黄土高原の緑地化|地球イチバン

NHK総合テレビの「地球イチバン」で黄土高原の緑地化について放送されました。

 

中国の内陸部・黄土高原は黄色い荒れた大地がどこまでも続いています。黄土高原は日本の1.5倍もの面積があります。黄土高原には建築の材料となる木がほとんどないため、山の斜面に横穴を掘ってヤオトンと呼ばれる家としてきました。壁と天井は土につなぎとなる草を混ぜ込んで固めてあります。冬はあたたかく、夏は涼しい天然の冷暖房完備の家なのです。8年前には電気も点くようになりました。大変なのは畑です。乾ききった土が飛びまわって畑を傷め付けます。村ではこの10年で20%の畑が使えなくなりました。大切に飼っているヤギや羊も、草を食べてしまうので放牧は禁止されています。

 

黄土高原にある人口340万人の楡林市(ゆりんし)では、周りから土が飛んできて大変なことになっています。そんな楡林市では洗車のサービスが大繁盛しています。こんな過酷な黄土高原には約7000万人もの人々が暮らしています。雨は夏場に集中し土砂崩れを起こし大変です。黄土高原では毎年2700万ヘクタールもの土地が被害を受けているのです。
そんな黄土高原でも荒れた大地に緑を蘇らせた集落があります。高西溝(こうさいこう)という村です。人口は500人ほど。畑は土砂崩れに襲われることなく作物が安心して実っています。大きな池もあります。水もふんだんにあり作物もいっぱい取れます。この豊かな実りは50年前にたった一人の男性が「荒れ地は変えられる」と立ち上がったことから始まりました。その男性は朱序弼(しゅじょひつ)さん。黄土高原に緑を広げてきた神様と呼ばれています。朱序弼さんは斜面に雑草を植えることで雨が降っても土が流れ出すことはないと考えたのです。そんな朱序弼さんの教えにしたがって斜面に雑草を植え続けたところ、崖崩れはぐっと減り豊かな実りが守られたのです。

 

朱序弼さんは17年前まで地元の役所の技術者として農業と林業の研究をしてきました。朱序弼さんは黄土高原の貧しい農家に生まれ学校にも行けませんでした。しかし、真面目な人柄をかわれ19歳の時、農業学校の作業員の職を得ました。仕事が終わると夜遅くまで農業・林業の勉強に励みました。朱序弼さんは貧しい村を豊かにしたいという思いがあったのです。やがて、農業・林業の専門家として地元の役所に採用されました。ちょうどその頃、中国全土で山の斜面を段々畑にするという大規模な政策が実施されました。ところが、黄土高原の土は雨に弱く溶けて流れやすい土という問題がありました。せっかく作った段々畑もよく崩れました。そこで朱序弼さんは斜面に木を植えて土壌を固める方法を思いつきました。しかし、それには木の苗を買う資金が必要です。貧しい農家でも出来ることをと思い、ただで手に入る雑草に目をつけました。ところが雑草の根は短く土をしっかり捕まえることができません。崖崩れを防ぐ長くてしっかりした根を持つ雑草はないものかと、中国各地を歩きまわりました。探し始めて10年後、シャーダーワン(沙打旺)という草に出合いました。シャーダーワンは砂地や荒地を好み根は長いもので3mも伸ばします。シャーダーワンを斜面に植えると3年後、狙い通り土砂崩れが止まりました。高西溝村は雑草の力によって生まれ変わることが出来たのです。

 

朱序弼さんはこの知恵を多くの人々に伝えていきたいと考えています。それに答えて雑草や樹木を斜面に植え荒れ地を変えようとする緑化ネットワークが立ち上がっています。雑草で守られた畑で朱序弼さんは今人気の無農薬野菜の栽培に取り組んでいます。




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