来事は?」と質問したところ、24%の人が9.11アメリカ同時多発テロをあげました。つまり、アメリカ人の4人に1人は9.11の真相は明らかになっていないと考えているのです。
噂されている疑惑
- 衝突したのは旅客機ではなく軍用機だ
- 近隣のビル崩壊は証拠隠滅が目的だ
- ペンタゴンにはミサイルが撃ち込まれた
- 政府はテロの情報を知っていて無視した
- 空軍が対応できなかったのは計画的だ
- 監視カメラに旅客機は映っていない
- ハイジャック犯はでっちあげられた
つまり、アメリカ同時多発テロはイラクなどに戦争を仕掛けるためアメリカ政府が仕組んだ自作自演だと言うのです。
疑惑?超高層ビル崩壊の謎
旅客機衝突後、1号棟は1時間42分も経ち続けていましたが崩壊しました。1時間42分後に何が起きたのでしょうか?
この疑惑を訴え、絶大な支持を受けているのが神学者のデヴィッド・レイ・グリフィンさんです。あの崩れ方こそ政府の陰謀の証拠だと主張しています。
制御解体とは
ダイナマイトなどの爆発物を使い一瞬でビルを倒壊させる技術のこと
周囲への影響を防ぐため、できるだけ垂直に崩れ落ちるように設計します。その崩れ方が似ているというのです。
「9.11」ペンタゴン破壊の謎
ペンタゴンの事件でも政府の自作自演を疑う声があがっています。その代表的な疑惑とされているのが、破壊された部分の幅です。
旅客機は低空飛行でペンタゴン1階部分に斜めの角度で衝突したと言われています。調査報告書によると、衝突によって損壊した幅は約36.5メートル。これを旅客機の侵入角度にあてはめると損壊した幅は27メートルとなります。しかし、旅客機の幅は38メートル。つまり、翼より狭い幅しか穴が開いていないのです。
この問題を指摘するのが元アメリカ陸軍少将のアルバート・スタブルバイン三世さん。冷戦時代から写真の画像解析と情報収集を担当していたと言います。
つまり、アメリカ軍がミサイルで攻撃したうえで旅客機が衝突と偽っていると言うのです。やはり自作自演なのでしょうか?
超高層ビルはなぜ崩壊したのか?
このような陰謀疑惑の一方で、政府や研究機関はどのような見解を出しているのでしょうか?
午前8時46分30秒、ボーイング767が世界貿易センタービル1号棟北側95-96階を中心に衝突。大量の燃料が爆発を起こしました。世界貿易センタービルは周辺の外壁に300本以上、中央のコアと呼ばれる部分に47本の柱が立ち並び、その内側を床が繋ぐチューブ構造と呼ばれる構造になっています。
衝突と爆発の衝撃により、外壁の柱が93-99階まで破損。内部のコア柱も多数損傷したと推測されます。それでも1号棟は上層階12階分、推定1万3000トンもの重量を損傷を免れた柱や最上層階にあるハットトラスという内部構造に分散することで1時間以上も支え続けました。
しかし、ジェット燃料によって発生した火災はビル内の家財などに延焼。激しい炎の熱は1000℃に達しました。この高熱が床を支える金属の骨組みに影響。もともと骨組みの表面は耐火材で覆われていましたが、爆発で剥がされたため強度が著しく低下。床が下へとたわみ始めました。
床のたわみは、外壁の柱を内側に傾けていきました。そのため、旅客機が衝突した反対側の外壁の柱が損傷。重みを支えきれなくなり、衝突から1時間42分後、上層階12階分が落下。その甚大な衝撃が下のフロアに一気にのしかかりました。崩壊が進めば進むほど、落下物の質量はさらに増加。この連鎖反応に下の階層は抵抗できず、みるみるうちに崩れていきました。
アメリカ国立標準技術研究所(NIST)の報告書は、ビルの崩壊は旅客機の衝突による構造上の損傷と、耐火材が剥がされたことによる構造物の急速な加熱、高熱による床のゆがみが外壁への負荷を増加させたことなど複合的な要因によるものだと結論付けています。
「9.11」ペンタゴン破壊の謎
アメリカ土木学会などがペンタゴンの被害状況を調査。2003年に「ペンタゴン建物性能報告」を発表しています。この調査に関わったのがパデュー大学工学部教授ミート・ソーゼンさん。
旅客機の重量は機体の中央20m以内に集中しています。主翼に積載された燃料は中央部分の量が多く、これに胴体の重さも加わるためです。これはペンタゴンの穴27メートルに収まる幅です。
さらに、「ペンタゴン建物性能報告」では建物の手前30メートル程のところで右の翼が建設機器に接触。その後、左エンジンが地面に接触。旅客機はペンタゴンに突入する前に主翼がすでに破損していた可能性を示唆しています。
ペンタゴンの一部は外壁に鉄のフレームやパネルを埋め込み、窓には厚さ5cmの強化ガラスが使われるほど頑丈です。そこに旅客機の重量が集中する中央部分が穴をあけたと考えられるのです。
「9.11」陰謀論の真相は?
NISTがまとめた調査報告書は1万ページを超えています。そこには200人を超える専門家が3年がかりで行った無数の文献調査や1000人以上からの聞き取り、数千に及ぶビデオ映像や写真の調査、ビルの残骸の分析、実験とシミュレーションの結果が記されています。それらは今もNISTの公式サイトで公開され誰でも閲覧することが可能です。
世界中の専門家の目に晒される状態で捏造を隠すことなどできるのでしょうか?それとも、世界中の専門家が陰謀に加担しているとでも言うのでしょうか?
陰謀論はなぜ生まれる?
人はなぜ陰謀論を信じる?
2015年、心理学の視点からこの問題に取り組んだ本「疑う心 人はなぜ陰謀論を信じるのか?」がアメリカで出版され話題になりました。筆者は心理学者のロブ・ブラザートンさんです。
ロブ・ブラザートンさんは、以前アムステルダムの大学で行われた実験を例にあげます。学生たちをそれぞれ紙やお菓子の包装で散らかっている机に座わせます。一つのグループにはまず机をキレイにしてから作業させ、もう一つのグループにはそのまま作業を進めるように命じました。その後、無作為のシミを見せると散らかったままのグループはキレイにしたグループより多く、そこには存在しない物の姿を見出したというのです。
「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」
シリーズ「陰謀論はなぜ生まれるのか?」
パート1 アメリカ同時多発テロ
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