事件が起きたのは1988年、彼女は元アイドルで作詞家へと転身したX。売れっ子作詞家として活躍し、誰もが知る名曲を数々手がけていました。
アイドル時代
山陰の地方都市に生まれたXは16歳で上京し、得意だった歌とダンスを武器に1960年代に一世を風靡した某アイドルグループの一員となりました。Xは瞬く間に売れっ子となり、熱狂的なファンも多くいました。
デビューから1年、レコードプロデューサーYと知り合いました。YのプロデュースによってXはソロデビュー。新人ながら大ヒットし、人気バラエティ番組のアシスタントに抜擢されました。
その後、XとYは結婚。敏腕プロデューサーと売れっ子アイドルという誰もが羨む花形カップルの誕生でした。
作詞家へ転身
結婚を機にXはアイドルとしての活動を引退。Xは芸能界での知名度を武器に作詞家へと転身。夫Yの協力もあり、次々と有名アーティストに曲を提供。今も残るヒット曲を数多く生み出していきました。
しかし、成功の裏には大きな代償がありました。夫婦のすれ違いです。
離婚 嫌がらせ
1985年、Xが34歳の時に2人は離婚。
一人暮らしを始めたXですが、毎晩のように無言電話がかかってくるように。さらに、車のタイヤがパンクさせられたり預金が勝手に引き落とされていました。
「ストーカー」という概念もない時代、謎の嫌がらせになす術はありませんでした。
自宅は危険だと感じたXは、人といる時間を長く過ごし帰宅は深夜にしました。
ストーカーの正体は元夫Y
ある日、何度もチャイムがなりXが外を覗くと木刀を手にした元夫Yがいました。ストーカーの正体は元夫だったのです。
命の危険を感じたXは警察に相談。しかし、当時はストーカー規制法もなく、単なる男女関係のもつれとして扱われ警察が介入することはありませんでした。
Xは駐車場を元夫の目の届かない遠くへと移動し、極力知人の家で寝泊りし自宅へは帰らないよう努めました。
元夫に殺される…
しかし1988年3月5日、Xは仕事道具を取るため一時帰宅。乗り込んできた元夫に全身を刺され亡くなりました。
元夫は興奮状態でマンションの屋上に上がり篭城。警察の説得により6時間後に逮捕されました。
Xの部屋は荒らされ、彼女の体には22ヶ所もの刺し傷があったと言います。
犯行の動機
元夫は後に「離婚されたりして憎かった。二年前から殺すことを考えていた」と供述しています。
警察庁の調べによるとストーカーの約6割が交際相手や結婚相手です。
実は2人が離婚した時、元夫は敏腕プロデューサーとしての影すらなく仕事が全くない状態でXのヒモ状態でした。そんな元夫に愛想を尽かしXは離婚を切り出していました。
しかし、当時の2人を知る関係者によるとYは自分が落ちぶれたのは妻の裏切りのせいと思っていたそうです。元夫は典型的なストーカーの心理状態でした。
元夫はなぜ元妻の行動を把握していたのか?
1つの説として、Xの友人Tが元夫に手を貸していたことが考えられました。事件後、関係者への取材としてTがXの情報を元夫に流していた可能性が報じられました。
その後の裁判で元夫に下された判決は懲役12年。協力者となったTが罪に問われることはありませんでした。
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