大王製紙の井川意高は今… 巨額使い込み事件&ギャンブル依存症|爆報!THEフライデー

2011年、エリエールでお馴染みの製紙業界大手・大王製紙の会長・井川意高(いかわもとたか)による会社の金の巨額使い込みが発覚。その額106億8000万円。しかも、その理由はカジノでのギャンブル。そんな前代未聞の事件に週刊誌は「バカ社長」と書き立て、メディアも連日報道しました。

2011年11月、東京地検特捜部が井川意高を逮捕。執行猶予なしの懲役4年という判決が言い渡され収監。表舞台から姿を消しました。

ギャンブル依存症の恐怖

現在53歳となった井川意高さんは、特定の仕事はなく妻とも7年前に離婚し実家で暮らしていると言います。しかし、彼には今も大問題が。今もギャンブル依存症なのです。

依存症というのは完治することはない。手近で規制もほとんどないっていうのが日本のギャンブルの現実だと思うので。(ギャンブル依存症問題を考える会 田中紀子さん)

日本のギャンブル依存症患者数は推定500万人以上もいます。

2014年、アメリカでは19年ぶりにギャンブル依存症の基準が改定されました。それによると、ギャンブル依存症はアルコール依存、薬物依存と同レベルの精神疾患だと言います。

井川意高の生い立ち

1964年、井川意高さんは愛媛県で生まれました。性格は内気で真面目ながら非常に優秀で、東大法学部に現役合格。さらに、大学卒業後は家業の大王製紙に入社し、30代で子会社の社長に就任すると、次々と赤字部門の黒字化に成功。その実績が認められ42歳で大王製紙本社の社長に就任。血統、実績ともに申し分ない製紙業界次世代のエースと呼ばれる逸材でした。

プライベートでも1990年に結婚。3人の子宝にも恵まれました。

ギャンブル依存症のきっかけ

1996年、家族と訪れたオーストラリア旅行で友人の勧めで初めてカジノを訪れました。初めは恐る恐る勝負していましたが、運良く勝ちに勝ちを重ね100万円が2000万円に。この思いもよらぬ大勝がギャンブル依存症への入り口でした。

ギャンブル依存症の症状

カジノに行き始めた頃から井川意高さんに異変が起き始めました。

❶やらないと落ち着かない

ちょっとしたことですぐにイライラするようになりました。さらに、大好きだった酒の席もつまらなく感じるようになりました。

実は、ギャンブル依存症になると脳が変化を起こします。ギャンブルで大勝ちした時、脳は前頭葉から快楽物質ドーパミンを過剰に分泌し、通常では味わえないほどの興奮状態に。すると、一度その強い刺激を知ってしまった脳は通常の刺激では満足できなくなります。

その結果、ギャンブル以外でドーパミンが出なくなってしまうのです。

❷嘘をつく

金曜日、仕事を終えた井川意高さんはマカオのカジノへ。土曜日の深夜にマカオに到着すると100万円~300万円を元手にカジノを始め、48時間一睡もせずカジノの入り浸っていました。専門家によると、ギャンブルをしている間は頭が冴えわたる感覚にとらわれると言います。

そして、月曜日の深夜に最終便で帰路につき、翌朝そのまま会社に直行し何食わぬ顔で仕事をしていました。家族には仕事があると嘘をつき、このような狂ったギャンブル生活を4年間も続けました。

❸借金をしてまでギャンブルをする

ある日、マカオのカジノで早々に所持金100万円をすってしまった井川意高さん。カジノからお金を借りてギャンブルをするように。以来、ギャンブルで負けては負けを取り返すため巨額の借金を繰り返すようになりました。

ギャンブルで作った借金はギャンブルで返そうっていう発想になっちゃうんですよね。

(井川意高さん)

井川意高さんの借金はエスカレート。500万円から始まったカジノへの借金は、3年で5億円に。ついにカジノでもお金を借りられなくなってしまいました。

すると、カードで3000万円分の高級時計を購入し、時計を質に入れ現金化。しかし、その金もあっという間にカジノに消えるという日々を繰り返しました。

そして迎えた2010年5月、借金5億円の返済日。追い詰められた井川意高さんは、大王製紙の子会社から5億円を借金。しかし、そのお金も返済にあてるのではなくギャンブルに使ってしまいました。

チップの金額と普段のお金がリンクしてないんですよね。5億円もあくまで記号でしかない。

(井川意高さん)

もはや脳が麻痺し、会社の金は自分のものと錯覚。社長の圧力で子会社に次々と金を要求しました。子会社の社員は社長には頭が上がらず、億単位の借り入れは26回、総額106億8000万円にもなりました。その金はほとんどカジノに消えていったと言います。

2011年11月22日、ギャンブルに狂った生活はついに終わりを告げました。会社の金を私用で使い込んだ罪により、逮捕され懲役4年の刑が科されました。

ギャンブル依存症になりやすい人

井川意高さんは子供の頃、父は厳しく教育されました。例えテストで良い点を取っても、褒められることはなかったと言います。

テストで良い点数を取ることは、普通に嬉しいこと。でも、それで褒められないと脳が健康的な刺激では反応してはいけないというふうに学んでしまったと思うんですよね。(ギャンブル依存症問題を考える会 田中紀子さん)

本来、嬉しい時にでるはずのドーパミンですが、テストで褒められなかったりすると脳がドーパミンを出すことを拒絶。そういった人間は何か他のものに依存する場合が多いと言います。

小学校4年の時、家族麻雀ですね。

(井川意高さん)

小学4年の時に父と始めた家族麻雀。普段、成功しても褒められずドーパミンを出していない人は勝負事で勝つと大量のドーパミンが出ると言います。子供の頃にこういった経験をした人ほどギャンブル依存症になりやすいと言います。

そして、ギャンブルで快感を得た脳は元に戻りません。そのため井川意高さんは、またいつギャンブルをしたい衝動に襲われるか分からないと言います。

衝動を抑えるには?

ギャンブルより熱中できるものを見つけること。ギャンブル以上にドーパミンが分泌される楽しみを見つけた時に、症状が軽減されるケースが報告されています。

会社から借りた106億8000万円は、自分が持っていた株や資産を売って返却済みです。井川意高さんは今、ギャンブル以上にのめり込めるものを探して人生を模索しています。

「爆報!THEフライデー」
実録!106億円 巨額使い込み事件

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