アエロフロート593便の堕落事故の真実|アンビリバボー

フジテレビの「奇跡体験!アンビリバボー」でアエロフロート593便の堕落事故の真実について放送されました。

1994年3月22日、モスクワのシェレメーチエヴォ国際空港は香港へと旅立つ旅行客で華やいでいました。乗客は総勢63名。ロシアのアエロフロート航空がフランスのエアバス社から購入したのが最新鋭の旅客機エアバスA-310でした。航続距離はそれまでロシアで使われていた旅客機の3倍、安全面においても最先端の装備を誇っていました。そして、パイロットたちも超が付くほどのエリートでした。機長ヤドスラーフ・クドリンスキーはA-310の飛行時間だけでも900時間を越えるベテラン。副操縦士は経験豊富なピスカーレフ・イゴリでした。

 

アエロフロート539便は午後5時39分にモスクワを離陸。離陸から4時間、機体はノヴォシビルスク上空を通過。しかし、それから数分後593便はレーダーから消えてしまいました。通常ならば機体に異常は発生した場合、メーデー信号が発せられますが、593便は一度も緊急事態を知らせることなくレーダーから忽然と姿を消したのです。午後10時5分、管制塔から連絡を受けた空軍と民間のヘリが機体の捜索に向かいました。しかし、発見されたのはバラバラとなった機体の無残な姿でした。乗員乗客75名の生存は絶望的でした。ロシア政府は警察や救急隊など238名を動員、遺体の回収作業にあたりました。

 

事故の原因を調べる中で、コックピットから子供の遺体が発見されました。子供の座席は機体の後方だったため、堕落の衝撃で転がり込んだとは考えにくいものでした。墜落から24時間後、ボイスレコーダーが発見され、ボイスレコーダーから2人の子供がコックピットにいたことが分かりました。名簿から兄弟で搭乗した機長の子供、姉ヤーナと弟エルダーであることが判明しました。

 

かつてアエロフロート航空ではコックピットに知り合いやVIPを招待する事が当たり前のように行われていました。機長は息子エルダーを操縦席に座らせ、自動操縦をしているのを手動で一時的に針路を変更。操縦桿を触らせたのです。それから機長は設定を元に戻しました。エルダーが操縦席に座って3分が経過した頃、機体が右に傾き始めました。モニターは機体が徐々に進路をかえ、旋回し始めていることを示していました。旋回の理由はパイロットたちにも分かりませんでした。機体の傾きは45度に達し、1秒間に70mの速度で急降下を始めました。激しい重力で機長は操縦席に座れず、副操縦士も操縦桿を握ることができませんでした。この時、操縦桿を握っていたのはエルダーだけでした。

 

急降下が少し収まり、副操縦士は操縦桿を思いっきり引きました。機長も席につくことができ、急降下から上昇へと転じました。しかし、機体は2度目の急降下を始めました。原因は誰にも分かりませんでした。パイロットたちは機体を立て直そうとしましたが機体は堕落しました。

 

このボイスレコーダーの分析から子供が操縦席にいたことが判明するとアエロフロート航空は世間からいっせいに避難をあびました。しかし、子供に操縦桿を握らせた事は事故のきっかけに過ぎなかったことが判明しました。現代の航空機は自動操縦で、たとえ子供が操縦席に座っていても機体は自動操縦で目的地に向け飛行を続けます。フライトデータレコーダーのデータがフランスのエアバス社に持ち込まれシミュレーターで飛行が再現されました。すると、副操縦士が画面の異常を知らせるランプの点灯を消す時に誤って操縦桿に触れていたことが分かったのです。どの旅客機でも緊急事態発生にそなえて強い力を加えると自動操縦が解除される仕組みになっています。エアバスA-310では10kgで自動操縦が解除される仕組みになっていました。エルダーが操縦桿を握っているだけでは10kgに達しませんでしたが、副操縦士の体が操縦桿に触れることで10kgを超えてしまったのです。補助翼の自動操縦が解除されたことに誰も気づかないままエルダーが操縦桿を右に傾けたため、機体が傾き始めたのです。

 

飛行機は高度1万メートルという上空を飛ぶ場合、飛行可能な速度の幅は限られています。高度が高いと空気の密度が薄いため速度が速くないと失速してしまいます。その一方で速度が速すぎると気流の乱れが発生し失速してしまいます。593便が45度まで傾いたため、1.25倍の重力がかかり機体が重くなるため、飛行可能な速度はさらに狭まってしまいました。安定した飛行をしていても機体を傾けることによって失速。操縦不能に陥ってしまったのです。高度が下がったころで機体は飛行可能なエリアに入り偶然持ち直しました。副操縦士が操縦桿を力いっぱい引いたことで、補助翼に続き昇降舵の自動操縦も解除され、機体の操縦は全て人間の手にゆだねられました。下降から上昇へと転じた機体ですが、急上昇による重力で機体の重量が増え、再び操縦不能のエリアに入ってしまいました。そのため機体は急降下し堕落。事故の原因は自動操縦の部分的解除だとあきらかになりました。しかし、パイロット用のマニュアルには自動操縦の部分的解除に関して具体的数値(10kg)の記載はありませんでした。




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