ブレインロック現象 スカイダイビングで激突死の謎|アンビリバボー

2002年6月、アメリカのウィスコンシン州イーストトロイ飛行場でベテランスカイダイバーのベルテットが激突死しました。ところが、この死には不可解な点がありました。

ベルテットは地面に激突するまでパラシュートを開こうとした形跡がなかったのです。ベルテットが心臓発作や失神などを起こしたとしか考えられなかったのですが、検視官によるとベルテットの体からはダイビング中に異常があった痕跡は何も発見されませんでした。

シッペンズバーグ大学心理学教授のジェームス・グリフィス氏によると、現在世界中で年間250万回のスカイダイビングが行われていますが、毎年約35人が事故で命を落としていると言います。そのうち10%、約4人はベルテットのように着地地点が近付いて来てもパラシュートのロープを引かずにそのまま地面に激突しているのです。

これらの事故の原因は、脳の誤作動によるものだと推測されています。それは「ブレインロック現象」というもの。文字通り脳が停止するということです。

ブレインロック現象には長期記憶が大きく関与しています。記憶には大きく分けて、短期記憶と長期記憶があります。短期記憶は一時的に情報を貯蔵するのですぐに忘れてしまいます。電話番号などを聞いても会話などをしていると、すぐに忘れてしまいます。しかし、何度も使うことで、脳の長期記憶エリアに貯蔵され脳の長期記憶となります。長期記憶は一旦貯蔵されると容易には忘れず、膨大な量の情報を保存できます。

ベルテットの場合、パラシュートを開くという記憶は長期記憶に保存されていたはずです。しかし、慣れない高度な技に挑戦していたとか考え事や気になる事があると、不安やストレスホルモンの分泌が増し長期記憶エリアへのアクセスが一時的に遮断され、本来忘れるはずのない当たり前の行動を忘れてしまうことがあるのです。これがブレインロック現象です。

このブレインロック現象は私たちの日常でも起こっています。例えば、物を取りに行って違うことを考えたことで、何を取りに来たか忘れてしまうなど。そしてブレーキとアクセルを踏み間違えて、そのまま激突してしまうのもブレインロック現象の一種です。

「奇跡体験!アンビリバボー」
スカイダイビングで激突死の謎

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