生活保護3兆円の衝撃|NHKスペシャル

NHK総合テレビの「NHKスペシャル」で生活保護3兆円の衝撃が放送されました。

 

毎月1日、役所の扉が開くと同時になだれ込む人たちは、月に1度支給される生活保護費を一刻も早く受け取りたいという人たちです。景気の低迷が続く中、仕事や家を失った人たちが次々と生活保護を受けています。この2年間で全国で40万人増え過去最多にせまっています。受給者の中で目立つのは20代から50代の仕事を失った働く世代の人たちです。仕事に就くことができず、生活に行き詰る人がいるのと同時に生活保護費は膨れ上がっています。今年度の支給額は3兆4000億円。国や自治体の財政を圧迫しています。「働ける人には働いてもらわなければならない」全国で支給費が最も多い大阪市は2年前新たな取り組みを始めました。受給者を訪問し仕事に就いてもらおうと働きかけています。しかし、生活保護を受け続けるうちに仕事への意欲を失っていく人が少なくありません。

 

大阪市は日本で最も受給者が多く15万人を突破しています。18人に1人が生活保護を受けているのです。受給者の増加は大阪市に限ったことではありません。生活保護の制度が出来たのは昭和25年、当時全国に204万人の受給者がいました。その後、経済成長にともない減り続けましたが平成7年に増加に転じ、平成20年以降は急カーブをえがいて増え今年203万人を超えました。ここまで受給者が増えた背景にあるのがリーマンショックによる景気の低迷です。派遣切りにあい生活に行き詰った人たちが一気に増えたのです。この事態に対応するため厚生労働省が働く能力がある人たちの生活保護を認めるよう求めたのです。国民の生存権が保障されたという声が上がる一方で、膨らむ生活保護費は国や地方の財政をますます逼迫させています。

 

大阪市の生活保護費は2916億円、市の予算の17%を占めています。「働ける人には働いてもらい社会を支える側に回ってもらわなければならない」大阪市の取り組みは始まりました。最初に行ったのが受給者と日常的に接するケースワーカーの大幅な増員です。受給者の自立を支援するため800名ほどだったケースワーカーを1000人以上にまで増やしました。大阪市では働く世代の受給者は月に1回就職相談の面接を受けることになっています。受給者が働く意欲をなくす背景には最低賃金との関係があると言われています。大阪府の生活保護水準は11万7000円。一方、最低賃金は時給779円です。フルタイムで働いても1ヶ月の手取りは11万6000円で生活保護の金額に届きません。賃金の低さが働く意欲をさまたげていると言われています。大阪市では毎年、民間の人材派遣会社などに支援を委託しています。受給者の中でも比較的有望な人を選び手厚く支援するためです。

 

30歳男性の受給者が65歳まで生活保護を受けた場合、国や自治体の支出は3500万円です。5年間就労支援をした後、正社員になったとすると65歳までに収める税金や社会保険料は2600万円です。ここから就労支援などにかかるお金をひくと1500万円。生活保護が続いた場合に比べ5000万円のプラスになります。大阪市が昨年度就労支援した人数は7258人、実際に就職でき生活保護から脱却できたのは164人です。

 

去年10月、大阪西成区で日本最大級とされる違法な賭博場が摘発されました。運営していたのは山口組系の暴力団。生活保護受給者を集め、摘発された時には80人の客がいました。この地域には受給者を狙った違法な賭博場が他にも20箇所以上あると言われています。

 

路上生活をしている人に生活保護を受けさせ、その保護費をまきあげる不正も横行しています。狙われているのは毎月の生活保護費だけではありません。受給者は無料で医療を受けられます。その仕組みが悪用されています。多いのは病院が必要以上に大量の医薬品を処方するケースです。生活保護受給者は治療を受けたり薬を処方されたりしても自己負担はありません。受給者の医療費は全額税金で支払われるからです。大阪市の調査では医療機関が生活保護受給者に大量の薬を処方して収入を得ている事例が多数見つかっています。さらに、こうした薬をきっかけに受給者本人が不正に手をそめるケースもあります。

 

大阪市をはじめとした全国の政令指定都市の市長たちが制度の改正にむけて新たな声を出しました。今の制度のままでは生活保護をめぐる問題は解決できないと、全国19の政令指定都市の市長が届け出をだしています。去年10月にまとめた制度の見直し案では、受給者に1年間のボランティア活動や軽作業などの就労を義務づけ就労への意欲を高めてもらい、その上で活動にきちんと参加しているか就職する気が本当にあるか3年や5年といった期間を決めて審査します。就労意欲が認められない場合には生活保護の停止もありえるという仕組みです。

 

さらに今年1月、大阪市は新たな取り組みを始めました。生活保護を受けたいと申請してきた人の審査を厳格に行うというものです。これまでは、生活保護を受けた後の受給者への取り組みに力を入れてきましたが、それだけでは不十分だとして申請段階での対策に踏み込んだのです。審査で重視されるのは就労意欲があるかどうかです。

 

生活保護制度を見直そうという動きに対して受給者や支援団体からは反対の声が上がっています。生活保護への受け入れを厳しくすると生活できなくなる人が多数出ると訴えています。学習院大学教授の鈴木亘さんは働ける人たちを生活保護に受け入れるべきではないと考えています。生活保護制度というのは基本的にお金を受け取って、その後に何かするという義務がありません。そうすると、引きこもってしまったり家でテレビをずっと見続けてしまったり社会との接点がなくなってしまいます。最低限の生活で我慢しようと思えば生活できてしまいます。それまで働く気力があったとしても、その気力がなくなってしまいます。そのため稼働能力層を生活保護の制度に入れるのは間違いだと語っていました。そして社会貢献活動の義務化をすることも大切だと言っていました。




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