モバイルブリッジ「車も通れる伸縮橋」|夢の扉+

TBSテレビの「夢の扉+」でモバイルブリッジについて放送されました。橋の崩落が起きた時、自衛隊は浮き橋を設置しますが水のない場所や増水した川には架けられません。仮説の橋は立派ですが、作るのにかなりの時間がかかってしまいます。そこで広島大学の有尾一郎(ありおいちろう)さんはどこでも移動可能でボタン一つで伸びる橋を考えました。夢の橋の発想を得たのは阪神淡路大震災でした。建造物の壊れ方を調査していた際、ある法則を見出したといいます。少ない力で壊れたものなら少ない力で伸ばすことが出来るという考えを橋に応用。押しつぶされた橋ならわずかな力で伸ばせると思ったのです。そんな時、子供が遊んでいたマジックハンドが目に留まりました。橋が伸びるイメージとマジックハンドが繋がったのです。2011年、有尾一郎さんはモバイルブリッジと名づけた最初の橋を開発。ボタン1つとはいかず手動で橋を対岸に伸ばしていきました。約10分で8mの橋がかかりました。もちろんまだ出発点で、有尾一郎さんが目指す頂はもっと上にありました。有尾さんは被災地ですぐに架けられ、救援物資や緊急車両が行き交える橋を架けたかったのです。しかし、橋の専門家たちは笑いました。モバイルブリッジには橋を支える橋脚がないからです。

 

大企業にモバイルブリッジの共同開発をも申し入れましたが、採算が合わないとふられ続けました。今度は中小企業をまわり、有尾さんの迫力に心を打たれたのが昇降機メーカー・アカシンの赤松俊治さん。しかしモバイルブリッジにはクリアしなくてはならない構造上の問題がありました。橋は自身の重さで一気に伸びきってしまうのです。解決のヒントになったのは赤松さんの会社が作っている昇降機の上げ下げを制御する装置、油圧シリンダーでした。これを応用すれば手綱を緩めるようにゆっくりと橋を伸ばせるのではないかと。制御されながら伸びた橋は予定した長さでピタリと止まりました。次の課題は橋全体の強度を上げること。注目したのはモバイルブリッジの床板の部分。有尾さんは大阪でアルミ製の桟橋を製造する星軽金属工業を頼りました。担当の中谷伸さんは有尾さんの自由すぎる発想に戸惑ったと言います。試行錯誤の末、橋の伸びると同時に床板ががっちりと噛みあい固定される構造を考え、大企業が見向きもしなかったモバイルブリッジは中小企業の知恵と技を繋ぐ夢の橋になりました。