アメリカの洗濯物論争 洗濯物を外に干すVS干さない|世界まる見え!

アメリカのほとんどの家庭では、洗濯物を庭にもベランダにも干さないのが習慣です。洗濯物を外に干すのは、乾燥機が買えない貧しい人がやることだと思われています。さらに、不動産価値まで下げてしまう行為だと言います。このような考えになったのは、家電メーカーの昔のキャンペーンにあります。

 

1950年初頭、アメリカは不景気で家電製品の売り上げが落ちていました。そこで、メーカーは「電気でより良い暮らし」という大キャンペーンを打ち、家電製品が多い生活は贅沢でかっこいいと国民に訴えていきました。当時、乾燥機は高価なもので乾燥機を持つことはステータスに。持ってない人は貧乏人という考え方が植え付けられてしまったのです。

 

また1950年代、戦争から帰ってきた多くの兵士達が郊外のニュータウンに移り住み、地域でコミュニティを作り様々なルールを決めていきました。戦後のアメリカ人が郊外に望んだのは見た目の統一感。それを守るため、住民たちは同じ形で同じ色の家、窓枠の色が違うだけでもルール違反に。そのルールの一つが洗濯物を外に干してはいけないでした。洗濯物は景観を壊すという理由からです。

 

このルールはアメリカ各地の多くのコミュニティで採用されました。こうして乾燥機を買えない人は貧乏人で外に干すことは景観を壊すことになり、アメリカでは洗濯物は外に干さないものとなったのです。

 

しかし、全てのアメリカ国民がこれに賛同しているわけではありません。洗濯物活動家アレクサンダー・リーさんは、アメリカ全土をまわり「洗濯物を外に干しましょう」と講演しています。実はアメリカが乾燥機に費やす一年間の電力量は、東京都の約637万世帯が一年間に使う電力消費量の2倍にものぼるのです。

 

ペンシルベニア州に住むキャリン・フレーリッヒさんは、洗濯物を外に干す自由を訴えています。キャリンさんは以前、外に洗濯物を干して周りの住人から脅迫状を送られたのです。脅迫状には「この貧乏人!乾燥機を買え!ここから出て行け!」と書かれていたそうです。アメリカにおいて自由を奪われることは間違っていると思ったキャリンさんは、州政府に「外に干す自由」を訴えました。

 

そして2009年「いかなる条例も洗濯物を外に干す事を妨げてはならない」と法案が可決。この運動は各地に広がりユタ州、メーン州、コロラド州などでも同様の州法が可決されました。こうして洗濯物への意識は少しずつ変わっていますが、やはり外に干す人は少ないです。

 

そしてアメリカが抱えるこの問題は、他国にも起ころうとしています。アメリカは経済立て直しを狙って自国製品をアジア、特にインドに多く輸出しています。インドのテレビでは「家電で幸せに」といったコマーシャルが流れています。洗濯物を手で洗い外に干す人々は、洗濯機と乾燥機を買いたいと思うように。インドは電力消費量が世界5位にまでなっています。

 

「世界まる見え!テレビ特捜部」
アメリカの洗濯物論争



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