陰謀!?フリーメイソンの恐怖
「都市伝説」「陰謀」怪しげなキーワードと共に語られがちなフリーメイソン。インターネットや一部のメディアで世界的大事件の影には「フリーメイソンあり」と噂されています。
フランス革命、アメリカ独立、ロシア革命など数々の歴史的な革命を扇動。独立国の政治を都合の良いように作り変え、現代のフリーメイソンの目標は「世界統一政府」の樹立。貧富の格差を大きくして一握りのメイソンによる全人類の支配を企んでいるというのです。
フリーメイソンはその企てを仲間に示すため、意外な場所にサインを隠していると言います。
アメリカ 1ドル紙幣
ピラミッドの上、正三角形の上で光を放つ目玉は、フリーメイソンのシンボルとしてよく使われるものです。これはフリーメイソンが世界経済を支配している証拠なのでしょうか?
明治維新はフリーメイソンが操っていた?
明治維新の立役者といえば坂本龍馬。実は坂本龍馬もフリーメイソンの会員という噂が。坂本龍馬と親しかったイギリス人武器商人のトーマス・グラバー。グラバー園の門柱にコンパスと直角定規の紋章があります。そのグラバーに導かれ坂本龍馬もフリーメイソンに?明治維新は操られていたのでしょうか?
恐怖の儀式
さらに、フリーメイソンが恐ろしいのは恐怖の儀式と死の掟です。バビロニアやエジプトなど、古代から伝わる魔術による怪しげな儀式を行い、会員たちに上層部への絶対服従を誓わせるのです。
18世紀にフランスで出版された暴露本「フリーメイソンの謎」。夜に密かに集まった会員たちが担いでいるのは悪魔バフォメット。フリーメイソンは悪魔崇拝をしていたのでしょうか?そして組織の秘密を探ろうとする者は容赦なく殺害すると言います。
フリーメイソンの真実
フリーメイソンの組織名は正しくは「フリーメイソンリー」です。現在、全世界で500万人程が所属していると言います。会員は地域ごとの拠点ロッジに所属し、定期的に集まって儀式や議論、研究発表、歌や食事で交流を深めたり、慈善活動を行っています。
歴史的に有名な会員はジョージ・ワシントンをはじめ14人のアメリカ大統領、ウィンストン・チャーチル、コナン・ドイル、マーク・トウェイン、ゲーテなど。ハリウッドスターのクラーク・ゲーブル、ジョン・ウェイン。そしてモーツァルトなど。
並べてみると全く統一性がない人々にも関わらず、なぜ陰謀をめぐらす組織と疑われたのでしょうか?
フリーメイソンの起源
フリーメイソンの発祥はスコットランド。フリーメイソンの原点は諸説ありますが、有力な説が中世のスコットランドの石材加工業者「石工」たちです。石工の組合では、それぞれが持つ独自の技術の秘密を守るため特殊な暗号や儀式を使いよそ者を区別し、仲間との結束を固めたと言います。
その暗号や儀式がイングランドに伝わるや新たなスタイルへと変わっていきました。酒場・パプに集まる人々が仲間内の暗号や儀式を設定。それを受け入れる人は誰であろうと友人と認め、楽しく交友するグループとして1717年、ロンドンの酒場に近代最初のフリーメイソンが誕生しました。
それまで、ヨーロッパ各地ではキリスト教のカトリックとプロテスタントが勢力争いを続け、人々はその血にまみれた時代に疲弊していました。そうした中、暗号や儀式さえ受け入れれば身分や職業、政治や思想、宗派が異なる者でも友人と受け入れるフリーメイソンは大流行。瞬く間にヨーロッパ中へ広がっていったのです。
ところが、こうしたフリーメイソンの性質が昔ながらの権威からは陰謀を怪しまれました。1738年、ローマ教皇のクレメンス12世はカトリック信者のフリーメイソンへの入会を禁止。フリーメイソンに入会した信者が他の宗教と交わることを危険視したのです。これによってフリーメイソンは身を守るため秘密性を増していきました。
秘密の儀式
フリーメイソンが怪しげに思われる大きな理由が秘密の儀式です。その内容は18世紀から暴露本や新聞記事などで度々表に出ています。
蝋燭が灯された薄暗い部屋。上級会員たち間には髑髏が描かれた布。昇格を志願する会員は、人間性を高める誓いの言葉として上級会員と問答を数多く行います。そして、棺桶に見立てた布の上に寝かせられ顔に血のついた布をかけられ上級会員たちから剣をつきたてられるというややショッキングな素振りの後、上級会員たちの祝福に包まれ無事昇格します。
こうした仲間内の絆を深めるための儀式は部外者には秘密です。それが怪しげな儀式として外部の批判にさらされることにもつながりました。
悪魔崇拝や秘密を破る者への死の制裁という元会員からの暴露情報を記した著者レオ・タクシルは、後に「全部ウソ」であると告白。しかし、一度火がついた怪しげな噂はいつまでもくすぶり続けました。
シオン賢者の議定書(プロトコル)
1900年代、フリーメイソン陰謀論に決定的な事件が起こりました。ロシア帝国の秘密警察が入手した秘密情報という触れ込みで出回った「シオン賢者の議定書」通称「プロトコル」です。
ユダヤ人の指導者たちが会議を開き、フリーメイソンを利用して世界中で同時に革命を起こし世界を征服する計画を定めたという内容です。間もなくこの本はロシアの反ユダヤ主義者による捏造、偽書であると判明しました。
しかし、世界各地で出版されたうえ、アメリカでは偽書と判明してからも50万部の大ヒット。日本でも紹介されフリーメイソンの恐怖を煽る風潮を生み出しただけでなく、ドイツではヒトラーが「シオン賢者の議定書(プロトコル)」を称賛。ナチ党はフリーメイソンを活動禁止にし、ユダヤ人を大量虐殺するという最悪の事態を引き起こすことになったのです。
フリーメイソン陰謀論 検証
1ドル札
この目はキリスト教で「神は全てを見ている」ことを示し、正三角形も父と子と聖霊は一つであるというキリスト教の基本的な教え三位一体を示す基本的な図柄です。
フリーメイソン発祥以前から盛んに使われる図像が共通して使われても何も不思議はありません。
坂本龍馬はフリーメイソン?
グラバー園の門柱は、別の外国人の屋敷にあったものをこの地に移しただけでグラバーとは関係ありません。
そして、坂本龍馬は英会話ができなかったと言われています。入会の儀式での英語の長台詞などできるはずもないし、そもそも英語で会話を楽しむイギリスのフリーメイソンに入る意味など全くありません。
現在、世界各地のフリーメイソンでは秘密の公開を進めるロッジがあれば、秘密の伝統を守るロッジもあり会の規約も様々です。全組織をまとめる総本部のようなものは存在せず、国ごと地域ごとに地元社会とどう関わるかを考え、独立した立場で活動しています。
「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」
シリーズ「陰謀論はなぜ生まれるのか?」
フリーメイソン
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