パワースポット増え過ぎ史|ジョージ・ポットマンの平成史

テレビ東京の「ジョージ・ポットマンの平成史」パワースポット増えすぎ史について放送されました。

 

現在の日本では交差点やトイレまでパワースポットになってしまっています。出版業界を見てみても「an・an」「CREA」「女性自身」「OZmagazine」などパワースポット特集を組んでいます。現在の日本では由緒ある神社や霊峰に留まらず、ありとあらゆる場所がパワースポット化。パワースポットを巡るはとバスツアーも大盛況。パワースポットで町おこしをしようとする自治体も続出しているのです。

 

慶応大学文学部人文社会学科の樫尾直樹さんによると、パワースポットという言葉は1986年「現代用語の基礎知識」に見出し語として初めて登場したそうです。当時、ごく一部のミュージシャンなどが奈良の天河大弁財天社で宇宙と交信できるなどと言い出したことがパワースポットの元祖と言われています。樫尾直樹さんは、現在パワースポットは若い人達の間で受け入れられるようになっていると言います。宗教社会学会のアンケート調査などでは、53.8%の若者がパワースポットに非常い関心があると答えています。パワースポットが流行してきた背景には1990年代以降のスピリチャリティ文化の興隆、2000年代に入ってスピリチュアルブームというのがあると言います。

 

2009年、衆議院議員選挙で民主党が大勝し政権交代が実現。注目を集めたのはファーストレディ鳩山幸さんの特異なパーソナリティでした。奇抜すぎるファッションで有名な鳩山幸さんの著書「私が出あった世にも不思議な出来事」には、「眠っている間に、魂が三角形のUFOに乗って金星に行って来た」や「トム・クルーズは前世で日本人だった」などスピリチュアルにもほどがある発言の数々が載っています。

 

平成時代に入ると細木数子なる元飲食店経営者がズバリ言う番組や、江原啓之なるオペラ歌手がオーラを漂わせる番組など、多くのスピリチュアル礼賛番組がゴールデンを席巻。しかも、視聴率30%を超えるなど異常な事態に突入していたのです。さらに、その傾向は出版界でも顕著に。「Trinity」なるスピリチュアル専門誌も発刊され、その内容はスピリチュアルメイク、スピリチュアルな犬との生活など生活全般にわたっています。

 

慶応大学文学部人文社会学科の樫尾直樹さんによると、団塊の世代前後やそれより上の人達は非合理的な事に対する関心はかなり低いそう。それに対して、最近の若者は非合理的なものに対する興味・関心は非常に強く持っているという傾向が見られるそうです。NHK放送文化研究所のデータによると、1990年代後半以降、非合理的な力を信じる若者が急増しているそう。さらに、若者の間では「あの世」の存在を信じる人の割合が急増22%もいるのです。あの世ブームが到来し、江原啓之なるオペラ歌手の編集のもと「ANOYO」なる雑誌まで発行されています。

 

大正大学人間学部の弓山達也さんによると、スピリチュアルなものが流行する背景は特に若者が時間を持て余していることがあるそう。ソースティン・ヴェブレンも「有閑階級の理論」で「宗教と暇人には相関関係がある」と指摘しています。昭和末期に年間2100時間だった労働時間は平成に入り1800時間にまで減少しています。しかし、日本にはバカンスなど時間を有効に使う文化が根付いていないため時間を持て余し、考えを巡らせるうちにスピリチュアルにはまる人が増加したのではないかと言います。

 

東京未来大学こども心理学部の出口保行さんは、平成時代の「あの世ブーム」「スピリチュアルブーム」の原因は平成時代の「未来人気無さ過ぎ文明」のせいではないかと言います。文明開化した明治以来、日本人は「未来予測大好き民族」でした。しかし、平成時代の日本では未来SFなど未来についての大ヒット作品が激減したのです。平成時代は「ALWAYS三丁目の夕日」や「1Q84」など過去を美化し礼賛する作品がヒット。このような「未来人気無さ過ぎ文明」が現れ始めたのは1990年代後半から2000年代頃です。この頃日本では終身雇用制度が崩壊し、更に国の巨額の借金問題、年金制度の崩壊など今まで安泰だと思われていた具体的な近未来が次々と崩壊していきました。明るい未来予測が明確に描けていた時代には現在が辛くてもそれにすがることが出来ましたが、そうした手放しの未来礼賛ができなくなった結果すがるものがなくなり、人々は心のよりどころを求めるようになっていったのです。そうして出てきたのが2000年代のスピリチュアル・パワースポット過剰礼賛文明です。

 

大正大学人間学部の弓山達也さんによると、平成時代のスピリチュアルブームはどんどん他力本願になってきているそう。満月に向かって財布を振り金運アップを図る団体「満月お財布フリフリーゼ」なる他力本願な集団も登場しています。「週刊女性」にはスピリチュアルで宝くじを当てる、スピリチュアルでダイエットするなど他力本願の極みとも言える特集を掲載。明治神宮の清正の井戸なるパワースポットにいたっては、実際に行かなくても待ちうけ画面にすればいいと参拝すら人任せ。「サンデー毎日」の調査では井戸にいた22人中20人が何の井戸か知らないと答えるなど、すがるべき対象を知る努力さえ放棄しているのです。

 

「人は自分の問題を環境のせいにばかりしている、私は環境など信じない」イギリスのノーベル文学賞受賞者バーナード・ショーの言葉です。




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