悪魔とは、人間を誘惑し不幸へと陥れる存在です。人知を超えた怪しい力に魅了され多くの作曲家が悪魔を題材にした作品を残しました。そして、この世には実際に悪魔が演奏したという曲も存在するのです。
超クール!人を惑わす悪魔の力
人間離れした魔界の力の凄みを表すため、モーツァルトは超高音域のアリアを作り出し、リストは目にもとまらぬピアノの早業を編み出しました。これぞ悪魔の超絶技巧です。その極め付きともいうべき技が、チャイコフスキーのバレエ「白鳥の湖」に登場します。
王子の恋を邪魔する悪魔ロットバルトと、その娘で黒鳥のオディールです。オディールは妖艶な踊りで王子の心を惑わします。王子が悪の手に落ちた時、披露されるのが「黒鳥の32回転」と呼ばれる超絶技巧です。バレリーナにとって最高難度とされる技です。
悪魔が歌いあげる悪の本性
古今東西さまざまな悪魔の中で最も有名といえばメフィストフェレスです。ゲーテの戯曲「ファウスト」に登場し、人間を破滅へと導いていく悪魔です。
ファウスト博士の前にあらわれた悪魔メフィストフェレス。メフィストフェレスはファウストを若返らせ、ありとあらゆる欲望を叶えていきます。そのメフィストフェレスは、怖いだけでなく意外な一面も持っています。
人間の魂を天使を奪い合うメフィストフェレスですが、可愛らしい天使の顔やお尻に気を取られるあまり油断して地獄に落ちてしまうのです。ちょっとドジで、どことなくユーモラスなのです。
そんな人間くさいメフィストフェレスに魅了された多くの作曲家たち。中でもフランスのグノーは「お金こそ全てだ」と言い切るメフィストフェレスをオペラに登場させます。悪魔は遠い存在ではなく、人間の心の内に潜んでいるというメッセージが込められたアリアをメフィストフェレスが歌い上げます。
悪魔にもらった!?悪魔の旋律
悪魔が弾いた音楽とは、イタリアの作曲家タルティーニが書いたバイオリン・ソナタ「悪魔のトリル」のことです。
ある日、タルティーニの夢の中に悪魔が現れました。恐る恐るバイオリンを渡すと、悪魔がこれまでに聴いたことのないような超絶技巧を駆使して美しい音楽を奏ではじめました。そのあまりの素晴らしさにタルティーニもびっくり。目が覚めてこの曲を一気に書き上げたのだそうです。
「ららら♪クラシック」
悪の響きに酔いしれて ~「悪魔」の名曲集~
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