血液検査によって調べられるコレステロール値は一般的に3つありますが、注目すべきはHDLとLDLの2つです。
東京医科大学病院の三輪隆さんによると、コレステロールは動脈硬化の悪玉の主役のように思われていますが、コレステロールがないと命は維持できないのです。コレステロールとは、人間や動物などの血液にある脂質のこと。しかし、これによって太るわけではありません。コレステロールは身体の機能を保つ物質の材料になります。人間の身体は約60兆個もの細胞で出来ていますが、その細胞を1つ1つ包んでいる細胞膜の構成要素もコレステロールなのです。
人間の細胞をみかんで例えると、みかんの皮が細胞膜。これがコレステロールで作られていることになります。コレステロールがないと細胞ができないのです。さらに、コレステロールは身体の機能を保つホルモンや胆汁の材料にもなっています。
そもそもコレステロールという言葉も「Chole」がギリシャ語で「胆汁」、「sterol」は「固体」という2つの言葉が合わさったもの。つまり、コレステロールは身体に必要な物なのです。
コレステロール値が高い方が長生きできる?
最近は「コレステロール値が高い方が長生きできる」という新説が登場しています。三輪隆さんはこの説に異議をとなえています。
ことの発端は、コレステロール値と死亡の危険度に関するデータ。死亡の危険度が一番高いのはコレステロール値が260mg/dl以上の最も高い群。次いでコレステロール値が159mg/dl以下の最も低い群でした。
しかし、コレステロール値が最も低い群の中には肝臓病、がんなどを患いコレステロール値が下がった人も含まれているのです。つまり、コレステロール値が低いから病気にかかったのではなく、病気にかかっているからコレステロール値が低いということです。したがって、コレステロール値が高い方が長生きとは言い切れないのです。
悪玉コレステロールと善玉コレステロール
LDL(悪玉コレステロール)とHDL(善玉コレステロール)はコレステロールの運び屋です。この2つをわんこそばで例えると、わんこそばのお碗がコレステロール。わんこそばを美味しく頂く人が細胞。そばを入れる人はLDL。そしてお碗を片付けるのがHDLとなります。
コレステロールの約8割は肝臓で作られています。コレステロールを肝臓から全身に供給するのがLDL(悪玉コレステロール)です。しかし、LDLは働きすぎるという欠点があります。コレステロールを溜めてしまうことで、コレステロールが血管壁に沈着し動脈硬化を促進。LDLが悪玉と呼ばれるのはこの欠点のせいです。
一方、余分なコレステロールや血管壁に溜まったコレステロールを回収して肝臓に戻す係がHDL(善玉コレステロール)。この働きによって動脈硬化の進行を防げるので善玉と呼ばれているのです。
超悪玉コレステロール
血液中のコレステロールは、同じ脂の成分である中性脂肪と一緒に運ばれてきます。乗り物の中で隣同士に座っている状態。ところが、中性脂肪が増えるとコレステロールの乗り場が狭くなり、コレステロールは小さくなります。これが超悪玉コレステロール(sdLDL)です。
超悪玉コレステロールは小型なので血管壁に入りやすく、コレステロールの塊を作ることで動脈硬化を促進させます。超悪玉コレステロールは、普通の悪玉コレステロールより20%も動脈硬化症になるリスクを上げると考えられています。
コレステロールを改善する方法
コレステロールを改善する方法はやはり運動です。特に歩くことがオススメだと三輪隆さんは言います。ただし、普通に歩くよりも1.5倍くらい速い速度で歩くのが大切です。
週に3日以上、15分程度歩くようにしましょう。有酸素運動は中性脂肪を減らす善玉コレステロール(HDL)を増やします。結果、超悪玉コレステロールを減らすことができるのです。
コレステロールを改善するイワシの蒲焼とワカメのみぞれ和えの作り方
1、大根をすりおろす
2、ワカメとイワシの蒲焼と大根おろしを混ぜる
3、生姜醤油え和えたら完成
「健康カプセル!ゲンキの時間」