イギリスで10年以上放送されているオーディション番組「Xファクター」は世界で2000万人以上が視聴し、これまでワン・ダイレクションをはじめ数多くのシンガーを輩出しているスターへの登竜門です。
そんな超人気番組に4年前、異常に緊張している男が登場しました。しかし、彼が歌声を披露した次の瞬間、会場の空気が一変しました。そこには彼を支え続けた祖母との感動の物語がありました。
1977年12月27日、クリストファー・マロニーはイギリスのリバプールに生まれました。幼い頃から歌が大好きだったクリストファー・マローニーの最初のファンになったのは祖母パットと祖父ジェームズでした。クリストファー・マローニーは2人に歌を褒められることが何より嬉しかったと言います。
大学生になると夢に向かって一歩を踏み出しました。地元のレストランで歌手のアルバイトを始めたのです。しかし、客は料理や会話に夢中で誰も彼の歌に興味を持ってくれませんでした。すると、クリストファー・マローニーは極度の緊張状態に陥ってしまいました。
そんな頃、夢を応援してくれていた祖父ジェームズが病気で他界。祖母のショックはかなりのものでした。祖母を慰めるため、クリストファー・マローニーはかつて祖父母が一緒に観た映画の主題歌で葬儀の場でも流した思い出の曲ベット・ミドラーの「The Rose」を一緒に聞きました。
やがて、クリストファー・マローニーに大きな選択が迫りました。卒業をひかえ今後の進路を決めなくてはならなくなったのです。歌手になりたいという思いはあったものの小さなステージにでも緊張してしまう自分がプロになんかなれるのか?迷いばかりが強くなっていったと言います。
大学卒業後、クリストファー・マローニーは市役所に就職。電話相談の担当者になりました。望んでいた仕事ではなかったものの「きっとこれが俺の人生なんだ」と言い聞かせていたと言います。
そんな平凡な日常に変化が起こったのは就職して5年経った2004年のことでした。オーディション番組「Xファクター」が始まったのです。参加者はのべ5万人以上で、優勝者にはCDデビューが約束される夢のような番組でした。
クリストファー・マロニーは「Xファクター」のオーディションのたびに応募用紙に記入したものの出すことができませんでした。
心の中では歌いたくて仕方なかった。でも緊張する性格だし、もし落ちたら夢が完全に絶たれてしまう気がして結果を聞く勇気がなかったんです。
そして、気づけば番組開始から8年が経っていました。
実は祖母はクリストファー・マローニーが応募したいのにできなかったことに気づいていました。そんな祖母に背中を押されクリストファー・マローニーは「Xファクター」出場を決意しました。
「Xファクター」はイギリスの各都市で予選が行われ、そこを通過すればテレビ放送される本戦に出場できるシステムでした。無事に予選を通過したクリストファー・マロニーは2012年5月23日、1万人の観衆が見守る本戦に挑みました。
しかし、クリストファー・マローニーは緊張して手が震えてしまいました。それでも審査員に聞かれて祖母の話をするうちに手の震えは小さくなっていきました。そして彼が勝負の曲に選んだのは「The Rose」でした。審査員4人中4人が「YES」と答え見事決勝大会への出場を手にしました。
決勝大会では優勝こそ逃したものの3位に輝きました。しかし、彼のストーリーはこれで終わりませんでした。幼い頃からの夢だった歌手デビューを果たしたのです。魂の歌声に惚れ込んだレコード会社が3位の彼に異例の契約を申し込んだのです。
しかも、ファーストシングル「My Heart Belongs to You」はイギリス国内ダウンロードチャート1位を獲得。さらに、スペインやギリシャといった海外からもライブの依頼が殺到。これまで400か所以上での公演を成功させています。
人はみんな傷つきたくない、夢が壊れるのを恐れ踏み出せない。でも誰かが後押ししてくれたら勇気を持てるんです。僕は祖母のおかげでその一歩を踏み出すことができました。
幼い頃からの夢を34歳にしてようやくつかみ取ったクリストファー・マロニーは現在、歌手活動を続けるかたわら芸能スクールを設立。子供たちに歌やダンスを教えています。
「奇跡体験!アンビリバボー」
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